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ねずみ

「おーい、マルチ〜っ」
「?」
 声に気付いて、マルチは振り返った。
「あっ!」
 オレの顔を確認すると、にっこりと笑顔を浮かべ、
小走りに駆け寄ってきた。
 オレも軽い駆け足で近付き、ちょうど中間の地点で
落ち合った。

「よおっ、なにやってんだ、こんなところで?」
「はい、バスを待ってました」
「バス? マルチはバス通なのか?」
「いえ、バスマウスです」
 おいおい。


ネットワーカー・マルチ

「おーい、マルチ〜っ」
「?」
 声に気付いて、マルチは振り返った。
「あっ!」
 オレの顔を確認すると、にっこりと笑顔を浮かべ、
小走りに駆け寄ってきた。
 オレも軽い駆け足で近付き、ちょうど中間の地点で
落ち合った。

「よおっ、なにやってんだ、こんなところで?」
「はい、バスを待ってました」
「バス? マルチはバス通なのか?」
「え? ニフティ・サーブ?」
「…それはパソ通!」


メイドin大阪

 そのとき、
「ん?」
 マルチの横にもうひとり、見慣れない顔がいること
に気が付いた。
「あれ? このコは?」
 隣の女子高の制服を着ているその女のコは、見ると、
マルチと同じように、耳に大きな飾りがついていた。
 …ということは、まさかこのコも。
「あっ、この方はですね」

「――HMX13型、通称セリオです。毎度ど〜も!」
 セリオと名乗った彼女は、そう言うと、ゆっくりと
ていねいにおじぎした。
 間違いない、マルチとは違うマイド(毎度)ロボだ。

 べたべたなオチやな…。


CMネタは風化する

「開発の方々は、いろんな人と話をして、いろんな人
の役に立ってこいって、おっしゃいました。学校なら
大勢の人が、いろいろとテストしてくれるからだそう
です」
「なるほどな」
「で、今回は、わたしと、同時開発されたセリオさん
が学校へ通っているわけです」
「同時開発? ああ、それで姉妹ってわけか」
「はい。でも、同時に開発されたとは思えないくらい、
彼女のほうがすごいんですよ」

「なにがどうすごいんだ?」
「脱いでもすごいんです」
「…」
「…」


生かすも殺すも腕次第

「はいっ、なんといっても、セリオさんの最大の特徴
は、人工衛星から――ええっと…」
「――人工衛星からサテライトサービスを受けること
ができます」
 セリオが自分で言った。
「…なんだそれは?」
「――来栖川の巨大データベースから、衛星を介して
データを受け取り、それをメモリに記憶するサービス
のことです」
「それがあると、なにがすごいんだ?」

「衛星からデータを受け取ることで、セリオさんは、
あっという間にいろいろな職業のプロフェッショナル
になれるんです」
 と、マルチは言った。
「――たとえば、ユーザーの方から、食べたい料理の
リクエストがあれば、すぐにそれを検索し、人工衛星
を介して、その作り方のデータを受け取ります。そう
すると、柏木千鶴さんに劣らないお味で、その料理を
お作りすることができます」
「ほほう」

 役にたたんな(爆)


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