−提 言−

 ・日本経済の岐路と基本戦略(1999/6/19)

1〜3月のGDPのプラスにも拘わらず、日本経済の現状を見渡せば今後有効な手段を講じなければ秋にかけて再びマイナス成長に落ち込むというのが専門家、国民の大方の見方だろう。ここで問題なのは「有効な手段」の中身である。マスコミ、専門家の唱える経済景気対策を大別すると、規制緩和、自由競争を促進する方向と、公共事業を中心とし景気刺激策を継続する方向に大別出来ると思う。さらにいえば公共事業の中身を土建型と情報通信等のいわゆる非土建型に分けた上での議論が多い様である。

個々の政策の中身もさる事ながら、それを包括して統合する全体像、グランドデザインをどう描くかがより重要であると思われるが、それが明確かつ簡潔に語られる事が概して少ないのではないかと思う。簡単に私の見るところを譬えで示せば、現在の日本の経済は数々の失策等により弱り追い込まれたところを大規模な補給部隊により当面の劣勢を回復し一息ついた状況である。だがこの膠着状態を破るには補給を切らさずに前線を支えつつ、陣形を組み替え攻勢に転じる必要があると見る。

緊縮財政等での橋本政権の失敗を繰り返してはならない。とともに従来型の公共事業の中身の見直しも長期的な財政健全化の視点からは必須である。ここで公共事業の中身であるが、先にあげた土建型、非土建型の区分は論点が荒く、不要な漁港の建設等のような単なる資金投入型と情報通信、国際空港、新幹線さらには福祉、環境の一部のような将来それを稼動させての収益や波及効果の見込めるような投資型、未来型に区分するほうが日本経済のためには有用であると思う。以上、まとまりなく述べたが、この経済危機を乗り切るには状況をどう見るのかという全体像と、短期と長期を見据えた複眼的、構造的アプローチによる基本戦略の責任ある議論がこれから不可欠であると見る。

                               

                                                     以上

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