読書メモ

・「SEのための図解技術
(開米瑞浩:著、翔泳社 \1,980) : 2004.11.20

内容と感想:
 
雑誌「ネクストエンジニア」に掲載されていた記事をまとめた、システムエンジニア向けの図解技術を解説した本。「図解」本はエンジニアリング分野だけでなく、最近流行である。久恒啓一氏の著書はベストセラーになっている。そういう状況も手伝って久恒氏の本を最近読んだが、こちらのほうは適応分野を絞り込んだ形。システム開発でも図を多用する。設計図などはその最たるもの。しかし、これといった正解がないのも、その技術の向上や共通理解が進まない要因であろう。誰が見てもすぐに理解できるような図を描かなければ意味がない。他人に見せるものなら自分だけが分かっているだけでは説得力がない。この本の著者も図解技術を一般業務の人にも身につける必要があると主張している。もっともである。システム開発の世界ではUMLというモデリング言語(?)が広がり始めている。これも図解の一種。今までみんなが勝手に作っていた図を統合して、世界の共通言語として使えるようとの狙いがある。実はこれもそんなに簡単とは言えないと私は思っているが、要は訓練だろう。状況に応じて、様々な図を使い分けて、生産性や品質を上げていく。
 この本自体も図解の発想を取り入れて構成されている(図解の本だから当然だろう。文字ばかりだったら、言っていることとやっていることが違うことになる)。文字も大きく、やや中身が薄い印象だが、ぱっと目での、とっつき易さを重視したのだろう。
 本書で初めて知った用語としてMECEがある。これは「ダブリなく、かつ、モレなく」という意味らしい。我々もチェックリストを作ったりして日常使っている概念だから、特に新しいものではないが。
 とにかく図をかこう。図は頭の中を整理できる。何かを気付かせてくれる。相手にも理解してもらえる。ノウハウの共有、蓄積は資産になる。図にして残そう。

-目次-
第一章 SEの図解の技術を身につけよう
第二章 もっとも基本的なこと
第三章 主要な図解パターン
第四章 「関係」を表す概念
第五章 プロセスを制御システムとして理解する
第六章 問題解決の現場にて

更新日: 04/12/04