たほいや観戦記


 小梅谷風雅が著したこの小説は、平成5年11月5日に実施した第2回大会の模様を今に伝える貴重な記録である。各プレイヤーの決断・苦悩そして混乱が、余すところなく記されている。
 なお、第2回大会の出題語(問題41〜80に相当)の解答が記載されているので、そちらの問題にチャレンジしてから読んでいただきたい。

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連載第1回 天の巻


 平成5年11月5日21時30分。第2回たほいやは開始した。
 いやだ、いやだと言いながら、溢れる才能で挑む天才123。風邪でふらふらにもかかわらず、日本酒を飲みながら臨む宿酔。学識を基に、はっぱ擬答も目指す有梨。抜群のセンスの、だましの風雲児忍太郎。そして、悩み抜いてはったりを搾り出す小梅谷。5人の決戦の時はここに満ちた。


 第1クール。親の振り出しは忍太郎からである。引き「たつまつふう」。最初からイメエジが膨らむ引きである。[広]は固有名詞(たつまつはちろべえ)付き歴史ものであったが、各々特色のある擬答が集まった。特に、小梅谷は()付きのはっぱ(かたのえぼし)、そして、123のあまりに素直な擬答(立って待っている様子)が目立つが、この二つが書き点を得た。小梅谷は相変らず天才123の擬答に引っ掛かった訳だが、今回も小梅谷は最後まで天才123に苦しめられる。
 次の親は、宿酔。引きは「あけるなる」。この抜群の引き(正解は「エリダヌス座の首星」)に今回初の親満である。書き点は有梨の外国語(ラテン語)ものが2点。忍太郎の「来世を導くまくらことば」に1点。小梅谷の連続のはっぱ(あけるならり)に1点。有梨は特に忍太郎のまくらことばに引っ掛かったのを悔しがる。
 つづいての親は、有梨。引きは「ひふみ」。有梨の、天才123への動揺作戦である。これに対し、天才123は天才のおおらかさで「体の皮膚と身」との擬答で対抗。しかし、この火花ちる戦いは、2点当てられと、書き点0の痛み分けに終わる。宿酔は2点目を小梅谷に献上となる。
 4番目の親は、小梅谷。引きは「ねこのこい」。小梅谷としては所謂恋/愛シリーズの一環である。宿酔の凝りに凝った(二葉亭四迷が〜)が出たが残念ながら点を取れず。有梨は会心のはっぱ(あですがたさんにんむすめしらとりのいわい)で天才123から点をもぎ取る。小梅谷はきれいにまとめたつもりだったが、有梨の「引きはやっぱり交尾期だったね」にがっかり。
 第1クール最後の親は123。引きは「かつは」。123らしいあっさりした引き。2点当てをくらい失敗。小梅谷は単純書き(もしくは)で2獲得。ここで第1クールが終わった。記録係の有梨より小梅谷が好調であるとの示唆があり、小梅谷は「そんなことはないですよ」とか言いながらにこにこしているが調子に乗り過ぎて以降書きが滑り始める。

 第2クールは「この問題を出すのは本意ではない」などと言いながらの、忍太郎の引き「おおまんこまん」で始まる。小梅谷が引いているのではないかとの危惧を抱きながらの引きであったが、引いていたのは実は有梨であった。当の小梅谷は「Oh! Manko Man」とにこにこしているのんきさである。有梨はそんなことをつゆも見せず類似書きで宿酔をだまし1点獲得。当ては知っていた有梨のみと、良い引きであった。宿酔、小梅谷も1点ずつ書き点を得た。
 次は宿酔の「あえぬがに」。宿酔は「あ」読破の実績から「今回は全て『あ』から出す」と宣言。第7クール以外はそのとおり「あ」からの出題であった。擬答は123の「室町時代〜。特に意味はない」が光り、書き点2を獲得。有梨はそれにだまされず、当てをとり、書きでもはっぱ(かっちゅう)で123をだます。小梅谷は会心に書きをしたつもりが「しおまねき」が実在の蟹であることを、親の宿酔以外に理解してもらえず、誰もだませない。じだんだを踏む。
 続いて有梨は三部作第一弾の「もー」で勝負を挑む。しかし、小梅谷、123にばればれ状態だった為いたい2失点。宿酔の特技、そのまま書き「牛の鳴き声の擬音」が忍太郎をだます。123も天才ぶり「アラスカ地方の言葉。「人」を表す」を発揮し、宿酔より書き点を獲得した。
 小梅谷は交尾期の名誉回復を賭けて「おくうのあい」。ふたたび恋/愛シリーズである。答えは「人を愛すれば〜」と延々続く長解で、いわば意地の三谷った出題だった。即決覚悟であったが123のみ宿酔の擬答を選ぶ。この辺りが天才が凡人と違うところか。
 123は相変らずシンプルな出題の「よてこ」。忍太郎の「吉原遊郭の茶坊主」という楽しい擬答も出たが、宿酔、小梅谷に当てられ引きとしては失敗か。ここで、第2クール終了。



連載第2回 地の巻


 第3クール。忍太郎の引きは実に忍太郎らしい「からかさおどろき」。ここで、有梨の絶妙の擬答の「妖怪」に他の3人は見事にひっかかってしまう。ところがふうがんを目前にして、有梨は宿酔の「驚き、あわてふためく様子」にだまされ失敗。大いに悔しがる。宿酔も「こんなしょうもない擬答を出して申し訳ない」と一言。有梨がふうがんに最も近づいた回であった。いやはや。それにしても惜しかった。有梨のふうがん崩れに、忍太郎は親満を拾う。
 続いてこの日、好調の引きを続ける宿酔の引きは「あいみつ」。正答は「洋画家」。見事にこの解は沈んで今回2回目の親満を得る。小梅谷は「年頭にとれた蜜」で2つの書き点を得るが、「なんで、こんなしょうもないのにひっかかって、しおまねきでだまされんのだ」とぶつぶつ。有梨は注意深く小梅谷の擬答を避けていたがここで、初の書き点献上である。有梨いわく「これはどう考えても小梅谷のくさい」と言いながらの敗北。一方、1点しか書き点がとれておらず、書きの忍太郎の看板はどこへやら、とでもいった風情の忍太郎であったが、ここで2点獲得。「今回は、らしくない答えをわざと書いていた」とのことで、これも有梨の「忍太郎の答えはうますぎて分かってしまう」の発言によるらしい。有梨は「もうしわけない」を連発。やはり忍太郎は忍太郎らしい擬答で書きの風雲児と呼べるということであろうか。ともかくも、以降忍太郎は復活を遂げる。
 続いて有梨の「ぽぽさま」。有梨好みの音である。しかし、忍太郎、小梅谷に当てられる。正解は「かいこのこと」であったが、小梅谷の地元はもともと製糸が盛んなところ。「〜さま→かいこ」が簡単に推測できたと自慢げである。忍太郎は「(アイヌ語で)易者」の見事な擬答で残りの人間をだました。
 次の小梅谷の引きは「やみのおんな」。結局この路線からはなれられないやつである。ここでは見事な擬答が集まり、正答の「夜の女」は沈んだ。初のばらけ親満成立。
 第3クール「みずあぶら」の123引きで終了。これもうまく沈み、忍太郎以外の3人は見事にだまされる。兎も角も、このクールは親満3つと、なかなか良い引きが集まった。そして、宿酔のウルトラCが出る第4クールへと雪崩込む。

 ウルトラCは努力の賜物であった。第4クール最初。親は忍太郎。引き「みくるべかす」。そして以下に宿酔のウルトラC擬答を再現する。
 「不祥。(「みくる」(見送る)、「べかす」(笑う)で「あざ笑う」とも。)」
 まさにウルトラCである。宿酔の談によると「ふたほがみ」に同様の表現があり、何時か使ってやろうと思っていたとのこと。これも半分読破した「ふ」の中で発見している訳で、何度も繰り返すが努力の賜物である。しかし、その努力もふうがんに実ることはなかった。有梨の「ギリシア・ペロポネソス半島の先端にある都市」というたいしたことない擬答に点を献上した。「からかさおどろき」の有梨のふうがんを阻止した宿酔。そして宿酔のふうがんを阻止した宿酔の擬答。どちらの擬答もふうがんを阻止するだけのすばらしい書きでもない。ああ、全く因果なものである。
 さて、気を取り直して次の親はその宿酔。引きは「あかほや」である。このとき有梨が好調な宿酔の引きに対し「宿酔阻止」のスローガンを打ち上げる。いくら阻止と言ってもどうにもならない様に思えるが、なんと小梅谷を除く3人に当てをくらう。ちなみに有梨によると「しょうもない」擬答の「ホヤ貝の幼年期の呼び名」に小梅谷は騙されている。もちろん天才123の擬答であった。
 続いて有梨の引きは「じょうぐうしょうとくほうおうていせつ」。最長狙いである。この正解は「最古の聖徳太子伝」と地味な解で見事に沈んだ。ちなみに他に聖徳太子がらみが2つ。これを当てた123はやはり天才か。
 小梅谷は「やみのおんな」に続く第2弾「まんねんしんぞ」。正解は「いつまでも変わらない若々しい婦人」。おとみさんの「ごしんぞさん」のせりふを知っていた有梨が当て。知っていたにもかかわらず123は忍太郎の「落語の一」に騙される。有梨は自分の「りょうのたいそ」に宿酔が騙されたことに首を傾げていた。
 第4クール最後は123の「しいと」。三文字引きが余程好きとみえる。忍太郎が当て。有梨が「家畜を屠殺すること」と浮いた擬答を書き、逆にそれが効を奏し宿酔、小梅谷が騙された。書きが良かった有梨は宿酔の凡庸な擬答に屈した。



連載第3回 真の巻


 第5クールは「ひのとの」の忍太郎より開始。正解は「昼間いる殿」というとぼけた味のもの。忍太郎イズムである。これを当てたのは宿酔。忍太郎は3回連続の親満はならず。有梨は、知識が邪魔して小梅谷の「焼け野原。(ひのとの年に、火事が多かったことから)」のひのとの年に騙される。「これも小梅谷臭いと思った」との発言も騙されてしまっては空しく響く。小梅谷は天敵123に、123は有梨に騙される。今回全体に亘り123は有梨にいじめられることになる。
 宿酔は再び「あ」からの出題「あおやがら」で3つめの親満。生物ねたである。生物ねたで書きを作った忍太郎は小梅谷、123より2点、小梅谷は有梨より1点獲得。エメラルドグリーンの付け足しに有梨がひっかかたこととに小梅谷は大喜び。有梨は「こいのぼり」で忍太郎より書き点獲得。このときの123の書きは一人だけ「「あおやぐら」に同じ」と浮きまくる。
 いよいよこの日の一つの焦点、有梨出題の「りー」を迎える。皆が書きの最中、また、当てを考える最中に有梨はぼそぼそと「この問題は小梅谷にがんばってもらわなくっちゃ」などとつぶやく。小梅谷はこう考える。「これは、あの数学者のリーのことだろうか?ならば類解で騙しをねらおう」と。書きが読み上げられると、反して数学者は自分の書いたものだけである。困った挙げ句結局再び123の「中国の姓氏の一」に騙される。忍太郎は「有梨さんがこんなにひつこくいうのはフロック臭い。数学者は外そう。」と考える。結局忍太郎もやはり123に騙されてしまった。一方宿酔は「有梨さんと小梅谷さんといったら(数学に)決まってるじゃない」と小梅谷の書きに。123は、宿酔の「決まってるじゃない」に引かれて、やっぱり小梅谷に。結局有梨の親満完成となった。宿酔は「そんなにまでして勝ちたいんですか」とプンプン。対する有梨はイジイジ。ともかくその後しばらく、有梨がいじけて宿酔が「もういいですから」となだめる状態がつづいた。ところで開幕スペシャルの123の「シエナ」および「あおにきて」に於ける「天然フロックもどき」(実際には123は騙すつもりは毛頭無かった)をフロックだと解釈したのが有梨でありそんなこと123はしない、するわけないと解釈したのが宿酔であったことが思いだされる。
 次の親小梅谷は「しらみひも」で勝負を賭ける。正解が50文字以上となる長解である。正解中の「金杉通り三丁目」の嘘臭さに全てを賭けた勝負は、見事親満となり。小梅谷はニコニコ。「有梨は江戸時代に何丁目という言い方はなかったはず」と言う確信に裏切られる。書き点は忍太郎のきれいな解答(正に真骨頂)で宿酔、有梨より獲得。忍太郎は有梨に、123は宿酔に1点献上。
 123の出題は「たねまくひと」。正解の「文芸雑誌」は固有名詞の書きの中で見事に沈む。この日初の親満。小梅谷、忍太郎は有梨の「ミレーの絵画」に完全に騙される。ちなみにミレーの代表作に「種をまく人」は実在する。(有梨の「ミレーの絵は「種をまく人」じゃない?」との賭けの理由を言っている最中の、白々しい発言は実際正しいことがブリタニカ百科事典より後に確認。)忍太郎の「小有梨多喜二が書いたプロレタリア小説。」は、残りの2人を騙したが、この「たねまくひと」はプロレタリア文学に画期的な役割を果した(ブリタニカより)とあり偶然(?それとも知っていたのか)とは恐ろしい。小梅谷は「なぜみんな騙されないの?フレスコ画いいと思うんだけど・・・」と少々切れぎみ。有梨曰く「こりすぎ」。こうして波乱万丈の中盤は幕を閉じる。

 第6クールともなると、参加者全員に疲れの色が見える。今回は途中で第8クールまでと決定された為、兎も角も後3クールとの思いである。宿酔は当てがうまく行かない為「一番魅力のないのを選ぼう」とか、次は「そうか、2番目に惹かれないのが当たりなのか」等とぼそぼそ。しかし、うまく行かない。123はうつむく度に「眠いか?大丈夫か?」と言われている。この中で酒を飲んでいないのは忍太郎だけだが、実はこのあと123地獄が待っているのをまだ知るわけもない。有梨は、長考がつづき、「みんなが選びそうもないのを書くから、何書くのか教えろ」とやや錯乱ぎみを装う。でも、実はウイスキーから紅茶に切り替えたせいか、はたまた、長考が効を奏したのか、当ての確率が落ちることはない。小梅谷はすっかり頭がアンポンタン状態に向かう。終盤はいつもこんなもんか?
 第6クール開始は「おにどの」。第3クールの有梨ふうがん惜しかったの枕詞付きの「からかさおどろき」と対をなす出題。正解は、「妖怪の住んでいる家」と今度こそ妖怪絡みである。これを読めたのは小梅谷のみ。宿酔の「台所」はうまくはまって2点獲得。その宿酔は有梨の臭いプンプンの「全フィリピン護民協会会長」にはまってしまう。
 宿酔は「あ」シリーズ「あさづま」。なぜか地味な書きが集まる。皆の創造力不足か?正解は地名もの「琵琶湖の〜」であったが当てたのは有梨のみ。有梨自身の書きも地名ものであったことから、地名と読み切っての選択か?123は忍太郎、小梅谷を「浅瀬、川べりを指す語」で騙す。地味な場では、やはり天才ぶりを発揮か?123は忍太郎の「茶室の様式の一」に書き点献上。
 有梨は3部作の最後「らー」勝負を賭けたが、大失敗。今回唯一の即決。「知ってる人手を上げて」との不安が見事に的中した。
 小梅谷の引き「おきつすたへ」。集まったアイテムは、見事に割れた。小梅谷は「やみのおんな」、「まんねんしんぞ」に続く3度目のばらき。ここで当てたのは有梨。「みんなが選びそうもないのを書くから、何書くのか教えろ」が効を奏したのか、読み切ったか。「まんねんしんぞ」のばらけ親満を阻止したのも有梨である。残念ながら誰も選んでくれなかったのは忍太郎の書き。「おきつのおとめが残したとされる白装束」はあまりに忍太郎臭かったか。
 123は再び3文字で「ぶあく」。しかし、123が与えた解がルール破りのまる2どり。「シエナ」のカタカナ出題といい大惚けは123と切っても切れない関係にある。それが祟ってか(宿酔から「まる2だろ」の指摘あり。)忍太郎、宿酔に当てられる。小梅谷、有梨はお互いに騙し合う。


最終回 理の巻


 第7クール。忍太郎からちょっとエッチねたの「ちちのし」。正解は「平安時代、〜乳牛院の職員」と時代ねたであった。当ては2人。宿酔、有梨。小梅谷は「乳あて紙」の123に思わず騙される。品性がぐらついている。123は「だいごを延ばす棒」の宿酔に騙された。
 次は今日唯一の「あ」以外の出題で「ふせちょうのまる」。もちろん宿酔の親。宿酔の今回唯一のばらきとなる。誰も賭けてくれなかったのは有梨の「戦国大名」。あてたのは小梅谷。「丸の中に蝶の家紋が頭に浮かんだ」と自慢げである。正解の「織文の名」のもんをたまたま正しく解釈できたということか。しかし、たまたま頭に浮かんだだけではいんちき霊媒師と五十歩百歩ともいえる。忍太郎、有梨は城絡みの123、忍太郎の擬答に屈し、123は「葬儀の受付」の小梅谷に屈した。
 有梨は「おおまんこまん」につづいて「まんまんで」。123は「参拝での手の合わせ方」で忍太郎、宿酔を騙し、自ら正解の「のろいさま。ゆっくりと」を当てる。ここで小梅谷は忍太郎「空中庭園」の一語に騙される。「見たことあるのになあ空中庭園で始まるのを・・」とぶつぶつ愚痴を言う小梅谷であった。
 小梅谷の知ってる言葉シリーズの「こてんぱん」。有梨のポルトガル語説、忍太郎の古代中国起源説など苦労が忍ばれる書きが集まったが、苦労が実ったのは有梨のみ。宿酔、123を騙した。有梨、忍太郎は正解の「〜に同じ」シリーズを読んで正解。今回、小梅谷は総引き失点9点の内、合計4点を有梨に献上した。
 123の引きは「そんとう」。イメエジ広がる良い引きだったのか書きはばらばら。正解はそんの方が生きる「村はずれ」。忍太郎があてる。とうで書いた書きのうち小梅谷の「頭でっかちな人。〜」が勝利で有梨、宿酔より計2点。忍太郎の古代中国説を受けて「古代中国で敵の首」を書いた宿酔は空振り。小梅谷は有梨の「果たすべき役割を成就してこそ、可能性が広がる」のアンチ辞書的表現に撃沈。嵐の前の第7クール終了。

 泣いても笑っても、そして、怒っても、最終クールである。「そでのうめ」が忍太郎の出題。第6、第7クールと当てが優勢の流れがそのまま来たか、有梨、宿酔の2人が正解する。有梨は消去法でしかも、推定が全て外れたにもかかわらずの正解である。ちなみに有梨の推測→実際の順で並べると、小梅谷→123、123→宿酔、宿酔→小梅谷となる。小梅谷は「緞帳(どんちょう)にかかれた梅の木のこと」の123に、123は「本当の魅力」の有梨に騙される。有梨の書きは出題とのつながりをわざと断つような書き方が目立つようになってきた。
 宿酔の最後の出題は「あおいとげのくるま」。「あ」で締める。「あお−いとげ」か「あおい−とげ」かが当ての分かれ目。いとげを選ぶ勇気の有った有梨、123が当て。残りの二人は有梨の、どうつながってるのか分からんが雰囲気出てるパターン「セイタカアワダチソウ」騙された。有梨はこの書きが仕上がった後「これで正しいか?正しくなかったら〜のサインを送れ」等と余裕まんまんか。
 有梨は引きの不調から、その場選びに走り出している。思わず「しんもすりんに同じ」の意味に惹かれて選んだのは「しんめりんす」。小梅谷はいきなり「しんもすりん」に似ていることを示唆。それが、隠れみのになったのかばらけになる。当てたのは「しんもすりん」を開幕スペシャルで出題した忍太郎。宿酔は小梅谷の破れかぶれの書き「プリンスメロンの一種」に騙される。小梅谷曰く「こんなのに騙されるとは。なのに、小紋の染め抜きでは誰もひっかからん」とどうしていいか分からない状態。小梅谷は、「京都祇園の言葉。じめじめした天候を表す」に騙されたが、有梨に言わせれば「あんなのに騙されるとは」となる。123が選んだのは「新しいめりんす」の宿酔の書きである。「しんもすりん」のしんが新に引っ掛けた出題だが書いた宿酔「エー」である。この騙された3人はいったいどうなっていたのか。もう晩秋/初冬の遅い朝が空を白ませている。
 小梅谷の最後は「めーたく」。小梅谷始めての「ー」入りである。有梨の「名古屋のタクシー」発言に小梅谷は顔ではしらっと心ではにんまり。正解は「メーター付きのタクシー」。それに輪をかけて場を混乱させたのが123の「メーター付きタクシーのこと」。この微妙な字面の違いが勝負を分け小梅谷が3回目の親満。123に賭けたのは忍太郎。その忍太郎は「沖縄八重山諸島の民俗行事」で有梨、宿酔を騙した。有梨は「誰も賭けないと思った」とぶつぶつ。有梨の親満潰しは失敗。有梨の無関連書き(と思われたが実はそうじゃないらしい)「月曜日」は123を制す。
 締めは「ぶしお」。123の今回2つ目の親満となり、第1回大会の即決3回連続上がりと正反対になった。そして最後に相応しく宿酔の本当に惜しいふうがん崩れ。宿酔は「精製していない塩」で3人を騙した。今回の3つのふうがん崩れ(有梨+2×宿酔)。やっぱり騙されたのは小梅谷の冴えない書き「からぼし魚」。そんなもんかもしれない。宿酔は「ふ」半分読破が裏目にでて、「そうだった様な気がする」が失敗につながった。


 予定の8クール終了時。全員の顔には疲れが浮かんでいる。兎も角も終わりだというわけで、皆の勉強自慢が飛び交う。しかし、このまま終わらせるわけには行かないのだ。私はまだ終わっていないと考えた。私?ここまでこの観戦記を読んでこられたたほいや戦士たちは不思議に感じられるだろうか。あの場には有梨、忍太郎、小梅谷、宿酔そして123の5人しかいなかったはずではなかったのか。私とは。私は、諸君達のたほいやに賭ける情念が存在させている人格。それが私だ。そして、私は考えたのだ。もう一問やらなくてはならないと。私は諸君の情念を呼び集める。そして、こう宣言する。「私が親だ」と。諸君達は覚えているだろうか。8クール終了後情念が抜けたボーとした状態に有ったことを。私の出した問題は・・・
「たこはいとう」
書き場には広辞苑の答えも合わせて6つ集まった。
  [1] 株式会社が配当すべき利益がないにもかかわらず、配当を行なうこと。
  [2] まじない。「蛸はとうとい」と言う意。
  [3] 蛸の頭。
  [4] 砂糖の一種。
  [5] ポリネシア諸島の島。
  [6] 睦まじい仲を示すたとえ。
 私は、高らかに宣言した。「コトバノカズダケゲームハツヅク」。最後になったが名乗っておくのが礼儀だろう。私の名は「ハバハバ大王」





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