発行日: 2000年10月29日(日)
発行:守山リス研事務局

リス研通信 No.835

麻布大学の学生アンケート結果報告

アンケート収集期間:
2000年7月
対象:
麻布大学学生
回収:
113人

年齢

[グラフ:年齢]

性別

[グラフ:性別]

住所

[グラフ:住所]

1.害獣判断

2. 自宅付近でのリス目撃

[グラフ:リス目撃経験]

3. 自宅付近でのリス被害目撃

[グラフ:被害目撃経験]

4. タイワンリスは害獣か?

[グラフ:タイワンリスは害獣?]

4.1 害獣理由

[グラフ:害獣である理由]

4.2 害獣否定理由

[グラフ:害獣でない理由]

被害を直接自宅付近で見たことが無い人がほとんどであるためか、4の「タイワンリスが害獣であるということに実感がもてないよう」で56%以上が「わからない」と回答している。この点実際に実害を見たり、経験している鎌倉周辺の住民の意見がどうなるのかが大変興味あるところである。

「タイワンリスの実害に対するきちんとした情報公開と啓蒙がテレビや新聞での定期的な報告で行われることが必要」と思われる。

2.移入種判断

5. タイワンリスは移入種と知っていた?

[グラフ:移入種と知っていた?]

学生としてはタイワンリスが移入種であることを知っていた割合は高いほうである。しかしまだ3人に一人は知らなかったわけであり、「大学の授業やゼミ、現地観察などで実態を科学的に把握し、認知する主体的な活動が必要」であると思われる。  この設問は、常識的にその名前から移入種と判断できるため、質問としてはあまりよくなかったと反省している。よりよい質問としては「鎌倉にいるリスはどういうリスかご存知ですか」と問い、日本古来からのリス、タイワンからの移入種との区分けで、常識的推量を超えた質問にすべきであった。

3.駆除判断

6. タイワンリスは駆除すべきか?

[グラフ:タイワンリスを駆除すべき?]

6.1 駆除肯定理由

[グラフ:駆除すべき理由]

タイワンリスが4の「害獣だと思う人」の数より6の「駆除すべきという人」が多いのは、害獣うんぬんに関係なく、「生態系を乱すと言う視点で駆除する」という考え方があるように思われる。

当初質問を検討しているとき、物質的な目に見える被害があった場合、駆除の意識高まるが、被害がなくても生態系を乱すという目に見えない害による駆除の意識とどちらが浮き出てくるのかを見出せるような仮説設定していたが、学生として後者のイメージが強くでているように思われる。

4.共存判断

7. 鎌倉以外でリス目撃は?

[グラフ:鎌倉以外でリス目撃]

8. 近くの野生リスは好きですか?

[グラフ:野生リスは好き?]

9. 近くにリスが住む街は環境が良い?

[グラフ:リスが住む街は環境良?]

10. 移入種動物と住む街は環境が良い?

[グラフ:移入種が住む街は環境良?]

また同様に、10の移入種動物の住む街は環境が良いとはいえないという人が、9のいいえの人のほぼ3倍いることも、「生態系を乱すことも環境破壊の一部である」という考え方が垣間見られる。  どちらでもないという人が半数以上いることからも、「生態系と環境破壊との関係を分かりやすく、知らせる活動が必要」と思われる。

タイワンリスについて4「害獣か?」についていいえが31%、6の駆除すべきかにも、いいえが30%とかなりの割合である。害獣でない、駆除すべきでないという人に、分からないを加えると70%になるが、こういう人たちへの対応は、かなり重要であり、大変なエネルギーがいりそうである。実害があってもなくても、生態系の乱れから駆除するという活動への理解と支援がなされるような啓蒙活動や教育活動が必要と思われる。

鎌倉市や三浦半島の各都市行政は、現段階は「住民による実害クレーム」への対応という形で、駆除に動き出しているが、その点の情報公開、啓蒙だけでなく、専門家集団との共同での「生態系の破壊」という視点での教育、啓蒙活動が必要と思われる。慣れ親しんだリスがタイワンリスであることから思いもよらない気持ちに反した行動をとらなければならないため、専門家・住民の活動グループとの共同活動による教育・啓蒙・対策活動をとってゆくことが必要と思われる。そのためにも鎌倉市で、哺乳類学会や移入種対策会議やシンポジュームや各地の専門家・動物園との現地調査などを、実施してはどうかと思われます。


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