三国一のバイク馬鹿・外伝
頑張れ、労働1号!!
バイクに乗る資格


「貴様にバイクに乗る資格はない!!」
と言いたくなることがある。
そう言わずにいられない奴がいる。
多分、免許くらいは持っているはずなのにね。
俺も他人から見ればそう思われているかも。
まあ、ここは「外伝」だし、
そんなに固い話をするつもりなんかない。
基本的に笑い話なので、
すべてフィクションだと思ってほしい。
たとえどんなにリアリティーのある内容であってもだ。

バイク乗りに共通したものなのか、
男の子ってそういうものなのか、
果たしてどちらが正解なのか、よくわからん。
何故、信号待ちでたまたま出会った見知らぬバイク乗りは、
互いをライバルとして認識するのだろうか?
まあ、いきなり「どーも、どーも」ってのも気持ち悪いけどね。
俺の場合、その「ちょっとした緊張状態」が好きじゃない。
ま、気にしなければいいし、実際「気にしていないフリ」をしているのだが、
「フリ」じゃ、意識しているってことだからなあ。
基本的には、「先に行ってもらう」ことにしているんだが、
よくあるパターンとして、「譲り合い」になっちゃったりして困る。
むしろ、「やる気たっぷり」の人よりも、
俺と同じく「特にやる気ない」人同士の方が困ることが多い。
先行する方は、円滑な交通上「先に発進する」が、「譲る気たっぷり」で低速走行。
こっちは「抜く気まるでなし」だから、そのまま低速走行。
イラついた車にブチ抜かされたりして。
笑えない「お見合い状態」。

ドカとか、大型車の場合だと、そもそも原付の相手をするのは「恥ずかしい」
ま、いろいろな意味で。
大型同志で、街中をとんでもないスピードで競争するのは、基本的に間違ってるし。
まあ、大型車乗っているという、ある種の満足感で、余裕あるんだと思う。
だから、めったに会うことはないんだが、
ときどき、フィーリングの合う人がいるのも事実。
おそらくは、お互いに「競争意識」があるわけじゃない。
スリヌケも交えながら、抜いたり抜かれたりを繰り返して、
知り合いとツーリングしているような気分になることもある。
こういう相手には、ハンドサインで挨拶なんかしたくなる。

が、労働1号の場合、事情はずいぶん異なる。
なんたって、見た目はただの原付バイクだから。
原付連中に、ライバル視されるのは、(迷惑だが)わからんではない。
SDRという車種を知っていたとしても、「がんばれば勝てる相手」なんだろう。
問題は、大型車に乗っている人たち。
大型車だからって、「小型車に負けるわけにはいかん」
と思っている人がいるようだ。
そりゃあ、奥多摩だの箱根だのの峠道で、原付や小型車にチギられたら、かなり凹む。
でも、都市部の渋滞路だからねえ。
そういう場所ではむしろ「ジェントル」な走りをするってのが、いいんじゃないかと。
お互い、事故には気をつけて走りましょう。

こういう事例が多いのも、国道6号線とか、国道1号線などの幹線道路を使うからだ。
あまり細かい道ってよくわからんし、狭い道は歩行者や自転車が多くて怖いので。
だから、ひとたび遭遇すると、ずっと一緒ってことになりやすい。
だから、お互い多少の勘違いもあって、競争状態になりかねないこともある。
だが、ここからは事情が違う。
ある日の中央通り 御徒町〜秋葉原あたり。時間は8時すぎ。
ここは、上を首都高速が走っていて、
秋葉原の先では、新橋直行のアンダーパスもある片側3車線。
渋滞することも多いが、 夜はそれなりのペースで流れる。
奴は、その道に入る蔵前橋通りで遭遇した。
時間帯的にも、その道の制限速度+20km/hくらいが「安全速度」。
つまり、そのくらいで車も単車も走っているわけだ。
1台のBMWのバイクが、制限速度で走っている。
かなり遅い。
その時点で、いいたいことはいろいろあったが、まあいい。
初心者かもしれないし、
ジェントルマンかもしれないから。
実際、交通量も少ないから、みんな右側車線からびゅんびゅん走り去る。
俺もそうした。だが、
俺がそのBMW の横を追い越していったとき、
BMWの特徴的なエキゾーストノートが、
一段と高く大きく響いたのは何故だ!?
きっと俺の気のせいさ。と、BMWを抜いてから十分に距離をとり、左折のため左の車線に戻る。
信号待ちの間に、背後から近づくBMWのエキゾースト。
俺の横に並べるのは何故だ!?
俺の前まで出て単車を止めるのは何故だ!?
この人も「小型車には負けられない」タイプの人か。残念な話だ。
どういう種類の人間かと、面を見てみると、いい年こいた50過ぎのおやじ。
すでに「ジェントルマン」の資格ナシ
しょうがないから、先行させた。
またまた、制限速度走行。
追い越そうとしたら、またまた(ちょっとだけ)加速。
完全に遊ばれてる。
ここで、俺の主義。
「ケンカは売らないが、売られたら買う」
労働一号ことSDR(200cc)対BMWのGS系1100CCの信号ダッシュ。
一段とBMWのエキゾーストが高まる。が、俺のが速い。
俺のSDR、エンジン全開でカブっちゃうんだが、それでも速かった。
俺が速いんじゃなく、ヤツが遅い。
次の信号待ちが長かったせいでBMWが追いついてきた。
次の瞬間、信じられない光景が!!
BMW、見切り発進でフライングスタート。

フライングスタート。この技は、「やる気十分」な原付ライダー の得意技。
それ自体、頭の具合を疑う自殺行為だし、褒められたものではない。
そこまでする「やる気」は買うが、相手にはしない。
目の前で死なれたら迷惑だから。
まさかBMWに乗ってそこまでするか?
カッコ悪い。カッコ悪すぎるよ。
ともかく、青信号でスタートするや、さっさと追いつき、追い越し、
そのままの速度でアンダーパス手前の車の一群をすりぬけていく。
さらに加速。それきり姿は見えなくなった。
なんかもう、がっかり。
BMWを選ぶ人って、今まではそれなりの見識の持ち主っていうか、
憧れに近いものを感じていたんだよねえ。
やっぱりいるんだな。頭の悪いのが
多分、お金だけはいっぱい持っている人で、 なんとなく、バイク乗ってみた感じ。
国産車が見栄が張れない。イタリア車なんかお子さま向け、ってな理由でBMWか?
バイクは、レースとかではなく、趣味として乗るならば、
他人と競うのではなく、自分と向き合い、高めていく趣味だと思う。
見栄でバイクを選んだり、性能やら値段やらをひけらかすようなつまらんことに使うな。
BMW以前に、貴様にバイクに乗る資格はない
一日も早く、バイクから降りてくれ。
きっとそうなるだろうけど。

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