瑞穂ちゃんは、やっぱり生徒会室にいた。
「あっ」
僕が声を掛けると、瑞穂ちゃんは顔をほころばせ、
仔犬のように駆け寄ってきた。
「祐介さん、来てくれたんですね」
「いや、強制イベントだから」
「はい?」
小首を傾げる。
つくづくギャグを理解しない子だと思う。
「いえ、私にも責任があるんです」
「責任?」
「…はい。私、親友なのに、香奈子ちゃんが抱えてい
た問題をなにひとつ知らなかった…。香奈子ちゃんが
あんなふうになるまで、なんの力にもなってあげられ
なかったんです…」
「考え過ぎだよ。いかに親友だって、他人であること
に変わりはないんだから、踏み入れることのできない
領域だってあるよ」
「あっ、それ知ってます。ATフィールドとか言うん
ですよね?」
もしかして、瑞穂ちゃんってアニメファン?