フランスの旅・旅行記

シャルトル Chartres

パリ近郊で、ぜひ行ってみたいのは、大聖堂で有名なシャルトルです。パリのモンパルナス駅から1時間くらいで、シャルトル駅に着きます。列車がシャルトルに近付くと、麦畑のなかに大聖堂の尖塔が見えてきます。シャルトル駅からしばらく歩くと、大聖堂正面の広場に出ました(写真)。大聖堂はあまりにも巨大なため、広場の端までいっても全体を視野におさめることはできません。正面からのスケッチは断念しました。そびえ立つ2本の尖塔は、左右で様式が違うのが特徴です。右側がシンプルなロマネスク様式、左側が繊細で装飾的なゴシック様式です。

 大聖堂の内外は彫像で埋まっています。尖塔と同じように様式と時代の異なる彫像が見られます。西正面入り口の上には、最後の審判の浮き彫りがあります。大聖堂内に入ると、暗い堂内で美しいステンドグラスからの光がかがやいています。ふりかえると有名なばら窓ありました。聖堂東奥の内陣のさらに奥には、聖遺物を展示する小部屋がありました。また、側廊の小さなドアから入って、せまいらせん階段を登って行くと、屋根の上に出ることができます。地平線まで広がる麦畑を見渡すことができました。ただし、高いところがにがてなRyuichiは、てすりにしがみついていました。

 大聖堂の脇をぬけていくと、付属の美術館があります。残念ながら、この日は閉っていました。そこで、美術館脇の細い坂道を下って行きました。すると、思いがけなく中世の町並みに出会いました。小川(ウール川)の流れにそってかわいらしい家々がならんでいます。ここからは、大聖堂背面の複雑な建築構造が見られます。小川にそってしばらく散歩しました。途中でみつけたパン屋でおみやげを買って帰りました。


ニース・モナコ Nice and Monaco

  パリのオルリー空港から飛行機で約1時間で、ニース空港に着きます。空港からはタクシーで町の中心部にあるホテルに向かいました。次の日は、ニースの中心をつらぬくジャン・メデサン通りを南下して、海岸に出ました。海岸通りのプロムナード・デ・ザングレには高級ホテルがならんでいます。まだ春なので、海岸の人影はまばらでした。

 ニースには、ぜひおとずれたい所として、シャガール美術館とマチス美術館があります。シャガール美術館は坂を上って、鉄道のトンネルの上を越えたところにありました。ここには、旧約聖書の場面を描いたシャガールの宗教画が展示されています。愛の画家シャガールとは別の面が見られます。特に、ステンドグラスは圧巻です。さらに坂を上って北に行くと、マチス美術館があります。ここには、晩年の切り紙作品など、マチスの後半期の作品が展示されています。美術館のそばには、ローマ時代の円形競技場の遺跡があります。

 町の中心部にもどり、マセナ広場から東に進むと、ニースの旧市街があります。迷路のような街路をめぐりながら、庶民的な町を楽しみました。旧市街をぬけたところに、砦(シャトー)があります。砦へ向かう坂道を上って行くと、赤茶色の屋根の地中海風の家々が見渡せます。足が疲れてきたころに、やっと頂上の砦にたどり着きました(写真)。砦の上からながめた地中海のアズール色に、しばし感動していました。

 ニース駅から列車に乗り、地中海をながめながら約30分たつと、モナコ・モンテカルロ駅に到着します。駅からしばらく歩くと、長い階段があります。階段を上って城門をくぐると、王宮前の広場に出ます。王宮は白亜の宮殿で、正面には衛兵がいます。広場の反対側には、みやげ物屋がならんでいますが、そこの細い道に入るとモナコの旧市街です。みやげ物屋やカフェをながめながら、細い道をぬけると、海岸の通りに出ます。通りの向こうにあるのが、海洋博物館です。海岸の岩場に立つ建物が特徴的です。屋上からは、地中海が見渡せます。海岸通りを王宮のほうにもどると、モナコ大聖堂があります。ここはモナコ王家の教会で、歴代の王室の墓があります。王宮のある高台を下りて、モナコ港にそって北に行くと、有名なカジノがあります。ただし、建物だけ見て中には入らずに帰ってきました。


ナンシー Nancy

 フランス北東部の都市ナンシーは、アール・ヌーボーの都として知られています。アール・ヌーボー好きの私達は、この町を2度訪れました。パリの東駅から鉄道で約3時間でナンシー駅に着きます(現在はTGVが走っているのでもっと早く着くでしょう)。アール・ヌーボー・ナンシー派の中心はエミール・ガレです。彼はこの町で、独特のガラス工芸品や家具を作りました。彼の作品は、駅の西にあるナンシー派美術館で見ることができます。駅の東にあるナンシー市美術館とまちがえないように。ナンシー派美術館は、アール・ヌーボー収集家のコルバンの私邸で、壁の青い線の模様が特徴です。展示物の中には、「ひとよたけのランプ」などの有名なものがありますが、圧巻は2階にある「曙と黄昏」のベッドです。巨大な蝶と蛾の装飾がベッドを飾っています。

 ナンシーのもうひとつの楽しみは、アール・ヌーボーの家めぐりです。植物的なモチーフをデザインに取り入れた独特の家です。アール・ヌーボーの家は、市内にちらばっていますが、スタニスラス広場近くのインフォメーションで地図を手に入れることができます。まず、駅から北に線路ぞいに進むと、エミール・アンドレのデザインした家があります(写真)。逆ハート形の窓が特徴です。駅にもどって、西にしばらく進むと、家具デザイナーのマジョレリの家があります。バルコニーの鉄材の植物的な曲線が、印象に残ります。


ストラスブール・コルマール Strasbourg and Colmar

  アルザス地方は、フランスとドイツの国境地帯に位置しています。フランス文化とドイツ文化の融合したような独特の文化を持っています。そのアルザスの中心都市が、ストラスブールです。パリ東駅からは、列車で約4時間で着きます。ナンシーからは1時間20分です。ストラスブール旧市街は、川にかこまれた中洲のような町です。泊まったホテル「グーテンベルグ」は、旧市街の中心部にあるグーテンベルグ広場の近くにありました。グーテンベルグ広場を横切って東にしばらく進むと、ストラスブール大聖堂前の広場に出ます。大聖堂は、この地方に特有のバラ色の石でできています。尖塔が片方しかないのも特徴です。脇にまわるとある、天文時計や、目隠しをした女性の像もお見のがしなく。

 旧市街の南西部には、プチット・フランスと呼ばれる中洲の町があります(写真)。ここは、ストラスブール観光の目玉とも言うべきところで、アルザスに特有の木骨組みの家がならんでいます。家々の窓際には、ゼラニウムが美しく咲いていました。町を流れるイル川の水門では、ごう音をたてて水が流れていました。プチット・フランスから橋を渡っていったところに、ストラスブール現代美術館ができました。ちょうど、私達がでかけた日がこの美術館の開館の日で、無料で公開していました。ここは、ダダイズムの画家であるジャン・アルプのコレクションが充実しています。

 コールマールはアルザスのワイン街道の中心都市です。ストラスブールから列車に40分ほど乗ると、コールマールに着きます。駅から広い公園を横切って進んでいくと、コールマールの旧市街に出ます。泊まったホテル、サン・マルタンは、旧市街の一角にあるプチ・ホテルで、アルザス風のかわいらしい部屋でした。家々の様式は、ストラスブールのプチット・フランスに似ていますが、より「おとぎの家」に近い感じです。旧市街の北部にあるウンター・リンデン美術館は、中世の修道院の建物を利用した美術館です。ここでは、グリューネバルトのイッセンハイム祭壇画が必見です。また、ドミニカン教会の「ばらの聖母」の絵もおすすめです。最も有名な観光スポットは、プチット・ヴニーズつまり「小さなベニス」と呼ばれる、川ぞいの家並みです。かわいらしい家々と美しい花壇が、川面に映っています。

 コールマールからは、ワイン街道めぐりの日帰りのツアーが出ています。ツアーと言ってもこの日の客は私達だけでした。ワゴン車でウンター・リンデン美術館前を出発して、カイゼルスベルグ、リックヴィル、リボービルをまわりました。ワイン街道ぞいには、ぶどう畑が見渡せます。それぞれの村は、中世の町並みを残した魅力的な村です。ところどころの家の煙突の上には、こうのとりの巣がありました。ただし、こうのとりそのものは見られませんでした。

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