読書メモ

・「図で考える人の図解表現の技術 〜 思考力と発想力を鍛える20講
(久恒啓一:著、日本経済新聞社 \1,500) : 2004.09.19

内容と感想:
 
同じ著者による前著「図で考える人は仕事ができる」はベストセラーとなったらしく、私も新聞広告で見て、書店で手に取ってパラパラと中を眺めたこともあったが、”図”を謳っている割には文章が多くて、敬遠してしまった。本書は前書の延長線上にあり、実践編という位置付け。実際に図を描いてもらって、それに対して改善点などを指摘するような内容になっている。
 私も図解が理解を助けることは実感しているし、文章だけのドキュメントよりも図があったほうが分かり易いと思う人間である(長文メールにもウンザリする)。仕事柄、仕様書や調査資料など文書を書くことが多いが、他人が書いたものを読むことも多い。そういったときに感じるのが、文章だと何度読んでも理解できなかたことが、書いた本人に図を描いてもらったり、話しを聞きながら図にしたりすることで納得できることである。
 マイクロソフトのOffice製品などソフトウエアで図を埋め込んだりする技術は既にあるし、特に図解が珍しいわけではない。ただし、効果的に図を利用できているかは別の話しである。これまで体系的に図解を学習したこともなく、何かヒントを得られるのではないかと思い本書を手にする。
 斎藤孝氏の著書にも図を使うコミュニケーション手法が出てくる(マッピング)。本書のように整理されたイメージでないのだが、図解表現がそれに触れる人々を刺激し、問題解決や思考を深めたりするのに役立つことを指摘している点は共通である。おそらく図解に異論がある人はいないのではないだろうか。
 本書で学んだのは、ただ図にすればよいというものではないということ。常に見る側の立場に立ち、工夫する必要がある。派手なイラストは不要。丸、矢印、枠、文字だけのシンプルなもので十分。要はそれを如何に上手に組み合わせて、構成するかである。
 想像だが仕事が出来る人というのは頭の中が図表でしっかり整理されている人なのだろう。実際に目に見える形の図にする必要はなく、「図で考え」られているのだろう。
 図解は社会人の必須のスキルとして、しっかりトレーニングする必要があるだろう。

-目次-
第一部 図で考えるための図解表現
 -図解の基本スキルを学ぶ
第二部 図で考えると思考が深まる
 -図解の「深さ」を味わう
第三部 図解は個性が出る表現法
 -図解の「広さ」を味わう

更新日: 04/09/19