−提 言−

 ・「経済再生の外科手術的具体策」 −直接償却スキーム等− (2001/3/11) 

  <具体策>

  1.直接償却への税制面等による誘導

  2.産業再生整理委員会の創設

  3.債権買取り流動化機構の創設(整理回収機構の改組)

  4.不動産買取り流動化機構の創設

本年度末に向け、経済、株価のジリ貧状態が顕著になってきた。
財政出動のカンフル剤で景気を支えつつ、IT促進政策、公共事業の中身見直し等の漢方薬により経済の体質改善を図り経済再生を実現するという自公保連立与党の経済対策は、膨大な公的債務の累積による長期金利上昇の懸念等により、予想された通りに具体的な行き詰まりを見せてきた。

勿論、経済がこれだけ疲弊している今日の状況の中では、連立与党のこれらの諸政策も不要であるとは言えない。
加えて筆者は、規制緩和の一層の促進、将来の消費税の福祉目的税化によるソーシャルミニマムの実現、実質GDPが2%乃至3%以上を3年程度の相当期間維持した時を本格的な財政再建に舵を切るトリガーとする事等の施策の手順の概要を定めパッケージ化した中長期的な経済再生および財政再建策の概略シナリオを作ることが必要であると主張してきた。

だが、特に今年に入ってから、不良債権の直接償却をはじめとした外科手術的手法の必要性を訴える学者、マスコミ、政治家等の声が大きくなってきている。
筆者も、米国の景気後退懸念の影響、IT等がもたらす将来のパイの大きさが少なくとも短期的には日本経済を再生に向け離陸させるエンジンとしては出力不足である事が明確化されつつあるのを勘案すると、不良債権の直接償却をはじめとした外科手術的手法をも、金融機関等に早急にそれを実行させるための施策として具体化する必要を感じる。

そこで、現在、不良債権の直接償却をはじめとした外科手術的手法の具体案を発表している、金融担当相 柳沢伯夫、自民党代議士 渡辺喜美、官庁エコノミスト 寺澤達也、小林慶一郎の各氏、さらには自民党政調会長 亀井静香氏の主導によって3月9日にまとめられた与党3党緊急経済対策等を参考に、守備範囲を少し広めにとって筆者にとって最適と思われる「経済再生の外科手術的具体策」の私案を以下に示す。

 1.直接償却への税制面等による誘導

 2.産業再生整理委員会の創設

 3.債権買取り流動化機構の創設(整理回収機構の改組)

 4.不動産買取り流動化機構の創設

自由な経済活動、社会活動による、ソーシャルミニマムを伴った自己責任社会の実現こそを、日本の向かうべき大きな方向性に掲げる事と共に、上記の様な直接償却等による資金、債権、不動産の流動化等の外科手術的施策を、失業保険期間の延長、日銀の量的緩和、その他の経済刺激策により国民の痛みの緩和措置をとりつつ、図る事は日本経済再生のために不可欠な2本柱であると思う。

これらを折り込み、施策の手順の概要を定めパッケージ化した中長期的な経済再生および財政再建策の概略シナリオを作り提示し、早急に国民の合意を形成することが政治、マスコミ、知識人の果たすべき義務となろう。

                                                     以上

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