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 Chapter 21 虫とのふれあいが伝えるもの(未定稿)

21−1 「探鳥会」でバッタを追う


 9/10の「てがたん」は,前週の,秋の鳴く虫の観察会の影響もあり,担当スタッフも,何故か虫に関してアンテナ感度が上がっていた。もちろん私も,博物館駐車場を出た時点で,すっかり「バッタ取りモード」。これじゃ,「探鳥会」の看板を降ろすような勢いだ。
 バッタに熱を上げていたのは,それだけが理由ではない。
 23日に予定している,「バッタと遊ぼう!秋の虫観察会」の下準備も兼ねているのだ。
 野鳥観察は,繁殖期の終わった鳥を見ること,秋の「渡り」の片鱗を捉えることぐらいしかテーマが無く,冬鳥もまだ来ていない。この時期の観察の「旬」は,バッタやコオロギ,赤トンボなどの「秋の虫」なのだ。観察案内をしながら,デジカメ片手に,バッタの予備調査と,パンフレットに使う画像資料収集。セミもまだ鳴いているし,夏の花と秋の花が混在する手賀沼沿いは,鳥の多い,少ないに関係なく,楽しめる。定例探鳥会では,毎月,ほぼ同じ場所を見ているので,季節変化がよく見える。ふと感じる,季節感みたいなものを,大事にしたい。

21−2 「昆虫三部作」の仕上げは…


 9月の「てがたん」から約2週間。いよいよ「バッタと遊ぼう!」の開催日だ。
 今月は3回も観察会をやっている。準備などはそれなりに忙しいが,テーマに「流れ」があって,スムーズに準備が進むので,それほど苦になっていない。まぁ,苦にしていないのは私だけで,これを本業として対応している学芸員は,もっとしんどいのだろうけど(その代わり,学芸員に少しでも楽をしてもらうために,企画もメイン司会も引き受けているのだが)。
 「鳴く虫」のところでも触れたが,今回は「鳴く虫」「バッタ」と,秋の虫の観察会を2分割した。セミの羽化の観察会も含めると,「昆虫三部作」。それぞれに個性ある内容で,場所もストーリーも見せ方も違う。マンネリ化させない「メリハリ」にはこだわっている。変わらないのは司会の私ぐらい(苦笑)。司会者の顔が一番マンネリだな。

 この観察会は,とにかく,虫に触れる。バッタをどんどん捕まえて,観察したら逃がす,「キャッチ&リリース」方式。バッタを探していれば,コオロギ類,キリギリス類,さらには甲虫とか蝶とか,さまざまな虫が目に入ってくるので,それも拒まず,参加者の興味の赴くままに,展開してゆく。さらに,「秋の虫」の代表格,赤トンボも観察してみよう,と言う内容。まさに虫三昧。
 「虫の声」の観察は,どんなに頑張って演出しても,少し大人向きの内容になってしまう。時間帯の問題,「声」だけの観察と言うハンデ……。それに比べると,今度の観察会は,ワンパクどもの虫取り遊びの延長線上にあるような企画だから,賑やかにやろう。担当スタッフのお役目は「ガキ大将」みたいなもんだ。この勢いで,保護者のお父さん,お母さんも,童心に帰って(ひょっとすると,虫取りが初めて,と言う大人もいるかも知れない),文字通り「バッタと遊ぼう!」と言う企画なのだ。

21−3 「ガキ大将」は,ちょびっと朝寝坊


 9月23日,秋分の日。観察会当日である。
 天気は曇り。ちょっと涼しくなった。文字通り,「暑さ寒さも彼岸まで」だ。今日は,「ガキ大将」になるので,あまり暑くないほうが動きやすい。
 今回は「鳴く虫観察会」よりも予約の出足が早く,早々に予約定員に達していた(実際には,あまりの人気の高さのため,予約数よりやや多めに受け付けている)。やはり,親子で遊べる観察会は,人気が高い。
 「てがたん」よりも30分早く,朝9時半にスタート。鳥を見る人にとっては,朝9時半開始なんて,手ぬるいと思われるかも知れないが(実際,7時集合の探鳥会とか,結構ある),我々の観察会は,参加しやすいことも重要な要素なのだ。スタートを8時台にしたら,参加しにくくなるし,博物館の開館時刻も9時半だし……。

21−4 バッタ捕獲へGO!


 9時過ぎに参加受付開始。予約制なので,名前を確認してパンフレットを渡すだけで済む。
 このときに,子ども達に,特製の捕虫瓶を渡す。子ども1人に1本。捕虫瓶と言っても,炭酸飲料の500mlペットボトルを肩のところで切って,首の部分をひっくり返して胴体にはめ込んだだけのもの。手で捕まえた虫を,細い口から投げ込むことも出来るし,口をはずして胴体の部分だけを使って虫取りをすることも出来る。透明ボトルだから,捕まえた虫も観察しやすい。「リサイクル工作」と言う点もいい。

→参考

 博物館の駐車場の脇の土手に出たら,あとはもう,ひたすら虫取り遊び!
 子ども達は,いろんな虫を捕まえて持ってくる。ちょっと珍しい虫が捕まったら,大きな声を出して,周囲の人にも見てもらう。

 やっぱり,ショウリョウバッタのメスが,捕まえやすくて大きいので,たくさん集まってくる。コバネイナゴも多い。気温が低めなのと,少し湿度が高いおかげで,トノサマバッタやクルマバッタモドキなど,長距離飛行を得意とするバッタの飛行距離が伸びていない。トノサマバッタやクルマバッタモドキも,何とか素手で捕まえている。クルマバッタモドキの翅を広げて模様を見せたり,ショウリョウバッタを「米つきバッタ」状態にして遊んだり,科学ネタと遊びネタを取り混ぜながら,観察を進める。乾いた場所,湿った場所,草丈の高い場所,低い場所……場所によって,捕まる虫の種類が変わってくる。どんな場所にどんな虫がいるのか,遊びながら理解出来そうだ。
 エンマコオロギやクサキリなど,バッタ以外の直翅目も,どんどん捕獲されてやって来る。やっぱり,虫取り遊びは楽しい。子ども達が夢中になると,すごいパワーだ。気がつくと,お父さんも一緒に,虫取りをしている。子どもと体験や感動を共有出来るのは素晴らしい。こういうときは,親が「傍観者」や「監督者」になってはいけない。一緒に遊んだほうが,子どもたちのためにも,良いと思うし,大人だって,一緒にやってみれば,これは楽しい。

21−5 最後は,コンテスト


 バッタ遊びが一段落したら,今度は水辺で,赤トンボ探しだ。
 我孫子に多い赤トンボは,ノシメトンボ,アキアカネ,ナツアカネ。ここで,赤トンボを素手で捕まえるワザを披露。こういう,ちょっとしたことが,観察会を魅力的にする。
 何匹か赤トンボを捕まえたところで,今度は「ひと目でオスメスを見分けるワザ」。このとき,大人の人には,トンボの副交尾器と交尾方法の解説などもして,雑学を増やしてもらう(笑)。そうこうしているうちに,リスアカネを捕まえた子がいた。この辺りでは少数派の赤トンボだ。いつも以上にオーバーアクションで驚いたり喜んだり,子どもたちと笑ったり,「自然観察は楽しい!」「自然はおもしろい!」を,体で表現しているような…。

 最後は,理屈っぽい「観察のおさらい」をやめて,「秋の虫コンテスト・人気投票!」。
 投票用紙には,「あなたが,いちばん「秋らしいな!」と感じた虫は?」と書いてある。これで,卿観察したものの一番人気が分かる。斉藤さんに投票結果を集計してもらっている間に,子ども達に,印象に残った虫を上げてもらって,ちょっとずつ解説を加える。見たものを全部網羅するつもりは無い。それは来年のための資料として,スタッフがまとめておけば良い。

 さて,結果発表! やはり,一番人気は,トノサマバッタに決定。
 さらに,投票用紙に名前を書いてもらっているので,それを使って抽選会。
 お土産は,春の観察会でも用意した,ペットボトル工作の「飛行リング」。これもリサイクル工作。観察会が終わったら,その場ですぐ遊べる。


 ぎっしり,たっぷり遊んだ2時間半だった。

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