北岳
(3,192m) − 山梨県
1999.08.01 (日)
山ある記
深夜2時、広河原駐車場。甲府から南アルプス林道を芦安方面に向かい、夜叉神峠を越えて、一気に標高1,500mまで駆け上がる。既に駐車場は満杯に近い。北岳の人気のほどが分かる。星々が天を埋め尽くさんばかりに輝く。夜明けを待って出発の予定で、軽く仮眠。
4:55
岸の向かいの広河原山荘へ渡る広河原橋(吊り橋)の手前から、朝日に赤く染まる北岳山頂が浮かび上がる。谷はまだ薄暗い。他の登山者たちも、待ってたとばかりに続々、登山口に向かう。
6:35
大樺沢渓谷沿いをひたすら登り、大樺沢二俣。途中、ガレ場を避けて、沢を巻くようなところもあった。沢の流れは爽やかで、清流の音が心地好い。気温18度。白い雪渓がずっと上に見える。ガイドで見た写真では沢はもっと広大な雪に覆われていたが、今年はわずかに白く見えるだけだ。ここからは、八本歯、右俣、白根御池への3コースがある。一旦、白根御池へ出ることにした。
6:55
白根御池へ。ここからはお花畑が楽しめる急登だ。日当たりが良いのだろう、百花繚乱といったところ。様々な花々が今が盛りと咲き乱れる。でも派手派手しさはない。どの花も小ぶりで可憐な感じ。
8:10
右俣コースとの合流地点。富士山が雲海から黒い頭を覗かせている。空は快晴だ。ここからは殆ど岩ばかりになる。そんな所にもしっかり根を張り、小さな花を付ける植物たちが力強く生きている。
8:55 肩ノ小屋。標高3,000m。気温17度。よくこんな所に小屋を建てたものだ。山頂は真近。鳳凰三山、甲斐駒、仙丈が手の届くほどに近い。
9:50
北岳山頂。多くの人々で賑わっている。風はあるが、陽光が暖かい。富士をはじめ、鳳凰三山、甲斐駒、仙丈、間ノ岳、農鳥、塩見など南アルプスの主要な山々、八ヶ岳、北アルプスの峰々まではるかに見渡せる。日程が許せば、間ノ岳、農鳥、塩見と行きたいところだ。
光岳から8日かけて南アルプスを北上して来たというツワモノ2人と遭遇。背中の荷物が重そうだ。うどんと蕎麦ばかり食べてきたという。顔は痩せた気がするが、腹は引っ込まないなと笑う。山頂から光岳は極小さく見える(らしい)。そんな所から歩いて来たということに尊敬すら感じる。
でかい望遠レンズ付きのずっしり重いカメラのおやじさんと北岳の標識と富士をバックにお互いに記念撮影。そんな山頂に黄アゲハを発見。
白根御池から北岳
山頂から間ノ岳
10:30
下山開始。少し山頂でゆっくりし過ぎた。北岳の周りの谷から水蒸気がどんどん上がってくる。それとともに視界も悪くなってきて、見晴らしも遮られるようになる。下りは北岳山荘へ下りるコースを途中、八本歯コル側へ下り、大樺沢二俣に出るコースを取った。左手に岩が切り立ったバットレスが険しい。
11:35 八本歯コル下の水場。コースは下山ラッシュ。
12:20
雪渓下。下から見た白い雪渓は、実は砂と石にまみれ汚い。雪渓は遠くにありて想うもの。上部は殆ど砂利で覆われているため、下からは山肌にしか見えないはず。それでも分厚い雪の層が残っている。ここが大樺沢の清流の源だ。
13:10
大樺沢のガレ場下。もうここまで来れば、下山したも同然。標高は1,900mくらい。
14:00 無事、登山口着。
北岳にはここでしか見られないという高山植物がある。キタダケトリカブト、キタダケソウ。キタダケソウは時期が遅かったようで見られなかった。
山頂付近で見かけたミヤマオダマキ。
帰りは、峠道を下りきった所にある金山沢温泉で入浴。小さいが露天風呂もある。休憩所が有料なのが残念。入浴料\550でした。
標高差約 1,550m。
<参考地図>
アルペンガイド10 「北岳・甲斐駒・仙丈」(山と渓谷社)
|