－提 言－
・石原慎太郎氏は、取り込まれるな (2002/7/6)
郵政法案成立に目処をつけた小泉政権は、一先ず国会運営に形をつけた。
だが、表で抵抗勢力と喧嘩をする一方、裏に隠れる野中・青木旧経世会との取引に
頼った政権運営は国民の知るところとなり、ボディーブローとなりやがて更なる支
持率低下となって表れるだろう。
また、アメリカ小判鮫効果に頼った経済運営が現に頓挫し経済株価がジリ貧に向か
いつつある事を考えると、これらに追い詰められた小泉政権は八方塞がりの状況を
打開するため、抵抗勢力に新たに喧嘩を吹っかけた上で解散に打って出る可能性も
捨てきれないが、石原慎太郎・亀井連合が手ぐすね引いて解散を待っており、破れ
かぶれで解散してもピエロになるので、実際にそのまま解散を打つ可能性は低い。
こうして詰め将棋の様に考えて行くと、小泉首相が支持率低下と経済失政による政
権の自然崩壊を避けるために打てる手は、①禅譲含みで石原氏を何らかの形で政権
に取り込み倒閣の芽を摘み同時に支持率の回復を図るか、②禅譲を約束した何らか
の協定を石原氏と結んで体面を保った上で解散を打つかの２つに絞られる。
既に実質旧経世会に頼った政権運営を考えると、石原氏を都知事のまま秋の内閣改
造で副総理格で入閣させるウルトラＣを含め、顧問就任等何らかの形で、恐らくは
前者の石原氏の取り込みによる政権強化を森派、旧経世会連合の基盤の上で模索す
るのではないか。
実現可能性は低いが、後者の場合は、協定を結んだ上で先ず石原氏が都市型小新党
を立ち挙げ、この推薦を党籍のまま自民党候補者が受ける事を小泉首相が自民党総
裁として認める。
各野党も同様にして、反経世会、石原ブランドの小泉・野党連合で衆院過半数確保、
石原首班指名といったようなシナリオを取るのではないか。
いずれにしても、小泉首相に政治家としての感覚があるなら、経済株価がジリ貧に
向かう中、不安定な政権基盤のまま国民的人気を背に天下を覗い敵か味方か立場を
鮮明にしない石原氏をそのまま野に放置して置く選択肢は無い。
石原氏の本心は分からず、また政局は実際のところどう動くのかは予測しがたいが、
石原氏は、機に乗じ、たとえ日本の戦後体制を体現する旧経世会の基盤に乗ってで
も単に総理になれればよい等と考えるべきではない。
健全なる国家観をもとに、政治、経済、外交、安全保障、国民生活各面を包含した
将来ビジョンを示し日本の再生を図るためには、組むべき勢力を峻別しなければな
らない。
さもなくば、石原氏が勇ましいだけの理念無き政治家として晩節を汚すのみならず、
沈み行く船日本に将来は無い。
以上