歌舞伎  

日時:2004.07.25(Sun) 22:00 〜 NHK教育放送「劇場への招待」(2004年6月歌舞伎座・収録。海老蔵襲名披露講演より)
原作:初代市川團十郎
分類:純歌舞伎

配役:
鎌倉権五郎景政:市川海老蔵(十一代目)
清原武衡:中村富十郎
那須九郎妹・照葉:中村時蔵
鹿島入道震斎:坂東三津五郎
加茂次郎義綱:中村芝翫
ほか

内容:
 鶴ヶ岡社頭の場

 舞台に鎌倉鶴ヶ岡八幡宮の赤い壁が広がる。大薩摩連中の演奏が終わると、その壁が左右に開き、大勢の登場人物が居並ぶ。一段高い中央にいかにも悪者そうな人相の武衡が座り、その向かって左手に異様な4人の男たち。赤ら顔に赤い太鼓腹を見せている(東金太郎義成、足柄左衛門高宗、荏原八郎国連、埴生五郎助成)。反対側にこれまた異様な風体の震斎(後で景政が指摘するように鯰のような長いヒゲをモミアゲの辺りに垂らしている)と照葉。
 彼らより一段下に義綱らが並ぶ。義綱はまさに武衡によって斬られようとしていた。赤ら顔の4人に成田五郎義秀が加わり、長刀を抜かんとして頭上に掲げると、そこにどこからか「暫く」と声がかかる。一同がどよめく。
 「暫く」と再び声がかかり、花道より景政が登場(有名な巨大な正方形の袖をもつ衣装。成田屋の家紋の三升が染め抜かれている)。七三(花道の途中)で襲名披露も兼ねた名乗りが行われる。武衡の命で震斎、照葉が邪魔な景政を追い払おうとするが、彼はピクリとも動かない。このやりとりも滑稽である。侍たちや奴らも何とかしようとするが、体よく退けられる。
 今度は景政自身が舞台中央へ進み、一旦身繕い。例の袖は下ろして双肌脱ぎとなる。
 小金丸行綱が宝剣・雷(いかずち)丸を手に駆けて来る。宝が手に戻ったことで義綱一行は命拾いする(この辺りの事情はよく分からない)。一行が連なって花道を下がっていく。
 残された景政に対して、別の捕り手が大勢、彼を襲うが、長大な太刀をひと振りすると、あっという間に彼らの首が一面に転がる(一瞬の出来事)。
 景政は立ち去りかけて、七三で立ち止まると見得を切る。ここで幕。
 更に景政は太刀を肩に担いで、悠々と花道を下がっていく。

メモ:
 有名な景政の衣装はかなりな重量らしい。約一時間も出ずっぱりのため体力も必要。役者も大変である。個性的な登場人物が多く、見た目にも楽しい。たった一場の舞台だが、いかにも歌舞伎といった、歌舞伎のエッセンスを凝縮したような舞台だと感じた。
 この日のTV放送では、海老蔵襲名口上の収録と、海老蔵のドキュメンタリーが同時に放送された。こちらも興味深かった。
 

参考資料: 歌舞伎ハンドブック(\1,500 三省堂)

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更新日: 04/10/17