研究テーマ->音楽の雑学->相対音感と絶対音感
相対音感と絶対音感という能力(?)についての情報を提供します。

 
 
 
音感とは何か?
音楽の世界でいう「音感」とは、「音の高さを言い当てる能力」のことです。分かりやすく言えば、あるメロディを聞いて、このメロディは、「ドレミレド」と演奏している、ということが分かることです。
音感には、相対音感と、絶対音感の2種類があります。相対音感は、メロディを聞いて、「ドレミレド」と演奏しているということは分かるが、どの調の「ドレミレド」なのかまでは分からないという状態です。絶対音感は、どの調かまで分かるという能力です。
クラシックの訓練を小さいころから受けている人は、たいてい、相対音感をもっています。絶対音感までもっている人は、かなり少ないようです。
科学というのは、大げさですが、つきつめていくと、絶対音感の能力は、聞いている音が何Hzぐらいの音か、言い当てられるという能力に等しいです。たとえば、ある音を聞いて、これは、「ハ長調のラの音である」ということを言い当てるというこは、「この音の周波数は、だいたい440Hzである」ということを言いあてられるということを意味しているからです。(ラの音が、440Hzであるということは、事前に勉強しておかなければなりませんが、どの音がどの周波数になるかは、単なる暗記ですので。。。)
相対音感は、2つの音を聞いて、最初の音と、次の音は、何Hz違っているということを言い当てるのに近い能力です。ただし、厳密にいうと、何Hzではなく、半音いくつ分違っているかを答えられる能力です。(半音1つが何Hzにあたるかは、音によって違うので。)
音感を訓練するソフト をこちらで公開しています。
 
あなたは楽譜が読めますか?
相対音感、あるいは、絶対音感があるということは、楽譜をみただけで、その曲を歌ってみることができるということも意味しています。このようなことを「譜面が読める」といいます。たまに、「譜面が読める」ということを、五線譜上に描かれたト音記号や音符の記号、#などの意味を知っていることと思っている人がいますが、「譜面の音符や記号が分かる」ことと、「譜面が読める」ということは別の意味です。「譜面が読める」とは、楽譜を見ただけで、そのメロディがどんな音か、分かることです。(と言っても、実際には、記号理解の意味で使われることも多いようですが。。。)
 
絶対音感が意味するもの
プロの演奏家には、絶対音感をもっている人が多くいます。しかし、良い演奏家になるには、絶対音感が必要であるというのは、誤解なような気がします。確かに、良い演奏家には、絶対音感をもっている人が多いと思いますが、良い演奏家になるために、いろいろと訓練した結果、副産物(?)として絶対音感が身についたというのが正解ではないかと重います。
次のように、考えれば、分かりやすいかもしれません。最初に書いたように、絶対音感は、つきつめれば、聴いた音の周波数を言い当てる能力です。これを、デザインの世界に置き換えてみましょう。色も、音も周波数をもっています。色の周波数を言いあてられるデザイナーというのがいたらどうでしょうか?周波数までは無理でも、おおよそのRGBの値とか、色見本の番号とか、そのようなものを言い当てられるデザイナーがいたとして、その能力と、その人がデザイナーとして優秀かどうかということは、どこまで関係あるのか、疑問だと思います。音楽でも、音の周波数を言い当てられる能力と、その人が優秀かどうかは、イコールではないと思います。(ただし、先の理由で、強い相関関係はあると思います。)
絶対音感のメリットは、聞いただけで採譜ができるとか、そのようなことだと思いますが、デメリットもあります。雨音やFAXなどの雑音を聞いただけで、ドレミで聞こえてしまい、音がドレミの音からズレていると気になるという話はよく聞きます。これらの音はチューニングされていませんから、ぴたりと、ドレミの音にあっているはずはなく、ズレて聞こえるのは当然、と言えます。
雑音だけでなく、音楽を聴いたときにも、これが邪魔になる可能性があります。聞いた音が平均律や純正律など、クラシックで使用される音律でチューニングされていない場合、ズレて聞こえるはずです。たとえば、民俗音楽には独特の音律で演奏され、それが味になっているものもありますが、これらが、すべてズレている、ということになるわけです。
 
音程差を認識する能力
相対音感や、絶対音感とは別にもう1つ、音楽に関係ある能力があります。近い音を2つ聴いて、どれだけの差まで別の音として識別できるか、という能力です。半音違う音を聴いて、識別できない人はいないと思いますが、半音の10分の1とか半音の100分の1の差だと、識別できない人はいるでしょう。ちなみに、音楽の用語で、半音の10分の1は、10セント、半音の100分の1は、1セントと言います。
自分が、どの程度の音程まで識別できるか調べるソフトをこちらで公開しています。