研究テーマ->ジャンル研究->民族音楽->沖縄の音楽
  各民族音楽の特徴をとらえ、自動作曲や自動編曲を利用したコンピューター・ミュージックで再現するということを試みています。このページは、このページ では、コンピューター・ミュージックで各民族音楽の 特徴をもった曲の作成を行うという観点から、特に留意した点を中心にして紹介しています。  

特徴

沖縄には、琉球王国にはじまり、アメリカの統治などを経てきた歴史があります。(ちなみに、アメリカの統治時代は、沖縄はカリフォルニア州に属していたそうです。)音楽的にも、日本のほかの地域と比べて独特の発展を遂げてきました。
沖縄音楽を3〜4曲、聴いてみ るとすぐに分かると思いますが、ペンタトニックと呼ばれる5音階を使用していま す。一般的には沖縄音階では、「ド」「ミ」「ファ」「ソ」「シ」の5つが使用されると言われていて、「ファ」と「シ」の音の使い方がポイントになっています。 (実際には後述のように、他の音も使用されます。)
沖縄音階に無い音は「レ」と「ラ」です。なぜ沖縄の音階が二六抜きになっているかについて、
音階の形成ページで考察していますので、興味のある方はご覧ください。
リズムにも、特徴があります。伴奏のリズムは基本的に3連系のリズムで、メロディは、この伴奏を追いかけるような形のリズムになっています。(とても複雑です。)メロディーでは、長い音と、それに続く短い音の連続がポイントになっています。この特徴をつかんで、ピアノをポロポロ弾いてみると、なんとなく沖縄音楽に聞こえるような気がします。楽器ですが、伴奏には、三味線ではなく、三線(蛇皮線と呼ばれることもありますが、正しい名称ではないそうです)という楽器が使われる のが定番です。 三味線と三線を並べてみると分かりますが、見た目は同じように見えますが、三線のほうがサイズ的に、一周り小さいです。両方演奏する演奏者がけっこういますが、サイズが違うので、押さえる指の位置が異な り、持ち替えは、見た目ほど簡単ではないそうです。楽譜も三味線は文化譜というものが一般的、三線は工工四というものが一般的です。三味線には猫の皮が、三線には蛇の皮が使われます。MIDI音源の中では、三味線がありますので、自動作曲システムでは、 沖縄音楽を再現するのに、伴奏に、三味線の音色を使用しています。 
沖縄に行くと、島唄が聴けるライブハウス(というか民謡居酒屋?)がたくさんあります。 (沖縄まで行かなくても、東京や大阪など大都市には、そのような沖縄料理店があります。) 沖縄を訪れた際に、喜納昌吉とチャンプルーズのお店と、ネーネーズのお店に行きました。三線の伴奏で歌を歌うのですが、歌はやっぱり、裏声の出し方が特徴的で、合間に、かけ声とか、口笛の音が入ります。サンバという名前の、カスタネットに似た楽器で、リズムをとったりします。(見てみないと、説明では分からないと思いますが。。。)

島歌について
沖縄音楽は、島唄とも呼ばれますが、この2つは同じものではなく、沖縄音楽の中のある種のものを島唄と呼びます。「島歌」は、もともとは、奄美で歌われる民謡を指す言葉で、現在でも島歌と呼ばれるものには、奄美の音楽も含まれています。 余談ですが、ザ・ブームのヒット曲「島歌」は沖縄の島歌をイメージさせるものですが、作曲者の宮沢和史氏は山梨県の出身です。

童謡・唱歌・伝統曲 工工四印刷 五十音別索引

 
音階 〜 レ抜き、ラ抜きは誤解!?
前述のように沖縄音階は、「ド」「ミ」「ファ」「ソ」「シ」 の「レ」と「ラ」抜きの音階ということになっていますが、調べてみると、実際は、「ラ」抜きで「レ」は少なめ、という音階のようです。 (ちなみに、沖縄音楽以外で、このような「ラ」抜き「レ」少な目という曲にハワイアンミュージックの名曲タ・フ・ワ・フ・ワイがあります。)
沖縄民謡と奄美民謡の使用音を調べて表にしたものが下記です。数値は曲中に出現する頻度の%です。沖縄民謡には、一般に考えられているような純粋な「ド」「ミ」「ファ」「ソ」「シ」の沖縄音階の構成で作られた曲がほとんどないことが分かります。
 

第1グループ 沖縄音階

「ド」「ミ」「ファ」「ソ」「シ」に加えて「レ」が少しある曲

  ド# レ# ファ ファ# ソ# ラ#
赤田首里殿内 19 0 2 0 22 24 0 24 0 0 0 10
てぃんさぐぬ花  26 0 12 0 30 9 0 12 0 0 0 11
伊佐ヘイヨー節  35 0 6 0 13 15 0 13 0 0 0 17
十七八節  19 0 13 0 13 22 0 17 0 0 0 17
ケーヒットゥリ節  23 0 5 0 25 5 0 18 0 0 0 23
久高まんじゅう主  24 0 29 0 10 12 0 10 0 0 0 16
谷茶前  23 0 2 0 27 13 0 20 0 0 0 15
唐船ドーイ  24 0 17 0 5 25 0 10 0 0 0 19
あやぐ 23 0 6 0 17 25 0 17 0 0 0 13
マシュンク節  17 0 5 0 21 24 0 17 0 0 0 17
三村踊り  35 0 7 0 18 11 0 11 0 0 0 18
今帰仁ナークニー  20 0 2 0 19 14 0 23 0 0 0 22
梅の香り  20 0 7 0 23 9 0 15 0 0 0 26
与那国ションカネー節  24 0 3 0 18 12 0 25 0 0 0 18
汗水節 27 0 10 0 17 8 0 23 0 0 0 15

(変形1) 純粋に「ド」「ミ」「ファ」「ソ」「シ」だけの曲

  ド# レ# ファ ファ# ソ# ラ#
宮古地方子守歌  27 0 0 0 22 20 0 16 0 0 0 14

(変形2) さらに「ソ」が欠けて、「ド」「ミ」「ファ」「シ」だけの曲

  ド# レ# ファ ファ# ソ# ラ#
女工節  19 0 0 0 39 13 0 0 0 13 0 16

 


第2グループ 奄美音階

「ド」「レ」「ミ」「ソ」「ラ」の曲

  ド# レ# ファ ファ# ソ# ラ#
安里屋ユンタ 
(八重山諸島)
23 0 20 0 18 0 0 23 0 16 0 0
スンガー節 
(元歌は奄美の徳之島)
26 0 21 0 21 0 0 24 0 8 0 0
伊良部トーガニ
宮古)
22 0 24 0 18 0 0 22 0 15 0 0
十九の春
(近世のはやり歌)
27 0 17 0 26 0 0 16 0 13 0 0
とぅばらーま 
(八重山諸島)
23 0 19 0 23 0 0 28 0 7 0 0
えらぶ百合の花 
(元歌は奄美の徳之島)
22 0 15 0 29 0 0 27 0 7 0 0

(変形) 移調すると「ド」「レ」「ミ」「ソ」「ラ」になるもの

  ド# レ# ファ ファ# ソ# ラ#
じんじん  0 0 3 0 6 0 0 12 0 71 0 9
鳩間節 30 0 8 0 0 17 0 26 0 20 0 0

 


第3グループ その他

2つの調が混在してっぽい曲

  ド# レ# ファ ファ# ソ# ラ#
月ぬ美しゃ  29 0 27 0 12 0 4 20 0 9 0 0

西洋音楽に近い感じの曲

  ド# レ# ファ ファ# ソ# ラ#
えんどうの花  23 0 18 0 17 0 0 17 0 20 0 5

 

 
     
楽器

三線 三味線より少し小さい胴体で、3本の弦がある楽器です。

サンバ 3枚の板をカスタネットのように打ち鳴らす楽器です。

エイサー太鼓 太鼓です。幾つかの形、サイズのものがあります。
  口笛 口笛です。
自動作曲 ・自動編曲ソフトによる再現
自動作曲システムの沖縄音楽の音楽スタイルでは、沖縄音階を使用して、作曲を行わせています。 音階には「レ」と「ラ」が無い沖縄音階を使用しています。
FirstSongEditorの伴奏は、三味線の音を使用しています。
FirstSongEditorによる自動編曲 てぃんさぐぬ花
自動作曲システムによるサンプル曲
 
有名な曲
琉球民謡のコーナーで 沖縄の民謡を聴くことができます。
谷茶前 安里屋ユンタ 十九の春 もっと見る
色々な曲を沖縄音楽風にアレンジ!
童謡、唱歌、クラシック、ポップスのヒット曲など、本来、沖縄の曲ではない色々な音楽を沖縄音楽風にアレンジしたものを聞いてみたい人は、こちらのページを見てみてください。
関連リンク
沖縄音楽についてもっと知りたい方は、「パル・シティー」の「沖縄ページ」へいってみましょう。「パル・シティー」には、与那国の音楽を紹介している「与那国ページ」もあります。
 
書籍とCDの紹介
島唄の風~沖縄ベストコレクション~ というCDで沖縄の音楽を聴くことができます。

沖縄音楽入門 は沖縄音楽について書かれた書籍です。