−提 言−

・日本が食らったイラク戦争支持という毒饅頭 (2003/12/7)

やはりそうなったか。
日本は、アメリカの言うがままに自衛隊を差出し、派兵せざるを得なくなったよう
だ。
それはそうだ。
開戦直後、ブッシュに対してイラク戦争支持を表明してしまった手前、小泉さんは
今更「出せません」とは言えないだろう。
加えて、よりによって、駄目押しで小泉さんは5月下旬の日米首脳テキサス会談等
で自衛隊派遣を約束している。

小泉さんは、先月29日、ティクリットで起きた日本人外交官2人の殺害事件を逆
手に取って、「テロに屈するな」と言い自衛隊派遣の後押しに利用し始めている。
なにやら、過去の戦争のように“邦人保護”を名目に出兵し、どんどん泥沼に嵌り
こんだ悪夢が過る。

◆第1の毒饅頭
もちろんテロに屈してはならないし、第一、荒廃したイラクに対し復興支援の国際
貢献をすべきなのは当たり前の事だ。

しかし、問題なのは、そもそもイラク戦争に大義が無かった事だ。
独裁政権が消滅すべきなのは、歴史の大きな流れに沿った事ではある。
だが、ブッシュが国連を無視して開戦に踏み切った事、開戦の動機の中に石油、復
興、軍需の利権、石油ドル決済体制維持等々の恣意的な要素が含まれズブズブだっ
た事をトータルに見れば、大義は無いか少なくとも甚だ希薄であった。
これが、テロリストに口実を与え、今イラクがベトナム化し始めている最大の要因
だろう。

また大量破壊兵器は、未だ発見されていない。
これについては、実は実験段階のものが多少存在し、ブッシュが大統領選で勝利す
るために、投票日直前を狙って世界にご披露するという憶測があった。
もし、私もブッシュの立場だったらそうした。
でも、もう状況はその段階を過ぎたか。
いずれにせよ、たとえ今後発見されても、開戦当時の国際社会に対する切迫した脅
威になるもので無かった事は、当時のIAEAの報告等によっても明らかだろう。

◆第2の毒饅頭
自衛隊は、死傷のリスクを掛けて危険な任務に就くのが職務であり、存在理由では
ある。
だが、その目的が大義なき単なるブッシュへのお付き合いだったら、流す血は報わ
れまい。
また政府は、意識してかどうか大義と国益の問題を整理せずに、ぐちゃぐちゃにし
て論じている。

日本は、新しい国連決議により、イラク国民への主権移譲を前提とした、占領行政
と確たる一線を引いたスキームの中でこそ、錦の御旗の下に堂々国際貢献に向かう
べきだ。
その国際同意取り付けのために、早速行動すべきである。
ブッシュに「日本はイラク戦争を支持したではないか」と責められても、怯んでは
ならない。
もし、日米の信義上の問題で小泉さんの首を差出さ無ければならないなら、そうし
よう。
短期的な国益に惑わされずに、大義に適う後世に羞じぬ選択のためなら、そんなも
のは大した事ではない。
また、それは必ずや長期的な国益にも一致する。

戦闘終結後の世論調査では、小泉さんのイラク戦争支持の判断に対して、それまで
と一転して多くの国民が賛成に回った。
毒食わば皿までという言葉がある。
だが、日本国民よ、アメリカに盲従した形でのイラク派兵という第2の毒饅頭を食
うのはもうよそう。
それはまた、世界の安定とアメリカ自身のためにもならないだろう。

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・イラク派兵という毒饅頭を食うな (2003/12/13: 短縮版: 『噂の真相』 2004年2月号掲載

やはりそうなったか。
日本は、アメリカの言うがままに自衛隊を差出し、派兵せざるを得なくなった。
それはそうだ。
開戦直後、ブッシュに対してイラク戦争支持を表明してしまった手前、小泉さんは
今更「出せません」とは言えなかったのだろう。

もちろんテロに屈してはならないし、第一、荒廃したイラクに対し復興支援の国際
貢献をすべきなのは当たり前の事だ。

しかし、問題なのは、そもそもイラク戦争に大義が無かった事だ。
独裁政権が消滅すべきなのは、歴史の大きな流れに沿った事ではある。
だが、ブッシュが国連を無視して開戦に踏み切った事、開戦当時も大量破壊兵器等は
切迫した脅威とは言えなかった事、開戦の動機の中に石油、復興、軍需の利権、石油
ドル決済体制維持等々の恣意的な要素が含まれズブズブだった事をトータルに見れ
ば、大義は無いか少なくとも甚だ希薄であった。
これが、テロリストに口実を与え、今イラクがベトナム化し始めている最大の要因
だろう。

自衛隊は、死傷のリスクを掛けて危険な任務に就くのが職務であり、存在理由では
ある。
だが、その目的が大義なき単なるブッシュへのお付き合いだったら、流す血は報わ
れまい。
また政府は、意識してかどうか大義と国益の問題を整理せずに、ぐちゃぐちゃにし
て論じている。

日本は、新しい国連決議により、イラク国民への主権移譲を前提とした、占領行政
と確たる一線を引いたスキームの中でこそ、錦の御旗の下に堂々国際貢献に向かう
べきだ。
その国際同意取り付けのために、早速行動すべきである。
ブッシュに「日本はイラク戦争を支持したではないか」と責められても、怯んでは
ならない。
もし、日米の信義上の問題で小泉さんの首を差出さ無ければならないなら、そうし
よう。

国民よ、アメリカに盲従した形でのイラク派兵という第2の毒饅頭を食うのはもうよ
そう。
それはまた、世界の安定とアメリカ自身のためにもならない。

 

                       以上

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