−提 言−

 五輪惨敗は、戦略無き日本の象徴 (2002/3/4: 竹村健一『これだけメール』 2002/3/9 VOL.162掲載)
  http://www.melma.com/mag/96/m00002096/a00000165.html

冬季オリンピックが終わった。
不振だった成績について振り返って見ると、その姿はやはり今日の日本経済の低迷
と重なる所が多いように思う。
その原因について以下のように考えてみた。

・ジャンプ等日本が強かった競技で、事前に安易にルールを変更されてしまってい
 る。戦いの前の国際政治での政治的駆け引きの力が不足している。
・一方、決まった以上はそのルールに即応して戦略をシフトする必要があるが、そ
 れ以前に変更されたルールの研究すら十分にされていない気味がある。
 死んだ子(前のルールでの栄光)に恋々としている感がある。
 情報収集力、戦略意識が不足している。
・また、スケートショートトラック等で、国際世論にアピールする戦術が不足して
 いる。判定は覆らないまでも、今後の判定方法改善を主導する意欲が必要である。
・選手役員団等が、勝つための体制になっていない。
 また、選手へのインセンティブ制度等、国家的サポートの体制が不足している。
・賛否はあろうが、選手に国家を背負う気概が不足している事が考えられる。
 選手個人が競技を楽しみ自分のために戦う事と、国家を意識して戦う事は、何も
 相矛盾するものではなく両立可能なものと思う。
 外国選手と比べこれがうまく両立していない様に見える背景には、日本人全体が
 国家と個人の構造的関係の整理が出来ていない事があるのではないか。
 偏狭なナショナリズムにも自虐史観にも囚われず、社会に対する建設的意見を主
 導する指導者、言論人、マスコミの層が決定的に薄いことが、今日のオリンピック
 と経済等の不振に共通するより根本的な原因と思われる。
 

                       以上

http://www.asahi-net.or.jp/~EW7K-STU/#提言

http://www.asahi-net.or.jp/~EW7K-STU/