人類の進化と発祥の地からみるヒトの食性

生まれ故郷は誰もが持っていて、そこは一つの原点であり、また少なからずもその人自身へ影響を与えるものでもある。同じように現在の人類にとってもその生まれ故郷を探る事はヒトの原点を見つけることであり、ヒトにとって重要なカギを教えてくれるものだ。現生人類の発祥の地を求め、ヒトの食性を見つめてみる。

現生人類までの進化をたどると・・・

サルからヒトへ、そして猿人から現生人類へ。絶滅と進化を繰り返す長い年月を越え、現在の人類の祖先である現生人類が誕生した。

人類発祥の地は?

アフリカにはおよそ1000万年前、多くの種類の類人猿がいた。そしてそののち、大きな環境変化により、多くの類人猿が絶滅していったが、その中で直立二足歩行の人類の祖先が生き残り、この地に適応していった。アフリカは500万年に及ぶ人類の進化の源であり、この地をあとにして人類は世界へ広がり、後に現生人類までへと進化していった。

日本人はどこから来た?

100数十万年前、ホモ・エレクトスとなった私たちの祖先はアフリカからユーラシア大陸を渡り、日本にやって来た。そしておよそ30万〜20万年前にホモ・サピエンスになった。1931年に兵庫県明石市の海岸で発見された明石原人は約50万年前の原人の骨とみられていたが、その後85年の発掘調査で5〜12万年前の地層から、人の手で加工された木器が見つかり、それは明石原人の発掘された場所とほぼ同じ年代の地層だったため、明石原人は旧人の可能性が指摘されている。

現生人類の発祥地はどこに?

いろいろな本を読んでみるとアフリカ起源説が根強いが今だ決定的ではないようだ。ただ現在までに発見された化石の証拠から考えると現生人類の祖先はホモエレクトスから進化してアフリカからアジア、ヨーロッパへ広がっていったようである。そして、アフリカから移住してきた現生人類の祖先とホモエレクトスの地方種の混血や交配が各大陸のさまざまな地域で起こったのではないかと考えられている。

現在、発祥の地としては3つの説がある。

地域別にいうと

  1. アフリカ説
  2. アジア説
  3. オーストラリア説

現生人類が食べていたものは?

発祥の地が特定されれば当時のその地域の植物相や動物相を探ることで何を食べていたか知ることができるが、その地については未だ結論が出ていないのではっきりしたことはわからない。が、おおよその場所について、「おそらくは、熱帯から亜熱帯に近い温帯のなかの、何処かで生まれただろうということは推測できる。」と島田氏は言う。
現生人類となった時に主食にしていたのはあくまでも当時入手可能な食物であったことは確かであり、その時に食べていたものがヒト本来の食物になるといえるのだろう。
熱帯から亜熱帯に近い温帯に当てはまる、アフリカ、アジアは食用植物の起源からみるとじつに多くのエネルギー源になる食用植物の原産地になっている。アフリカはアフリカ稲、そら豆、ささげ、ごまなどがあり、アジアは稲、そば、あわ、大豆、小豆、里芋などの起源の地になっている。主食になる穀物類の起源の地と現世人類の起源の地がいっしょだったことは偶然の出来事なのかもしれない。でも、何らかの形でこれが現世人類を生き残らせ、その後の繁栄に大きな役割を果たしたことは間違いないだろう。

参考文献
食と健康を地理から見ると 島田彰夫著 農文協
人類の起源 フィオレンツォ・ファッキーニ著 片山一道監訳 同朋社出版
人類の起源(イミダス特別編集) 馬場悠男監修 集英社