−提 言−

 ・パレスチナ危機打開は米国と国際社会の義務である。 (2002/4/15: 『正論』 2002年6月号掲載)

現在パレスチナ情勢は危機的な状況にある。
これを書いている14日の時点で、アラファト議長のアラビア語でのテロ非難声明
が発表され、パウエル米国務長官と議長の第1回会談が終了した。
なおその詳細発表とそれを受けてのシャロン首相の出方を見る必要があるが、残念
ながら曲折無く解決の方向に向かうのは難しいと予想される。

そもそも今回の事態の根本的な原因として、イスラエル側が国連決議に反しヨルダ
ン川西岸やガザ地区を占領し入植を続けている事にある。
アメリカは、イスラエルの立場を基本的に支持し多額の資金援助を続けてきた。

一方、パレスチナ側の問題としては、テロが占領に対する弱者の抵抗という面があ
る反面、過激派が主導権を握り自分達の地位や生活を守るためオスロ合意に基いた
平和が安易に訪れないようにテロを続けるという側面は否定できない。
さらにその背景には、占領による貧困と機会の不平等があるという堂堂巡りの状況
がある。

停戦と問題解決のためには、イスラエルの占領終了とアラファト議長の実効あるテ
ロ取締り開始の同時進行が必要だろう。

そのためには、先ず支援を続けてきたアメリカがパレスチナ自治区からのイスラエ
ル軍即時撤退を援助停止をちらつかせても迫る必要がある。
それに引き続き、撤退を担保するためと治安維持のためにアメリカは多国籍軍派遣
の安保理決議で拒否権を行使しない必要があるだろう。

アメリカのユダヤロビーはこれを押さえるために議会への働きかけを活発化するだ
ろうが、ブッシュ大統領とアメリカ国民に向け日本を含んだ国際世論がこれらを要
求し圧力をかけ続ける義務がある。
果たして、政府与野党問わず日本の政党と政治家の中にこの問題でアメリカに直言
出来る者があるのだろうか。

 

                       以上

http://www.asahi-net.or.jp/~EW7K-STU/#提言

http://www.asahi-net.or.jp/~EW7K-STU/