−提 言−

 ・8月15日に植民地主義の総括を (2001/8/5: 『朝日新聞』 2001/8/9掲載) 

−首相官邸宛発信原文−

小泉総理大臣 様

前略

8月15日終戦記念日に小泉総理が行おうとされている靖国神社参拝について、私の考えを申し上げます。

靖国神社が大多数の国民に戦争犠牲者の慰霊の場と認識されている以上、私はやはり参拝すべきだと思います。 A級戦犯合祀、政教分離等の難しい問題を抱えていますが、その点はこれらに対する考えを明確にする事で対応すべきと考えます。

具体的には、下記の様に参拝されるのが適当と思います。

@政教分離に留意し、それを客観的示す。(公式、非公式に拘わらず)

A参拝後、アジア侵略の反省と不戦の誓いを改めて行う。

B同時に、近代以降の日本を含む列強の植民地主義を歴史的に総括するとともに、未来指向の外交方針を打ち出す大演説をする。

Bについては、新世紀の入り口で日本が新たな世界観を啓き表明する事は、アジアのリーダーとして必須であり、終戦記念日はその善い機会だと考えます。

ご多忙の小泉総理には、終戦記念日まで時間が無く草稿の準備等は荷が重いかも知れませんが、歴代総理、有識者のご意見を頂く等して是非とも立派な演説を行っていただきたい。

歴史的視点を持ち、矮小な議論に左右されず明確な態度で堂々と参拝される事を希望いたします。

                                        草々

                                 2001年8月5日

              佐藤 鴻全

−掲載文−


「植民地主義の総括を15日に」 (会社員 佐藤 鴻全)

 15日の終戦記念日の靖国神社参拝は、政教分離やA級戦犯合祀など難しい問題がありますが、靖国神社が戦争犠牲者の慰霊の場と大多数の国民に認識されている以上、やはり首相は参拝すべきだと思います。

 その際、公式、非公式を問わず、一礼のみの参拝や献花などで、政教分離を客観的に示すべきです。またA級戦犯合祀の問題で指摘される、アジア諸国への侵略の事実などを認めたうえでの反省と不戦の誓いを行うことです。

 靖国神社は明治以降、戦争を推進した役割を否定できませんが、この問題は、近代以降の日本を含む列強諸国の植民地主義を抜きにしては総括できません。当時、日本も乗ってしまった世界の流れを、大きな視野でとらえ直すことが必要です。その上で、未来志向の外交方針を打ち出す演説をすべきでしょう。

 新世紀の入り口で日本が新たな世界観を示すことはアジアのリーダーとして不可欠です。終戦記念日はそのよい機会と考えます。

                       以上

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