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2日目。
今日はホテルで朝食は頼んでいないので朝9時頃起床。 ![]() トイレを済ませシャワーを浴びて、チェックアウトする。 部屋を出ると、いきなり若い女性に遭遇する。 おはようございます、と挨拶をしてくれるので僕も軽く挨拶をかわす。ルームメイキングの女性のようである。 大抵この手の女性は、おばちゃんが多いのであるが、若い女性を朝から拝めてモテナイ独身エトランゼは良い気分になる。 天気はかなり良い。快晴である。 朝食はできれば、ホテルなり旅館なりで済ませてしまった方が良い。
やや不安を残したままの強行突破であるが、朝食はとってないしトイレは済ませたので最悪の事態は無かろう。
今日はSLに乗るのであるが、まだ時間があったので、温泉街から見て湯田温泉駅の反対側にある椹(ふし)野川という川まで行ってみることにする。 途中ホテルからすぐのところに高田公園というのがあり、そこに中也の詩碑があるので、写真を撮る。 ・・・
あゝ おまへはなにをしに来たのだと・・・・・・
こりゃ僕の今の状況にピッタシだ、ヨシヨシと、このにわか文学青年は一人その気になったかのようにうなずいている。 まず一旦湯田温泉駅で荷物をコインロッカーに預ける。
人がいない。とても静かでのどかな休日の午前中の感じである。 空が青くてきれいである。時に悲しいほど・・・なんてね。 中也も子供の頃これとあまり変わらない風景を見ていたに違いない・・・ 中也の詩には、どこか哀愁の漂うリズムがある。それは時にサーカスの空中ブランコの音だったり、鄙びた軍楽だったりする。そんな中也のリズムが、この空間からは、どこかしら聞こえてきそうな気もする。 こんなモテナイにわか文学青年にとっては、この川沿いの空間は、ちょっと神秘的な世界にも感じる。 田んぼや畑、遠くには山も見える。本当にのどかだな・・・ 「あゝ オレはなにをしに来たのでしょ?と・・・吹き来る風に問い返す・・・みたいなネ!」などと独り言をかます。
SLの時間がせまってきたので、去りがたかったが椹野川に別れを告げ、駅へと急ぐ。 僕は中也の作品をそんなに知っているわけではないが、その中で一番好きな詩が、この湯田温泉の田舎じみた風景の中に佇んでいると、浮かんできた。 それはこんな詩である。季節はちょっと違うけど。
夏の空には何かがある、
上手に子供を育てゆく、
山の近くを走りながら、
「夏の日の歌」 (中原中也「山羊の歌」より)
SLは「やまぐち」号といって、運行は期間や時間等が限られている。
列車が来たので乗り込む。
続く。 |
●上記レポートを読む場合の推奨BGM
キリンジ:「野良の虹」(「ペーパードライヴァーズミュージック」収録) |