乗鞍岳   (3,026m) − 岐阜/長野県                 1999.08.21 (土)

山ある記

   天候:曇り

   帰省先から帰京する途中というか、山に登ってそのまま帰京するというか。できれば穂高に登りたいと思い、上高地方面に向かった。和泉村から雨の油坂峠を越え、白鳥町から蛭ケ野高原を抜け、荘川村へ。左へ行くと白川郷。右の高山市方面へ車を向ける。飛騨高山までは雨が降ったり止んだり。高山から国道158号を松本へ向かうと、上高地の手前に平湯がある。温泉街に入った途端に硫黄臭がする。奥穂高へは上高地から往復するつもりで、早朝に上高地へ入る計画。上高地へはマイカー乗り入れが規制されているため、ここで車を置いて、バスかタクシーで行くことになる。午前4時前に平湯に着き、上高地行きバスの始発時間(5時)を確認。見上げれば満天の星空。夜明けまで仮眠をとる。

   ふと目を覚ますと5時半過ぎ。ターミナルからはバスが動き始めていた。空はいつの間にか雲に覆われ、北アルプス方面の空も薄暗い。ここへ来る途中で雨を降らせた雲が移動してきたか?寝覚めがすっきりせず、天気に不安もあり一旦、出発を遅らせ一眠り。7時前に目を覚ますが天気は相変わらず。あっさり上高地行きを諦め、乗鞍岳へ目標変更。平湯からはスカイラインですぐだ。

   片道料金でスカイラインを畳平へ。一気に標高2,700mへ上がることが出来る。畳平の手前からは濃霧で運転しづらい。畳平の駐車場は既に多くの車があった。

7:25 畳平を発。辺りは雲に覆われ、遠望は期待できない。気温20.6度。

7:45 肩ノ小屋(標高約2,775m)。気温18.6度。鶴ガ池の右手を反時計周りし、富士見岳を左に見ながら下を歩く。右手の摩利支天山頂にコロナ観測所が見える。摩利支天の左奥に乗鞍岳最高峰・剣ガ峰が見えてくる。小屋のそばには山頂まで40分の標識あり。

norikura0031.JPG (62066 バイト) 曇る前の乗鞍岳(剣ガ峰)。雪渓が残る。

8:10 山頂(標高3,026m)。山頂に近づくにつれ霧が濃くなる。登山道は登り下りに多くの人で賑わっている。一気に3,000m超の山を登頂できてしまう手軽さ。複雑な気分。山頂に社があるが、御札や御神籤を売るらしいニイチャンが煙草を咥えて座っている。なんだこの山は。

8:30 下山開始。山頂で朝ご飯を食べ、少しでも雲が晴れてくれれば何か景色が見れるかと待っていたが好転しそうもなく、山を下りることに。

8:50 肩ノ小屋。踏ん張りが効かないガレた道を転がるように剣ガ峰を下った。

9:15 富士見岳山頂(標高2,817m)。気温15.9度。時間も体力もたっぷりあったので登ってみる。肩ノ小屋からは摩利支天の山肌に広がるお花畑を見たり、剣ガ峰の南斜面にわずかに残る雪渓で夏スキーを楽しむ姿を眺めたり。残念ながら富士山は見られなかった。団体さんにの引率者の説明を脇で聞いていて初めて、こんな高所までスカイラインのような道が付けられた理由を知る。どうやら第2次大戦中に日本陸軍が戦闘機のエンジン開発を高所で行う目的で道を開いたらしい。それを岐阜県が昭和48年に舗装して有料道路としたと言っていた。

9:35 畳平。

   イワギキョウ、トウヤクリンドウ、イワツメクサなどが咲き、万人が楽しめる山であった。一昨日の剣岳と正反対のチョー御気楽登山でもある。帰りは乗鞍高原側にエコーラインを下り、松本方面へ再び158号線に出た。狭い洞窟のようなトンネルが連続し、週末もあって車が非常に多かった。下界では青空も見られ、日差しも強く暑くなっていた。夏休みも明日一日となった土曜日だった。

標高差約 320m。

 
<参考地図>
アルペンガイド13 「北アルプス」(山と渓谷社)