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4姉妹の部屋

 彼女たち姉妹の部屋は四部屋とも同じ廊下にあり、
庭と向かって横一列に並んでいる。
 覚えやすいことに手前から初音ちゃん、楓ちゃん、
梓、千鶴さんと、歳の若い順になっている。
 もし、胸の大きさ順であれば、梓、楓ちゃん、初音
ちゃん、千鶴さん、であっただろう。さらに、人気の
ない順であれば、梓、初音ちゃん、楓ちゃん、千鶴さん、
だろう。
 どちらにしても千鶴さんの部屋は、一番奥のつきあた
りになりそうだ。やはり、『触らぬ千鶴にたたりなし』
なのだろうか…

 そう思っていると、奥の部屋から千鶴さんの声が聴こ
えてきた。
「それって…どういう意味ですか? それから、いくら
なんでも、楓や初音よりも胸はありますからね…」
 ひえぇ〜、なんでわかるんだよ〜(笑)


でんわにでんわ その壱

 プルルルル…、プルルルル…、プルルルル…。
 カチャ。
 受話器を取る。
 その瞬間、受話器からプーという音が聴こえた。
 どうやら相手側は公衆電話からのようだ。
「…はい、柏木です」
 俺は、余所行きの声で応じた。
「もしもし!? …かめよ、かめさんよ〜。 なんち
ゃってぇ(笑) …あれ? 耕一さん、つまんなかっ
たですかぁ?」
 受話器の向こうから、なにやらギャグにすべった女
性の声が聴こえてくる。
 今回は、必然的にむかつきを覚えた。


でんわにでんわ その弐

 プルルルル…、プルルルル…、プルルルル…。
 カチャ。
 受話器を取る。
 その瞬間、受話器からプーという音が聴こえた。
 どうやら相手側は公衆便所からのようだ。
「んなわけないでしょ!」
 電話の声が言った。


でんわにでんわ その参

 プルルルル…、プルルルル…、プルルルル…。
 プルルルル…、プルルルル…、プルルルル…。
 すぐに鳴り終わると思っていたが、電話はしつこく
呼び出し音を鳴らし続けた。
 「…わかったよ」
 このしつこさ、きっと千鶴さんからだろう。電話の
ベルからも千鶴さんのしつこい性格が滲みでている。
 カチャ。
 受話器を取る。
「…はい、柏木です」
 俺は、余所行きの声で応じた。
「……悪かっわね、しつこい性格で!」
 電話の声が冷たく言った。
「やっぱり、千鶴さんか」
 俺はため息をついた。


でんわにでんわ その四

「…なに、どうかしたの? なんだか随分と焦ってる
みたいだけど…」
 だが千鶴さんは、その質問には応えずに、
「本当に、耕一さんなんですか!?」
 そんなことを訊ねてきた。
「…えっ、うん、耕一だよ」
 俺は、妙な気迫に戸惑いつつも、そう応えた。
「…『梓』じゃなくて?」
「…」
 彼女が何を言いたいのかよく解かった。が、まだ
手に入れていない人もいる為、それ以上つっこまな
かった(謎)


でんわにでんわ その五

 カチャ。
 受話器を取る。
「…はい、柏木です」
 俺は、余所行きの声で応じた。
「もしもし、耕一さん? 私よ、ち・づ・る。 ねえ、
今、私がどんな格好してると、お・も・う? ウフ」
 受話器越しの千鶴さんは、色っぽい声をあげた。
 ち、千鶴さ〜ん、一体なにがあったんです?(涙)


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