−提 言−

 ・消費税の福祉目的税化 〜憲法改正のプロトタイプとしての〜 (2000/9/10)

 

現在、我が国の政治上の重要課題は、長期的な課題としては憲法改正であろう。一方中期的な課題としては社会保障の安定化のための消費税の福祉目的税化である。

バブルの崩壊に続く橋本政権の経済での失策等により、日本経済は一時世界恐慌の引き金になるかと諸外国からも心配されるほどであったが、この緊急事態に対し小渕、小沢体制のなりふり構わないカンフル注入により小康状態を取り戻した。その過程で国債残高は膨大な額にのぼった。

本年4月の小沢自由党の自自公連立政権離脱、小渕首相の逝去の後、衆院総選挙の結果、国民は自由党を筆頭とした経済構造の外科手術の道と自公保のカンフル注入政策の両方に明確な信任を与えなかった。

その後、自公保連立政権は衆院総選挙の都市部での敗北を受け、亀井静香主導でカンフルを打ちつつ、公共事業の中身見直し、いわゆるIT諸政策での漢方薬的体質改善策的経済構造改革に舵を切りはじめた。

これに対し野党が具体策はともかく、外科手術的経済構造改革、財政改革を求めているというのが現在の状況であろう。

民主党、自民党の加藤紘一等YKKグループ、若手政策集団は景気対策よりも財政再建中心に再び舵を切る事を主張し、橋本政権での緊縮財政での失策の総括、それとの関係を明確な形で示しているとは思えないが、マスコミ、経済学者への受けは概ねよい。

この状況に対する回答として、包括的なことをいえばカンフル、漢方薬、外科手術、リハビリを手段としてそのタイミング、組み合わせ、特にその手順を適切に行い、患者を健康体にすること事が正しい政策であるという他はない。

問題は、いかにして、兵站を厚くしつつ、陣形を組み替え反転に至る体制になった事を内外に対して担保出来るかである。

その明確なサインとして、自由党他の提唱する消費税の福祉目的化を政権党が明確な形で国民に示せるかである。いわく「GDPが2%を安定的に相当期間維持したら消費税を福祉目的化し、老後の社会保障のナショナルミニマム、ソーシャルミニマムを維持する事に当てる。社会保障の最低水準及び消費税率を国民の同意によって適宜決め、それ以上は国民各自の自己責任によってまかなう。」

ここに表現された国家社会の機能と個人の責任分担のメリハリある構造を一つのモデル、プロトタイプとして、憲法に明確な形で国家、公と個人の関係を書込む事は、改憲議論に一つの方向性を与えるものになり得ると思う。

                   

                                                     以上

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