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 Chapter 30 「とねたん」に向けて(未定稿)

30−1 組織内コラボレーション


 5月は,環境教育学会での発表でガタガタしていたが,それと並行して,いろいろなことが進んでいた。「市民スタッフ」の公募も大きな話題だったが,もうひとつ,これから大きな話になりそうなのが,「利根川ゆうゆう公園」の開園と,それに関わる動き。
 「利根川ゆうゆう公園」は,文字通り,利根川の広い河川敷を利用した,スポーツ,レクリエーション,そして自然回復と自然観察を柱にした公園だ。河川敷の所有者は国土交通省。公園の設置と運営は,我孫子市の公園緑地課が主体となる。そして,生物調査や環境復元,環境管理には,鳥の博物館も一枚噛むことになっている。河川敷の環境を生かした草原や荒地,ワンド(伏流水の湧き出る場所)などを擁する「自然観察ゾーン」の設計,維持にも口出し出来そうだ。
 さらに,自然観察ゾーンの維持管理には,「市民スタッフ」などのマンパワーの活用も計画されている。そのレール引きも,考えなくてはいけない。まず,5月に開園する部分を使い,公園緑地課と博物館の共催で,観察会を行うことになった。観察会の本番は,他の観察会の先約があったので,今回は下見だけ参加させてもらった。我孫子には,手賀沼,岡発戸の矢津田,北新田の広大な水田など,さまざまな形の水辺環境があるが,その,いずれとも異なる水辺環境が,ゆうゆう公園には存在する。これは間違いなく,新たな自然観察フィールドとなる水辺環境だ。
 これから少しずつ環境調査を進めながら,公園の完全オープンより先に,観察会を開催し,市民に公園の環境を見てもらいながら公園整備を進め,将来的には,市民スタッフによる自主運営を中心にした展開も考えていると言う。将来,公園緑地課と鳥の博物館のコラボ観察会が,定例化される可能性もある。そのときは,イベントの愛称は「とねたん」で決まりだね,などと言う気の早い話も飛び出しつつ,「市役所内の異なる部署のコラボで実現する観察会と公園作り」には,大いに期待してしまう。下手な人事交流や組織再編をするよりも,よほどスマートな組織活性化になるのではなかろうか。行政的タテ割りを感じさせないところが,いい。

30−2 担い手を増やせ!


 「とねたん」を背負い込むことは,博物館のフィールドの拡大であると同時に,仕事量の増加を意味する。特に,フィールド調査と観察会は,手間のかかる仕事だ。
 幸いなことに,新しい嘱託学芸員の村松さん,寺田さんも意欲的だし,間もなく市民スタッフも動き出す。役所的には組織定員が確保しづらい御時世なので,市民スタッフの担うべき役割も,今後,どんどん増えてくる可能性が高い。それに,観察会の担い手は,一朝一夕に第一線級の人が作れるものでもないから,観察会を運用しながら,どんどん新しい担い手を育ててゆくような体制が必要になる。人材プールは大きいほうが良い。

 5月の「てがたん」では,学芸員の塩田さんが「メイン司会」デビュー。これまでの「てがたん」でもそうだったが,「てがたん」計画時点から,私の強い要望により,メイン司会担当は,博物館の職員が責任を持って行い,学芸員の自然解説者としてのスキルを維持しておいてもらおう,と言う方針だった(表向きは,安全管理とか管理責任者の問題で,学芸員を立てているが,学芸員の誰もが気軽に自然観察案内を引き受けられる体制を作っておきたいと言う希望でもある)。私としても,メイン司会や「仕切り」をしなくて良いというのは,自然解説だけで済むので,気楽に手伝える状況になる。そして,このポジションを,「市民スタッフ」のスキルアップの場として利用したい,と言う目論見も,だんだんと現実味を帯びてきた。

 さぁ,仕事は増えるが,人も増える。人を育てる場も,これでだいたい整ってきた。
 市民スタッフの活躍に,期待がかかる。

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