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  ピアノの調律方法や純正律などの古典調律についての話です。  
 

 
 
ピアノの調律
ピアノの調律師さんは、チューニングメーターのような機械を使って調律を行っていると思っている人がけっこういると思います。実際に発展途上国ではそのような調律を行っている地域もあるようですが、西欧や日本などでは、音叉と調律師さんの耳で調律を行っています。
機械のほうが正確では?という疑問がわきますが、電子楽器と異なり、ピアノのような複雑な構造の楽器では、理想値に設定したとしても、楽器全体の響きとしては、イマイチ、ということになってしまうのです。調律の目的は、各音の高さをできるだけ音律の理想値にあわせることではなく、複数の音を同時に弾いたときにうなりという形であらわれる 歪みをできるだけ分散させ、聞いたときに不快感がない状態、心地よい響きにすることです。正解がありませんから、どのように調律するかは調律師次第ということになります。また、クラシックやジャズなど、ジャンルによっても、調律の仕方が変わってきます。(調律作業の詳細。
調律師さんは和音を弾いたときの、うなりの回数を数えて調律を行っています。2つの音を弾くと、それぞれの音の周波数が整数倍になっている場合は、うなりは生じませんが、すこしでも整数倍からズレていると「うなり」が生じます。ドと(オクターブ上の)ソのような(オクターブ上の)完全5度の関係にある音では、ほぼ整数倍になっていますが、それでも平均律の場合はすこしズレています。
 
純正律
2つの音を弾いたときに生じるうなりをゼロにしようという発想で、各音の高さを決める(調律する)のが純正律です。しかしオクターブ内にあるドレミの各音すべてにこのルールを適用しようとすると、いくつかの音は上手くいくのですが、いくつかの音は整合性がとれず、破たんします。その調の中であまり使用されない音に、この破たんした音をもってくるということが行われています。古典調律の多くが、この考え方に基づいています。
この考え方の元では、Ebの音とD#の音が別の音(周波数が違う)という、平均律に慣れた人には奇妙な事が生じます。
調律はセントという単位で行われます。半音の100分の1の音程差をセントといいます。チューニングが半音もズレていたら、よほど音痴な人でも気づかない人はいないと思いますが、1セントのズレだと、分かる人はなかなかいないと思います。しかし、前述のように、音にズレがあると、和音にしたときにウネリが生じますから、これはわずかな違いでも、違いとして感じられる人はいるのではないかと思います。
バイオリンのようにフレットのない楽器や合唱などでは、和音の協和度を高めるために、平均律ではない音律で演奏を行うことが可能です。
   
 
書籍とCDの紹介

YAMAHA ハーモニーディレクター HD-200 は、純正律などの音律を指定することができる特殊なキーボードです。