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最高のおもてなし

 食卓には豪勢な山海の料理が並んでいる。
 梓が作った手のこんだ料理の品々も、お世辞抜きで
魅力的だが、なんといっても俺の目を引くのは、本日
初めてという千鶴さんの女体盛りだ。
 今日はわざわざ俺のために用意してくれたらしい。
なんとも嬉しいかぎりじゃないか。






 「おい、耕一! 何一人でぶつぶつ言ってるんだ?」
 梓の声に、俺は我に返った。 どうやら妄想に浸って
いたようだ。
 「…耕一さん、そういう妄想はちょっと…」
 千鶴さんはそういうと、ポッと頬を染めた。
 だから、なんで人の考えてることがわかるんだよぉ(笑)


寂しいのはあなた一人だけじゃない

「本当ですか、よかった。…耕一さんが帰られてから
というもの、この子たち、なんだかとっても寂しそう
にしていたもので、つい無理をお願いして…」
「コラコラッ、保護者ぶってんじゃねーよ。千鶴姉。
夜が寂しい寂しいっていってたのは千鶴姉じゃないか」
「うんうん、そうだよ、お兄ちゃん。千鶴お姉ちゃん
ったら、すっごく男日照りだったんだから」
「えぇぇぇ?、そ、そうなの?」
 俺が見ると、千鶴さんはほんのりと頬を赤らめた。
「もうっ、梓も、初音も、姉さんをからかうんじゃ
ありませんっ」
 うーむ、しばらく見ない間に千鶴さんも梓も初音ちゃんも
言うようになったなぁ(笑)


耕一酔わせて、どうするの?

「どうぞ、もう一杯」
 とくとくとく…。
「…おおっとっと、…くいっ、ぷはあぁ〜、きくぅ」
「もう一杯…」
 とくとくとく…
「なんだなんだ、楓ちゃん。俺を酔わせてどうしよう
っていうんだ〜?」
「そ、そんな、私…、べ、別に酔わせてべろべろにして、
それからコンクリートに詰めて大阪港に沈めようなんて
思ってないのよ…、ほ、ホントよ!」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…………………………………………………ホントよ」

 か、楓ちゃん!? 俺、なにか悪いことでもしたの?(涙)


懐かしのCM

「これを…こう。…くいっと! …ぷはあ〜、まさに
腹の奥までしみわたるぜぇ〜」
「…くすくす、耕一さん、酔うとお口くさくなるのは
相変わらずですね。」
「…耕一お兄ちゃん、お口くさ〜い!」
「ごめん、ごめん。オ〜イ、ポリデント! …って
オイオイ、二人ともよく昔のCM知ってるなぁ…」

「ほい、耕一! ポリデント」
「…」
「…」
 なんでこんなものがこの柏木家の食卓にあるんだ!!!


懐かしの番組

 なにげなく目をやると、ちょうど水の入ったコップ
があったので、あたしはそれを手にとって、いっきに
飲み干した。
 ごくごくごくごく…。
 ふう…。
 ようやくひと息ついたあたしは、壁の時計を見た。
 長い針が4、短い針が8のところを指している。
 8時20分。
 あ、いけない。
 『8時だよ、全員集合!』の時間だ。
 っていつの時代だ、今は(笑)


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