「勇気を持って生きなさい。 何も怖れることはない。 宇宙には愛が満ち溢れているのだ」

  こんなすばらしいことばを残して、 エミリーの愛する父は亡くなりました。 孤児になった彼女は、 親族一同の会議の中で評定された末、 New Moon 農場の親戚に引き取られることになります。 厳しいエリザベスおばさん、 やさしいローラおばさん、 ちょっと変わったいとこのジミーさん、 そして無二の親友イルゼに囲まれてエミリーの物語は展開し、 彼女はやがて自分の才能に目覚めていく...

  「アン・シャーリー」は、 どこにでもいそうに思えるほどリアルでありながら、 決してどこにもいない少女でした。 「セーラ・スタンリー」は、 「語る」ことに非凡な才能を持った少女として描かれました。 一方「エミリー・バード・スター」は、 作者 Lucy Maud Montgomery のように、 「書かずにはいられない」才能を持つと同時に、 驚くべきことには、 Maud が深い関心を抱いていたという超能力(霊媒能力)を持った少女として描かれており、 「アン」とはかなり異なったミステリアスな雰囲気も感じられます。

  アンが「世界で一番美しい島」と評した プリンス・エドワード島 は、 1997年ついに本土と橋で結ばれました。 文字通り「アヴォンリーへの道」が完成したわけです。 Maud はこの島を舞台に、 たくさんの小説を遺しましたが、 中でも「エミリー」三部作は、 作者の自伝的色彩が最も濃い作品といわれています。
  「アヴォンリーへの道」は、 主に「ストーリー・ガール」を基にして構成されていましたが、 ファンが多かったヘティおばさんやガス・パイクは、 実は「ストーリー・ガール」には登場せず、 「エミリー」シリーズの中に原形が見られます。

  カナダの CBC で 1998年1月4日に放送が開始されたTVシリーズ「Emily of New Moon」は、 Gemini Awards に10部門でノミネートされました。 そして1999年9月28日、なんと本家カナダをさしおいて、米国で第3シーズンの放送が開始されたそうです。 残念ながら日本ではいまだに放送されるかどうかも定かではありませんが...
  以下は放送開始に先立ち、トロントの 梶原由佳さん からいただいた情報です。


  エミリー役に抜てきされたのは、 P.E.I. のシャーロットタウン生まれの Martha MacIsaac (12歳)という女の子。 実は私の友人がホームスティしたときのご家族のお嬢さんでもあります。 Bruce お父さんは床屋さん、 Irene お母さんは看護婦さん。 そして3人の姉、 Sally (15歳)、 Jill(17)、 Jane (18)がいます。 5歳頃から、 歌手の物真似をしたりしていたそうで、 お母さんが、 Martha の才能を見いだしたのは、 彼女が7歳の頃。 まだ、 文字も読めない1年生の Martha が、 Irene の読み上げる小学校演劇会の台本をかたわらで聞いていて、 せりふを暗記したうえに感情を込めて表現したというのです。

  シャーロットタウンのコンフェデレーションセンターで催されるミュージカル「赤毛のアン」で、 子役のひとりとして舞台にでたり、 1995年にはPEI観光局の宣伝モデルに選ばれ、 新聞、 テレビなどで、 顔を知られるようになりました。

  スーパーヴァイジング プロデューサーの Marlene Matthews は、 「彼女は生まれながらの女優だ。 自然に、 役に溶け込める力がある」 と Martha を絶賛しています。 幼いころより女優志願で、 ハリウッド行きを夢見た女の子は、 カナダ全土から集まった1000人を越すエミリー候補者のなかから選ばれたのでした。

  いとこのジミー役は Stephen McHattie、 イルゼ ヴァンリーには Jessica Pellerin、 エリザベスおばさんには Susan Clark、 ローラおばさん役は Sheila McCarthy という方々です。

  エミリーの番組は今年の秋に (註:その後、1998年1月からに延期されました。) こちらで (註:カナダで) 放映予定です。 13のエピソードを撮影後、 テレビ局ネットワークの幹部達はその出来に満足し、 新たに13本追加制作を決定したそうです。 まだ、 放映される前なのに追加注文があるのは大変珍しいためプロデューサーの Marlene Matthews は御機嫌のようです。


  Marlene Matthews は、「アヴォンリー」にも story editor のひとりとして名を連ねていましたし、 DirectorGeorge Bloomfield と、 Production DesignerPerri Gorrara も、 「アヴォンリー」のスタッフでした。 幼い頃から才能を発揮したという Martha MacIsaac には、 セーラ・スタンリーを演じた Sarah Polley に負けない名演技が望めそうです。 なお、 P.E.I. の情報によると、 5才のエミリーは同じくアイランダーである Sarah Briand が演ずるとのこと。 これまでにわかったキャストとスタッフをまとめると下記のようになります。

Emily Byrd Starr Martha MacIsaac
Emily at age five Sarah Briand
Elizabeth Murray Susan Clark
Laura Murray Sheila McCarthy
Jimmy Murray Stephen McHattie
Ilse Burnley Jessica Pellerin
Teddy Kent Shawn Roberts
Perry Miller Kris Lemche
Director George Bloomfield
Composer Christopher Dedrick
Production Designer Perri Gorrara
Producer Patricia Lavoie
Supervising Producer Marlene Matthews

  「アヴォンリー」はカナダの Sullivan Films と米国の Disney によって制作されましたが、 「エミリー」は Salter Street FilmsCINAR Films Inc. という、 いずれもカナダの制作会社の共作であり、 その意味でも注目すべき作品といえるでしょう。残念ながら我らが頼みとする 某国営放送局 では、 いまのところ放送予定がないようですが、 「エミリー」シリーズも近い将来日本で見られるよう祈りましょう。


Wonderful sites on Emily of New Moon
Last Update : 8 Oct 1999
Created : 13 Jul 1997

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