8cm短焦点屈折を,もっと使いやすく! (現在進行中)


改装を決意する……

 8cmF5のジャンクレンズを使った短焦点屈折望遠鏡。コンパクトで使いやすく,けっこう良く見えるので,そこそこ良く稼動していました。
 ……しかし,問題は突然発生するのでした。

 ワイドスキャンが合焦しない。

 ……せっかくのRFTが………。20倍で4度超の広視界が実現しないのは,ちょっと悲しい。
 この望遠鏡の最大の弱点は,合焦範囲が狭いことだったのです。

 うーん……やっぱり,いろんなアイピースを気軽に交換して使えるようにしたい……一度気になりだすと,その欲求は,どんどん膨れてきます。
 これは,鏡筒の全面改装しかない。重い腰を上げ,製作開始です。

使いやすさにこだわってみる



 全体像です。ずんぐりむっくり……(笑)。
 鏡筒はオーソドックスな白色。VU75管を使っています。




 対物部。
 セルはVU75ジョイントですが,その中にVU75管を短く切って入れています。VU75管の内径が82.5mm,レンズの外径が82mmなので,ほぼスペース調整無しで,スルスルと収まります。レンズの後ろ側には,VU75管の内側に塩ビ薄板を貼って,レンズ押さえにしています。
 VU75ジョイントは,中ほどに内径76mmぐらいの環があるのですが,それを2mmほど削り,78mmにして,さらに,このリングが光路のケラレを起こさないよう,対物レンズを少し前のほうにオフセットしています。そのため,レンズがかなり前のほうに来ているので,VU75ジョイントの輪切りを前に継ぎ足し,その内側にVU75管を入れ,これの内側に塩ビ薄板を貼って内径80mmまで落とし,レンズ押さえとフードを兼ねています。前側のレンズ押さえ兼フードは,着脱可能な構造にしてあり,分離することを示すように,外側を青くしました。タ○ハシのフローライト鏡筒の真似ではありません(笑)。




 極太ドローチューブ。
 今回,眼視専用と割り切り,摺動チューブを採用しました。摺動部は,VU75の内側にVU75から切り出したCリングを入れて内径を少し小さくし,その内側をVU65管が摺動しています。摺り合わせ部分は「カグスベール」を60度間隔で6方向に貼り,さらにその隙間は植毛紙で埋めています。植毛紙の適当なフリクションと,カグスベールの滑らかさで,止めネジ無しで2インチ接眼部をぶら下げても,問題無く使えています。



 接眼部。
 ドローチューブの後端には,VU50ジョイントを埋め込んであり,ここにBORGの7602を押し込んで,M57ネジを出しています。
 写真の例では,M57ヘリコイド,2インチホルダー,2インチ→36.4mmアダプター,36.4mm天頂プリズム,と繋いでいます。10cm以上摺動しますので,天頂プリズムの有無にかかわらず,どんなアイピースでもピントが出ます。




 対物キャップ。
 これはVU75用のキャップ,つまり「純正品」です。相手がVU75ジョイントですから,このキャップの内側にVU75管を貼って,VU75管とVU75ジョイントが噛み合うようにしています。キャップとフードの外径が同じですから,ちょっとかっこいい。




 鏡筒バンド。
 残念ながら,良いアイデアが浮かばず,武骨なものになっています。近い将来,フリーマウントに乗せることも考えているのですが,そのときには,もっとカッコ良くて使いやすいものを作ります。



今後の展開は?

 結局,対物レンズ以外はすべて新製してしまいました。使いやすさ,カッコ良さ,輸送の容易さなども考え,こんな形になりました。
 結論として,使いやすい望遠鏡,使って楽しい望遠鏡ほど稼働率が上がる……その一言に尽きます。
 これで2インチアイピースも気軽に使えることになったことですし,今まで以上に活躍してもらうことにしましょう。

 さらに活躍の場を広げてもらうために,フリーマウントとの組み合わせも考えています。短い筒と相性の悪いフリーマウントを,どうするか。……いろいろアイデアをひねっているところです。


……で,続く



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