ドイツ・オーストリアの旅・旅行記

ニュルンベルク Nurnberg

フランクフルト空港から、列車にのって南東に進み、ニュルンベルクに至りました。ニュルンベルクは、ドイツ・ルネサンスを代表する画家、アルブレヒト・デューラーや、バロック音楽の作曲家、パッヘルベルで有名な町です。駅から少し歩くと、市壁があって、ケーニヒス門をくぐると旧市街に入ります。門の脇には、中世の職人街が再現されています。

 旧市街のケーニヒス通りをしばらく行くと、聖ローレンツ教会前の広場に出ます。この教会には、ドイツ・ルネサンスの彫刻家、ファイト・シュトスの受胎告知の彫刻が天井から下げられています。そこから、さらに歩くと、市内を横切って流れるペグニッツ川に出ました。川にかかるムゼウム橋から見ると、川にまたがって建っている聖養老院が見えました。ニュルンベルクを代表する美しい建物です。

 川に沿って少し歩いて、北に曲がると、中央広場に出ます。広場には朝市が開かれていて、美しい花々を売っていました。広場に面して立つのは、フラウエン教会です。広場の一角には、金色の小塔、シェーナー・ブルンネンがあり、願いごとがかなうと言う「金の輪」を回して来ました。

 広場からさらに北に向かって、坂を上って行くと、デューラーの銅像があります。その先に、デューラーの家があります(写真)。ここは、デューラーが晩年に住んだ家です。ちょっとゆがんだ大きな屋根と、れんが色の木骨が特徴です。中には、版画のプレス機などのデューラーが使った品々が展示されています。デューラーの家のすぐ上が、カイザーブルク城です。城からは、ニュルンベルクの町を見渡すことができます。


ミュンヘン Munchen

  ニュルンベルクから特急(ICE)でミュンヘンに向かいました。途中、先行する列車の故障で、だいぶ遅れてミュンヘン中央駅に到着しました。ミュンヘンはかつてのバイエルン王国の中心都市です。ミュンヘンで、まず行きたいのは、ドイツを代表する美術館であるアルテ・ピナコテークです。私達が行ったときには、アルテ・ピナコテークは工事中で、主要な作品はとなりのノイエ・ピナコテークで展示されていました(現在は工事は終了しています)。デューラーの「四人の使徒」や「自画像」をここで見ることができます。

 ノイエ・ピナコテークからルードビッヒ通りに出て、南に向かいました。しばらく行くと王宮であるレジデンツに出ました。レジデンツのとなりには、バイエルン州立オペラ劇場があります。夜にはこの劇場で、モーツァルトの「フィガロの結婚」を見ることができました。ただし、とれた席は、舞台が半分しか見えない、一番上の席でした。王宮の南には市庁舎があります(写真)。その前のマリーエン広場では、子供達が歌を歌っていました。

 次の日は、ミュンヘン郊外にあるニンフェンブルク城を訪れました。市電に乗って、市の北西部のはずれまで行きます。この城は、かつてのバイエルン王の夏の離宮でした。城と言うよりも、清楚な宮殿と言う雰囲気です。宮殿の背後にまわると、ヴェルサイユ宮殿のような幾何学的庭園がのびていました。


ザルツブルグ Salzburg

ミュンヘンから再び列車に乗って南東に向かいました。国境を越えてオーストリアに入るとすぐにザルツブルグに着きます。ザルツブルグは、モーツァルトの生まれ故郷として有名です。ザルツブルグ旧市街は、ザルツァッハ川と山にかこまれた狭い範囲にあります。ザルツブルグ駅は、旧市街とは川をはさんだ反対側にあり、私達はこの駅のそばのホテル「ヨーロッパ」をとりました。ホテルから川に向かって歩くと、美しいミラベル庭園に出ます。庭園を抜けたところにあるマカルト広場に面して、モーツァルトの家があります(これはモーツァルトの生家とは違います)。現在は、一種の博物館のようになっています。

 ザルツァッハ川にかかるマカルト橋を渡って、旧市街に入ります。観光客で混んでいる、ゲトライデ・通りに入ってしばらく行くと、モーツァルトの生家があります(写真)。これはマカルト広場の家よりは小さな家でした。家の内部には、モーツァルトが子供のころに使ったバイオリンや、オペラの舞台の模型が展示されていました。通りに出て東に進むと、大聖堂に出ます。このバロック様式の大聖堂では、モーツァルトが洗礼を受けました。ここから少し行ったモーツァルト広場には、モーツァルトの銅像があります。

 大聖堂から南に少し行くと、ケーブルカーの乗り場があります。短いケーブルカーに乗って山に登ると、ホーエンザルツブルク城の城門に出ます。この城は、ザルツブルグ大司教が築いたものです。城の上にあるカフェでお茶をいただきました。ここからは、ザルツブルグ市街を見下ろすことができ、また、遠くアルプスを望むことができました。城の中では、ときどきモーツァルト作品のコンサートが行われています。残念ながら私達は、日にちが合わなくて聞くことができませんでした。

 次の日には、ザルツブルグ郊外の景勝地、ザルツカンマーグート地方の、ザンクト・ギルゲンを訪れました。ザルツブルグ駅前からバスで行きました。ザンクト・ギルゲンはザンクト・ヴォルフガング湖のほとりの小さな村で、モーツァルトの母の故郷でもあります。湖のほとりまで歩いて行くと、途中に5月の祭りの柱、「マイ・バウム」が立っていました。小高い丘に少し上って見ると、たまねぎのような塔を持つ教会を中心とする村が見渡せました。


ウィーン Vienna

  ザルツブルグから再び列車に乗って、西へ向かいました。約3時間でウィーンの西駅に到着しました。ウィーンは、クリムトを中心とするウィーン分離派の街として、私達にはあこがれの街のひとつです。ホテルは西駅のすぐ前のオーストロテルをとりました。ウィーンの旧市街は、かつての市壁があったリング通りで囲まれた範囲にあります。まず、旧市街の中心にある聖シュテファン寺院を訪れました(写真)。この寺院はウィーンの象徴であり、その尖塔は各地から見ることができます。

 次に、世界的な大美術館であるウィーン美術史美術館を訪ねました。ここには、ハプスブルグ家がヨーロッパ中から集めた美術品が展示されています。この美術館は、リング通りに面して、自然史博物館とならんで建てられています。美術館全部はとてもまわりきれないので、絵画部門だけを駆け足でまわりました。ラファエロの「草原の聖母」、ベラスケスの「王女マルガリータ」、デューラーの「ベネチアの娘」は必見です。なかでも、ブリューゲルの部屋は圧巻で、「バベルの塔」「農民の結婚」などの代表作が並んでいます。階段室の上のほうにクリムトの壁画があるのも見のがせません。

 ウィーンの世紀末美術の作品は、オーストリアギャラリーで見ることができます。このギャラリーは、リング通りを越えて南東に行ったところにある、ベルヴェデーレ宮殿の中にあります。ここでは、クリムトの「ユーディット」、「キス」、「水蛇」、さらにエゴン・シーレやココシュカの作品が有名です。私達が行ったときには、ちょうど、モネの特別展もやっていました。もう1つ見ておきたい所は、オーストリア工芸美術館です。これは、リング通りの東部分、市立公園のそばにあります。ここでは、20世紀デザインの原点とも言える、ウィーン工房の作品を見ることができます。ヨーゼフ・ホフマンのいすがあります。

 ウィーンのもう一つの楽しみは、世紀末の建築巡りです。まず、カールス・プラッツ近くにある、分離派館に行きました(写真)。金色の葉でできたドームが目印です。地下には、クリムトの壁画、ベートーベン・フリースがあります。この近くには、オットー・ワーグナー設計のカールス・プラッツ駅があります。ここから、通りを南西に下って行くと、同じくワーグナー設計のマジョリカ・ハウスがあります。壁面にピンクの花模様のあるアパートと、金のメダルのあるアパートがならんでいます。再び、旧市街中心部にもどると、ミヒャエル広場にロース館があります。装飾を拒否したアドルフ・ロースによって作られたこの建物は、現代建築の原点と言えます。さらに北に行くと、ワーグナー設計の郵便貯金局があります。そこから東に行くと、時代は新しくなりますが、奇想の家、フンデルトバッサー・ハウスがあります。

 最後の日には、市電に乗って、ウィーン北方の郊外、グリンツィングに行きました。ここには、新酒のワインを飲ませる、ホイリゲと呼ばれる店があります。ここで、バイオリンの演奏を聞きながらワインをいただきました。

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