−提 言−

 ・今回米国テロに対する日本の対応方針私案 (2001/10/8)

本日、米国および英国によるアフガン爆撃をもって、間近と言われていた同時多発テロに対する「報復」戦争が開戦した。

遡って日本では、先週政府から「テロ対策特別設置法案」が国会に提出された。

初期対応の遅れを取り戻そうとし、米国からの「Show the flag」に慌てた相変らずの泥縄式、場当たり的、曖昧模糊、理念原則の欠如した内容である。
だが、対する野党、マスコミ、言論人からは賛成反対の立場と理由については示されたが、今回のテロに対する具体的な対応方針はまだ提示されていないようだ。

開戦の事態に対し、早急に日本としての具体的な対応を決める必要がある。
そのため、以下にその対応方針の私案を示す。

・テロ撲滅のために、日本が積極的に国際貢献をすべきことは言を待たない。

・しかし、本来テロに対しては新たな国連決議を必要とする国連の集団安全保障活動で対応すべきである。
 また、これが無い以上、米国の「報復」戦争に協力するためには、日本は集団的自衛権を認めてその一環として行う以外に無い。
 なお、日本が現行憲法下で集団的自衛権を行使可能である事の政府による確認は、今回の件に拘わらず必要な事である。

・米国は、国連の新たな決議は不要であるとし自衛権のもとに「報復」戦争を開始したが、今後イスラム諸国からの非難の声が高まれば、作戦のフェーズに応じ確固たる支持を得るために決議を模索する可能性が有る。
 日本は、米国に新たな国連決議があれば踏み込んだ協力が出来る旨を伝え、成否にかかわらずこれを促すべきである。

・また、併せて首謀者に正当な裁判を受けさせテロの発生を防ぐのを第一の目的にすべきこと、及び市民への被害を避けることを米国に要望するべきである。

・国連の集団安全保障活動ではない米国の「報復」戦争に協力する事は、日本も「参戦」することになる。
 それも一つの選択肢であるが、米国の作戦、戦争終結後も含めた戦略が明確には見えないこと、イスラム圏諸国へ戦争拡大の可能性があること等、国連の集団安全保障活動ではない米国の「報復」戦争に協力する事は諸々のリスクが大き過ぎる。

・戦争がどんなに上手く終結しても、その後はパレスチナ問題を含め欧米とアラブ世界の関係修復、対話が必要と予想され、日本はその仲介者たる資格を確保しておくためにも、今回は米国の「報復」戦争に参戦することは避けるべきである。

・食糧、水を含めたロジスティックスに協力することは、軍事常識からみて「参戦」と見なされざるを得ない。
 日本は、難民保護等「参戦」しない形での国際貢献に留め、これらを積極的に行うべきである。自衛隊等の派遣は、国連高等弁務官等の要請を受ける形で行うべきである。
 また、このための武器使用等の規定を明確にすべく今国会で立法措置をすべきである。

・ 国内原発テロ等に対しては、現時点から自衛隊による地対空ミサイル配置を含めた万全の体制を取るべきである。
 また、米国に指摘されるまでも無く、抜本的、迅速な総合経済政策を行い間違っても世界経済の足を引張る事は厳に避けるべきである。
 このために、政府は政策全般を見直すと共に、政権発足から半年経過して何ら成果を得ていない今の執行体制を抜本的に組替えるべきである。

 

                       以上

 

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