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伝言ゲーム

 確かに、誰かの声が聞こえた。
 エモノハコイツダ。
 そんな声だった。
 …エ〜モノハコイツダ、…えろものはこいっだ、…
エロモノ羽子板!?
 …エロモノってHな絵柄? 羽子板って正月の?
 エロモノっていうぐらいだから、凄いんだろうなぁ
……。千鶴さんみたいな美人があ〜んなポーズやこ〜
んなポーズを……。えへへへ。
 一人妄想に浸りニヤニヤ笑いを浮かべた俺を、梓と
かおりちゃんが、怪訝そうな顔で見つめていた。


ああ、俺は一体何を書いているんだろう
(作者談)

 長瀬刑事はそのまま質問に突入した。
「亡くなられた柏木氏は、仕事から自宅へ戻る途中の
道で事故を起こした。鑑識の結果、大量の愛液が体内
から発見され、当初、事故の原因は飲液運転であろう
と判断されたわけですが、…柏木氏はHな方でしたか
?」
 その言葉には、下世話な意味が含まれていた。
 千鶴さんはやや考えてから言った。
「…普通だと思います」
「普通というと? 週に何度くらい? 量は?」
「二、三回です。量は多くて牛乳瓶で1本ほど。普段
は20ccだけです」
「決して淫乱というわけでもなかったと」
「…はい」
 千鶴さんは小さな声で言った。

 あ、あのバカ親父が……。


名は体を表す

 たまたま入ったゲーセンは台当たりの間隔も広く、
店内も明るめ、店員の態度も良い、田舎にしてはなか
なか感じのいいところだった。
 取りあえず、入ったすぐの両替機で千円札を崩し、
三枚の硬貨をポケットに、残りは財布に戻す。
 店内を見て回り、新作ゲームを探す。
 …すると。
 あった、あった、ありました。
 噂の新作ゲーム、スト3が!
 ストライク3。
 若さ溢れる熱血新入部員がストライクを3つ取って
アウトにする…。
 男のエレジーが哀愁を漂わせる、渋い硬派な対戦格
闘ゲームだ。
 ……ってそりゃあ、野球ゲームだろうがぁぁ!(笑)


それは甘いよ、耕一君

 彼女は手をあげて、
「じゃ」
 と言い残し、背を向けて歩き出した。
 後ろ姿が遠くなっていく。
 …ふうん、雑誌の記者か。
 千鶴さん、また雑誌に載るのか。
 よし、記事の載った雑誌が出たら買おうっと。
 そして、十数年後プレミアがついたら、マニアに高
く売りつけるんだ。


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