さくら

さくらはうちの長女です。
ポメラニアンのクリームの女の子。
家に来たときは、手の平に乗るくらい小さくて
まるで「亀の子たわし」のようでした。
みゅーみゅー泣いていたので猫みたい。

小さいわりには気が強く、元気な子。
生まれながらのモデル。とでももうしましょうか、
カメラを向ければ、ばっちりカメラ目線。
これこそ、目の中にいれても・・・ってやつです。
お風呂に入れると、なんだか違う生物になっちゃうし
親馬鹿もいいところの私達です。

さくらが家にきてからは私達の生活もかわりました。
会社から帰ってきて、お帰りなさいとしっぽがゆれる日々。
私達が会社に行ってる時はおとなしく、お留守番の
できる子でしたし、半年後にパピヨンの妹、かえが
来たときも仲良く遊ぶし、悪戯もするし、外面はいいし、
楽しい日々です。


ある日かえでの実家でクリスマスケーキを作っている時。
あまった生クリームを取り敢えず、寒い廊下に
出して置いたんです。ふと、見ると娘達がいません。
案の定、廊下で2匹で顔中生クリームだらけに
なっておりました。

どうも、こいつらは芋が好きらしい、とふんだ私達は
ある日「舟和の芋羊羹」を2匹の目の前に置きました。
かえは遠慮するんです。「あれ?食べてもいいの?」
そんな顔をして、ちょっと匂いをかいでみます。
ところがどっこいさくらは一直線に芋羊羹へ。
思いっきりかみつきました。
食いしん坊なさくら。


ある日獣医さんに「心臓が弱い」といわれました
たしかにさくらはいくら小型犬とはいえ小さすぎ
です。1.6キログラムしかありません。
おまけに後ろ足の間接がぬけるようになりました
小型犬にはよくあること。とはいえ、納得はいがず、
そんなばかな、と私達は思いましたが、事実は替え
ようがありません。いろいろ調べたりもしました。

何度も発作をおこすことがありました。
小さい体で辛かったと思います。でも、いつもさくらは
私達にしっぽをふってくれました。
かわいい顔を見せてくれました。
なぐさめてくれました。

ある、初夏の朝、さくらは天国に行きました。


もう、ポメラニアンは飼わない。飼えない。
しばらく、わたしは泣いていました。
かえの存在がとっても愛しく思えます。
ただ、1匹になったかえはさみしがりやになって
しまいました。赤んぼのころから1匹になったこと
のない子でしたから。

とらがいいます。「ホントにもうポメはいらないの?」
たしかにわすれられないんです。あのふわふわした
毛の感触と、ちょっととがった耳。
でも、それはさくらではないんです。悩みました。
さくらのママを飼っているブリーダーさんも、よかったら
新しい子はどうか?と進めてくれます。

これで、私達が犬と暮らすことがやめれるか?
どう考えても、犬の方が人間より寿命短い。

私はない頭をひねって、考えました。

そんな時、ブリーダーさんからの電話。
さくらとは兄弟ではないけど、遠い親戚になる女の子が
生まれたとのことでした。

会ってしまったら、だめです。小犬の愛らしさに太刀打ち
出来る人は、いません。
そうです。帰りの車には3女の「りん」が私の膝で
暴れていました。

いづれ、悲しいお別れが来るのはわかっています。
けど、小さい命とできるだけ一緒にいる日々を
私達は選びました。もしかしたら、もっともっと
たくさんのしっぽ達と暮らす日がくるかもしれません。
でも、私達夫婦と長女のさくらのとは、いつもいつも
いっしょにいます。