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このページでは、アイルランドの伝統音楽の特徴について紹介しています。 アイルランドを含むケルト地方の音楽は、ケルト音楽と呼ばれ、アイルランドの音楽と密接な関係があります。厳密には異なるものですが、このページでは両方を扱います。  
特徴
アイルランドの伝統的な歌や踊りをシャン・ノース(単に古いスタイルという意味)という言葉があります。 シャン・ノースによる歌は幻想的な雰囲気が特徴で、文字で描写するのは難しいですが、エンヤの歌を思い浮かべれば分かりやすいかと思います。
アメリカのカントリーミュージックとはその起源から、影響を与えたり、影響を受けたりと相互に関係がみられるようで、バンジョーが伴奏楽器として使用される点も共通しています。
 
音階
アイルランドの音階は、日本の民謡と同じヨナ抜き音階 「ド」「レ」「ミ」「ソ」「ラ」であるという情報がインターネット上に散見されます。本当にそうなっているのかを幾つかの曲で調べてみました。
  ド# レ# ファ ファ# ソ# ラ#
庭の千草 27 0 12 0 23 0 0 19 1 9 0 9
アイルランドの子守唄 28 0 19 2 17 0 0 9 4 15 0 6
ロンドンデリーの歌
(ダニーボーイ)
20 0 17 0 19 2 0 16 0 14 0 12
春の日の花と輝く 31 0 17 0 15 8 0 13 0 11 0 5
選曲にもよると思いますが、上記からみると、「ファ」の音はあまり使われない傾向があるが、「シ」の音は普通に使われているように思えます。また、曲によっては「ソ#」の音も使用されるようです。ハ長調の場合、「シ」の音は主音である「ド」の前に置かれる導音ですし、イ単調の場合、「ソ#」の音は主音である「ラ」の音の前に置かれる導音です。つまり、「シ」や「ソ#」の音は、半音上の「ド」や「ラ」の音に向かう働きがあり、その移動によって音楽が解決というか、落ち着いてフレーズが終わる感じになるのです。一方、ヨナ抜き音階はこれらの導音がなく、半音上に向かう音の移動でフレーズが終了する感じがないのが特徴ですから、アイルランドの音楽が、日本の民謡と同じ音階を使用しているから、日本人に馴染みやすいという見解は誤っているように思います。 個人的には、ヨナ抜き音階をベースに、クラシック、ポップスなど馴染みのある西洋音楽的な要素も入っているため、そのバランスが好まれるのではないかと思います。
ちなみに、アイルランド音楽と近いイメージのスコットランド音楽では、アイルランド音楽に比べて「シ」が使われることが少なく、 こちらはヨナ抜き音階と言ってしまってもいいレベルだと思います。
(集計はプログラムで機械的に行っていますので、装飾音などのために、多少、不正確になっている可能性があります。また、どの曲がスコットランドの曲で、どの曲がアイルランドの曲なのかよく分からない場合があり、選曲に間違いがある可能性もあります。間違いに気付いた方はページ下の郵便アイコンで表示されるフォームで連絡していただけると助かります。)
楽器

バグパイプ 複数の管がついている楽器です。

バンジョー ギターによく似た楽器ですが、ギターよりカラカラとした感じの音がします。

ティンフルート 金属の笛ですが、とても優しい音がします。
 
     
有名な曲
書籍とCDの紹介
聴いて学ぶ アイルランド音楽 (CD付き) はCD付きの書籍です。

アイルランドの音楽 ベスト盤 (Best of Ireland - 20 Songs and Tunes) というCDでアイルランドの音楽を聴くことができます。