首都圏住民の仕事・生活と地域社会に関する調査 ご協力のお願い

 9月1日から9月30日にかけて、「首都圏住民の仕事・生活と地域社会に関する調査」を実施します。この調査は、首都圏に住む人々の生活のこれまでと現在、生活の上で感じておられる問題、今後の社会の望ましいあり方についてのお考えなどについて明らかにすることを目的としたものです。

 本調査の対象者は、首都圏にお住まいの皆様全体のご意見を正確に集約できるよう、都心から60km以内にお住まいの方から、選挙人名簿または住民基本台帳にもとづき、無作為に5000人を選ばせていただいております。選ばせていただいた方には、まずご案内の葉書をお送りし、それから調査員が挨拶状を持ってお伺いいたします。

 ご回答いただいた内容は、すべて数値化してグラフなどで表しますので、個人が特定されることは絶対にありません。調査対象と成られた方々には、ご多忙のところ誠に恐縮ではございますが、調査の趣旨をご理解いただき、ぜひ、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお本調査は、社会調査の専門機関である株式会社サーベイリサーチセンターに委託しております。本調査についてのお問い合わせは、サーベイリサーチセンターの担当者までお願いいたします。

都市空間と格差研究会とは

 日本では1980年代以降、急速に経済的・社会的格差が拡大しました。この格差拡大は、個人間・世帯間の、また階級・社会階層間の格差拡大にとどまるものではありません。地域間の格差も拡大し、日本の社会は、豊かな地域と貧困の集積する地域へと二極化しつつあります。

 そこで私は、何人かの社会学者と協力して、これまで格差研究の中心を担ってきた階級・社会階層研究の方法と、都市社会学の社会地区分析の方法を接合することにより、格差拡大の進行過程を階級・社会階層構造と都市の空間構造の両面から解明することをめざす研究プロジェクトをはじめました。それが「都市空間と格差研究会」です。

 2015年度からは日本学術振興会から科学研究費補助金*を受け、地域メッシュデータを用いた社会地区分析を進めるとともに、典型的な地域を調査地点とする大規模な質問紙調査を企画しています。

*「大都市部における格差拡大の進行過程とその社会的帰結に関する計量的研究[基盤研究A]」(研究代表者:橋本健二)

 

東京23区における分極化の進行

 下の図は、東京23区の人口1人あたり課税対象所得額の推移をみたものです。数値は、23区平均を100としたときの指数です。凡例は、23区を2014年時点の所得額の順にソートしてあります。全体として格差が拡大していることは間違いありません。1975年では、もっとも所得が多い千代田区と少ない足立区の比は2.29倍にすぎませんでしたが、バブル景気とともに格差は急拡大し、1990年には3.21倍に達しました。バブル崩壊後は2.3倍程度とほぼ元の水準に戻りますが、2000年代に入ると格差が再拡大するとともに港区が首位に躍り出て、2014年には足立区との格差が5.12倍に達しています。
 目黒区、文京区、世田谷区、杉並区など山の手地域は、都心部から引き離されながらも一定の水準を保ち、全体平均の1.1-1.2倍の所得を確保しています。これに対して北区、荒川区、江戸川区、葛飾区など、下町地域の多くの区は所得を大幅に減少させています。全体としてみると、所得が急増する都心部、一定水準を維持する山の手、減少する下町というコントラストが明確です。