−提 言−

 ・農政の真の方針を確立せよ (2001/4/22)

 

現在、中国等からの生シイタケ、ネギ等の農産物等の輸入急増に際し、国内生産者及びその産地選出の代議士等からセーフガードの発動を求める動きが起き、具体化してきている。

当然ながらいわゆる開発輸入により、コスト削減の恩恵を受けている輸入業者、加工メーカーは発動に反対である。マスコミも概ね自由貿易による価格競争促進の立場から発動に批判的である。
セーフガードは、WTOに規定された緊急避難的措置であり、国内生産者を一時的に守りその間に構造転換を図ってもらうための言わば「方便」の措置である。

生シイタケ、ネギ等の国内生産を維持する事は必要か等の個別の事項の是非は別にして、マスコミ等の議論は、この一時的措置としての意味と自由貿易の原則についての論点がよく整理されていない様に思える。
その背景には、農政についてそもそもどの様な姿を目指すのが望ましいのかを政治、マスコミはじめ国内世論が、明確に描いていない事に原因が在る。

平成11年7月に国会で可決成立した「食料・農業・農村基本法」は、「近年の我が国経済社会及び食料・農業・農村をめぐる情勢の大きな変化に対応するため、昭和36年に制定された旧「農業基本法」に代わる新たな基本法を制定し、各分野にわたる施策の基本理念とその基本方向を明らかにする」目的のため、以下の基本的な理念を規定している。

 @ 食料の安定供給の確保

 A 多面的機能の発揮

 B 農業の持続的な発展

 C 農村の振興

「基本法」には、この理念に基づき、基本計画を定めなければならない事、基本的施策、年次報告及び審議会についてが述べられており、その内容は、包括的であり概ね妥当なものと言えよう。
しかし、包括的であるため逆に記述の順番は前述の@からCの様になってはいるが各基本理念間の関係についての言及が弱く優先順位がやや明確でなく、全体に総花的な印象を受ける。

これに対し私は、以下の原則を農政の基本方針に織り込む必要が在ると思う。

上記は、できれば基本法を改正して、その中に織り込む事がベストであると思う。
さらには例えば、輸入食料が国際紛争、自然災害等による大規模な飢饉により、輸入ストップになった場合、ゴルフ場等を収用しトウモロコシ等の栽培に供するための具体的手続きを、有事法制の一部として書き込む必要が在ろう。

農業を国家戦略の一部として位置付け、自由経済、自由貿易の原則上国際的に協調すべき点と逆に譲れない点を明確化し、農政、通商政策にあたるべき事を、政治、マスコミ以下国民世論は今後意識して行く事が望まれる。

                                                 

                                                     以上

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