五竜岳
(2,814m) − 長野・富山県
1999.10.10 (日)
山ある記
天候:晴れ
また無茶をしてしまった。白馬岳の翌日、八方から五竜を日帰りで往復。全行程11時間。さすがに疲れた。
白馬の2日目。八方・黒菱平は明け方、相当冷え込んだ。前夜11時過ぎには連日の満天の星空の下、駐車場に車を停め、ゆっくり睡眠。朝のラジオの天気予報は全国的な晴れを知らせていた。プリンで軽く朝食。薄明るい車外に出て、準備。既に駐車場ではちらほらと動き出す人々の姿も。白馬三山が朝日でピンクに染まっている。太陽が雲から顔を覗かせたばかりだ。当然、まだ早いので黒菱第3リフトもグラートクワッド(八方池山荘が終点)も動いていない。自分の脚で登るしかない。
5:50 黒菱平(標高約1,520m)を発。兎平から上るアルペンクワッドの向かって右側の狭い廊下、黒菱ゲレンデの急斜面を右手に見ながら歩く。初めて黒菱に滑りに来たときは尻込みしたものだ。丁度リフトを挟んで有名な”兎のコブ”の反対側。冬はカチカチの斜面だったっけ。急で真っ直ぐ登るのは辛い。登り始めだからゆっくりジグザグ歩行で乗り切る。振り返ると白馬の街が朝靄に覆われている。
6:10 アルペンクワッド降り場(約1,680m)。すっかり体は温まった。ここからはグラートクワッドが動いていれば、八方池山荘まで6分で行ける。が、ここも歩く。リフト沿いに敷かれた石畳の遊歩道を辿る。南に五竜、遠見尾根の向こうに鹿島槍がくっきり見える。
6:35 八方池山荘(約1,820m)。笹の葉に霜が降りて白い。
6:50 八方山(石神井)ケルン(1,974m)。日差しが暖かくなってきた。
7:00 第2ケルン(2,005m)。手前にはなんと水洗のトイレが。さすが白馬。
7:05 八方(逗子開成高校)ケルン。
7:15 第3ケルン(2,080m)。八方尾根はガスがかかることが多いらしく、ケルンも多い。
7:55 雪田(扇雪渓、2,361m)。小さな雪渓がある。ここを登ったところで小休憩。燃料切れ。
8:10 丸山ケルン(2,350m)。五竜は遥か遠い。足取りが少し重い感じ。昨夜はゆっくり休んだつもりだったが。
8:55
唐松山荘。尾根をだらだらと歩いていくと、山荘の手前に短い鎖。絶壁を横歩きに伝う。丁度目の前で、下山する親子連れがそこを通過したところを小石が崩れて落ちてきた。危ないところだった。私も頭上を気にしながら素早く鎖を通過。唐松岳は山荘からすぐ近い。剣・立山が良く見える。ここも少し休んだだけでパス。大黒岳の尾根伝いに五竜を目指す。
9:40
大黒岳を越えた下あたり。唐松山荘からはいきなり狭い尾根歩き。鎖場の連続。ガイドには説明がなかったから心の準備が出来ていなかった。案外ここは苦労した。剣岳のカニノヨコバイ・タテバイほどではないが、気が引き締まった。また、鎖場の所々で渋滞した。大黒沢から吹き上げてくる風が冷たい。ここまでは風は全く無かった。
五竜岳、白岳手前より(65KB)
9:55 白岳(2,541m)の手前あたりで休憩。もう五竜は目の前だ。どっしりした男性的な山である。
10:35
五竜山荘。山荘の外は多くの人で賑わっていた。小休憩の後、多くの人が山荘の外にザックを置いて山頂を目指すのに倣って、私もカメラとドリンクだけを持って、出発。話によると前夜の山荘の宿泊者はかなり定員オーバーしていたとか。唐松山荘のほうはそれほどではなかったらしい。
11:20
五竜山頂。鎖場が1個所あったが比較的楽に登れた。なんとか昼前に登頂。気温20度。剣・立山が直ぐ目の前に見える。山頂も人が多く、皆、展望の良さに満足げに見える。風もなく暖かいくらい。
五竜山頂より剣岳(51KB)
山頂より鹿島槍(49KB)
11:40 名残惜しく下山。なんとか日が暮れる前に下山しなければならない。
12:15 五竜山荘。昼食。
12:30
下山再開。疲れはそれほどではないが、大黒岳の登りと唐松山荘への鎖場の岩稜を行くのを考えると気が重い。
13:15 大黒岳の五竜側の下あたり(約2,370m)。登山道の脇に広く平らになった部分があり、横になって一休み。五竜岳に脚を向けて大の字になって、なんとも贅沢な気分。いよいよ最後の登りということで気分転換しておきたかった。
14:20
唐松山荘。難所の鎖もなんとかパスして、ほっとした。もうあとはひたすら下るだけである。辿り着いたら着いたで欲が出た。ついでに唐松岳も登ってしまえ。ドリンク類はほとんど底をついていた。
唐松岳、唐松山荘より(60KB)
14:40 唐松岳山頂(2,696m)。こちらはもっと人が多かった。五竜岳を見直すと、我ながらよくも歩いたものだと思った。白馬三山をカメラに納め、休憩もそこそこで下山。喉が乾いた。完全に飲料がなくなった。気温23.8度(ほんとか?)。
15:00 再び唐松山荘。缶のお茶(250ml)を仕方なく購入(\400)。今日はドリンク類は計1.5リッター用意していたがこの時点で全てなくなった。計算を誤った。昨日は1リッターで十分だったのに。山荘の外ではジョッキでビールをうまそうに飲んでいる姿も見られた。うらやましかったが、兎に角下山するこのが先だ。中央競馬の実況をラジオ短波で聞きながら、気を紛らせながら下る。
15:35
丸山ケルン。丁度、東京競馬場のG2・毎日王冠、京都のG2・京都大賞典の時間。ラジオを聞きながら非常用に詰めていたフルーツの缶詰を開ける。
16:25
八方池。ずいぶん歩いたものだ。陽もだいぶ陰ってきた。振り返ると山々の間から夕日が漏れて光のカーテンができていた。気温も下がって15.2度。丸山ケルンを下ったあたりで、登ってきたグループが雷鳥がいると教えてくれた。じっとしているので近づかないと分からなかったが確かにいた。3羽は確実にいた。
17:00
八方池山荘。グラートクワッドの運転時間が過ぎたようで、スタッフが乗る人がいないか拡声器で叫んでいた。リフトで降りてもよかったが、ここまで来たらとことん歩く。石畳をクワッドの乗り場まで歩く。
17:10 兎平アルペンクワッドの終点。気温9.8度。そろそろ暗くなってきた。
17:20
黒菱平駐車場。もうくたくた。白馬村には街の灯かりが燈り始めていた。
標高差約 1,290m。
<日帰り温泉>
白馬国民健康保養センター”岳の湯”は八方から五竜へ向かう県道沿いにある。内湯4/サウナ1。くたくたの体もだいぶ楽になった。連日の好天で顔だけ日焼けした。唇も真っ赤だ。ドライヤーが1つだけなのが残念(\10)。入浴\410、ロッカー\100。
<参考地図>
アルペンガイド13 「北アルプス」(山と渓谷社)
|