−提 言−

 ・小泉改革の終焉−国民は教訓を学ぶべし (2002/2/11: 『論座』 2002年5月号掲載)

田中外相更迭劇以降、小泉内閣支持率急落にも現れたように小泉首相では「構造
改革」が不可能な事が国民の目に次第に明らかになってきたと思います。
また、経済の危機は間近に迫っています。

そもそも「構造改革」とは何でしょうか。
それは、どのような社会を創ったら今後の発展と調和を実現できるかのビジョン
を示し、然る後にこれを実現するための具体策を方向性、整合性をもって組み上
げ実行する事であると思います。

しかし、小泉首相にはまずビジョンが欠落しています。
競争の必要性とナショナルミニマムの関係等について、突き詰めた思索をした様
子は見うけられません。
これらが、これまでの道路公団、医療費問題等の全体像不明の場当たり的な「改
革」にもあらわれていると思います。

今回の田中外相の更迭も、必ずしも特定勢力の言いなりになったとは思いません
が、結局理論が欠如していたために足して2で割る結論になったのだと思います。

小泉政権は間もなく倒れるか解散に追い込まれるでしょう。
熱病に冒されたとは言え、国民が改革の必要性に目覚めた事は、小泉政権にも一
応の歴史的意味はあったと思います。

今後はビジョンを持たない小泉政権を国民自身が乗り越える事が必要です。
第一に、各自がたとえ漠然とした形でも在るべき社会の姿、未来のビジョンを描き、
責任ある言動をして行く事が必要とされます。
どこからか月光仮面がやってきて日本を助けてくれるというのは、「神風」の思
想です。
まず、国民自らが考え合理的方法により行動しなければ、太平洋戦争当時と同様
それは成就される事はありません。

国民各自がそれぞれしっかりとした考えを持てば、これに呼応する政治家達は必
ず現れます。
具体的行動としてまず小泉政権を国民自らの手で倒し、それに続き明確な主体性
を伴った各自の選択を通し新政権を樹立して行く事で日本と日本人は新しい地平を
啓くべきです。

それは、市民革命を経ずに西洋近代化を果たした日本の、残された課題であると
考えます。

 

                       以上

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