山ある記 |
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常念岳 (2,857m) − 長野県 2000.10.22 (日) |
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天候:晴れ 標高差:1,530m |
<課題を持って山へ・・> 先週は迂闊にも登山口の駐車場の車中で寝過ごしてしまったため、登頂を諦めたが、今週末の天気予報に、絶好の登山日和到来と再度、常念にやってきた。。 YAMAKEI-Hotline「週報 主要山岳情報」によると、 ”常念岳 /常念小屋 発 ★周辺登山道支障なし。10/17降雪あり、山頂 5cm、小屋前ナシ。要防寒具冬山装備。” と雪の便り。一応、寒さ対策を立てて出発。この週は北海道でも初雪の便り、あちこちの山岳部でも初冠雪との便りが届いた。 今回の登山にはテーマをもって望むことにしていた。 これまでの山行は兎に角、山頂に立ちたいという思いで漫然と歩いてきた。 とりあえず数をこなすうちに自分のペースというものを把握してきてはいるが、ただひたすら歩いてきただけだ。これまで大した怪我がないのも、ただ運が良かっただけとも限らない(膝痛や靴擦れ、筋肉痛はショッチュウだが)。そこで、いかに疲労を抑え、怪我なく、それでいて早く歩くことを目指して少し研究することにした。 実は今、読んでいる本「登山の運動生理学百科」(山本正嘉・著、東京新聞出版局、\2,000)の影響が大きい(まだ読み終えていないが、登山を科学することで新たな発見をする)。山で実際に自分のコンディションをモニタリングすることで、快適な山行を実現するために自分に何が足りないかを掴みたいと考えていた。 で、何をしたかというと、出来るだけ定期的に休憩と水分補給、栄養補給、脈拍の測定を行うことにした。また、これまでも山行中はメモ帳に簡単な記録をとってはいたが、これに伴いもう少し情報量を増やしてみた。 |
6:10
三股登山口駐車場(標高約1,325m)を出発。朝食は焼きプリンとワッフル。まだ薄暗い中を本沢沿いの林道をしばらく歩く。 7:05 標高約1,755m地点。小休憩(以下、休)。水分補給(以下、水)。長袖Tシャツの上にスキーセーターを着ていたのだが、上半身から蒸発していく汗が朝日を浴びて、体から湯気が立ち昇るよう。 8:00 約2,140m地点。休。200ml紙パックのジュース。脈拍120/分(休憩前の値。15秒間の値を4倍している。以下、脈)。 8:15 約2,210m地点。視界が開け、常念山脈の山並みが見渡せる。白い岩で覆われた前常念岳が木々の間から時々覗くようになる。 8:40 約2,360m地点。森林限界となり、目の前に前常念岳の山肌が迫る。 9:05 約2,500m地点。脈132。 9:30 岩室跡(2,662m)。この辺りが前常念岳となる。休。水。脈140。岩室跡までの岩場の登りでは大腿部がピクつきかけた。吹きっ曝しの斜面であるが、天候が落ち着いていることもあり、ほとんど風はなく、心配していた寒さもなくて快適な登り。岩室の手前で今日、初めて下ってくる人にあう。常念小屋に泊まって、今朝、常念岳の山頂を踏んで下ってきたらしい。 |
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<目の前に槍の穂が・・> 10:10 約2,805m地点。前常念岳からの尾根伝いの、常念岳山頂が目前の最後のピーク。右の肩に槍(ヶ岳)の穂がはっきり見えるようになる。休。脈136。ヴィダーinゼリーで短期間で栄養補給。気温19.2度。常念小屋には降りずに、そのまま山頂を目指す。 10:25 山頂。大休憩。ゆっくり腰を下ろし、景色を眺めながらの昼食(おにぎり2個、魔法瓶の温かいお茶)。脈136。空は晴れ上がり、山頂からの展望は申し分ない。槍は何人も寄せ付けないほどの威厳ですっくと天を突いている。これほどの近さで槍を拝むのは初めてである。その左手には穂高連峰の山塊がどっかと座っている。そこから急激に落ち込んだ底に、梓川の源流が細い流れを光らせている。この瞬間にも槍の山頂に向かっている人もあるのだろうと思うと、(その天候の良さもあり)姿は見えなくても羨ましくなる。 11:00 下山。登頂には予想外の早いペースで来ることが出来たので、蝶ヶ岳まで足を伸ばし、そこから三股へ下ることも考えてみたが、時間的にきつそうであったため無理せず、来たコースをそのまま下ることにした。 11:30 岩室跡。休。脈124。 12:00 前常念岳を下り、森林限界地点。休。ここまでの下りは岩が多く、不安定な足場。(標高差を考えて用意してきた)ストックが威力を発揮。脚腰への負担を減らしてくれる。 12:25 樹林帯歩きとなって、一瞬視界が広がる地点(約2,210m地点)。休。水。陽が高くなってきたせいか暑さを感じる。スキーセーターを脱ぐ。 12:55 標高約1,910m地点。休。脈128。意識してゆっくり降りようとするが、重力には逆らえない。 13:25 約1,585m地点。水。脈120。 13:55 登山口に着。脈112。 |
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<日帰り温泉> 「ほりでーゆー」。堀金村。登山口から堀金村へ下った道沿いにある日帰り浴場。内湯2(ジャグジー、打たせ湯も)、露天2、サウナ1。露天風呂は、熱くもなくぬるくもなく疲れを癒すには適温。休憩室あり。宿泊も可。\500。 <参考地図> ・アルペンガイド13「北アルプス」(山と渓谷社) ・どこでもアウトドア 「日本百名山を登る(下巻)」(昭文社) |
水は2リッターのペットボトルを持参したが、1リッター以上も残っていた。やはり気温がそれほど上がらなかったことが影響していると思う。 また、脈拍については、平地での安静な状態での数値が60〜64であるから、山での運動中の値がいかに大きいものであるかが分かる。これは息苦しくなるほどのペースにならないよう、意識して抑えていての値であり、私としては130前後が目安となりそうだといことが分かった。 今回は新兵器の評価も兼ねていた(そんな大袈裟なものではないが)。普段はGパンにTシャツといったコットン系の衣類が多いのだが、汗を吸っても乾きが悪い。吸湿性と速乾性のある素材で出来た衣類のほうが、これからの寒い季節は有利だと(今ごろ)思い、ICI石井スポーツで長袖アンダーウエア(ダクロン素材)とフリース地のパンツ(一見パジャマのようだが、保温性がよく、そのままアウターとして履ける。素材・マイクロマティーク)を購入した。その効果は明らかであった。 *反省:携帯ラジオを落としてきてしまった(安くはなかったのに)。 |