火星の撮影記録 〜火星大接近2003〜

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2003年の火星は,非常に条件の良い「大接近」となります。
8月27の最接近日を中心に,火星の様子を追いかけてみます。

☆共通撮影データ(異なる撮影機材で撮影したものは,個々に明記しています)
 望遠鏡:トミー BORG76ED
 カメラ:カシオQV-8000SX
 LV12mm+デジカメのズーム目一杯でコリメート。
 露出時間:1/8〜1/20秒


 2003.03.14

 2003シーズン,初画像です。
 04:52-05:03,露出1/8秒。
 BORG76ED+LV12mmでコリメート,デジカメのズームを目一杯にして撮影し,さらに300%拡大したものを16枚コンポジットしました。
 2001シーズンの火星撮影は,色の再現にかなり試行錯誤しました。火星は単位面積あたりの輝度が意外と高いので,R画像がすぐ飽和してしまいます。そこで,あえてホワイトバランスを「蛍光灯」にし,彩度を「低」に抑え,赤色が飽和しないように工夫しつつ,少したっぷり目に露出をかけると言う手法で撮影してみました。

 このときの火星の視直径は6.6″。土星本体の視直径の1/3ほどの大きさです。とにかく小さいんです。76mmの望遠鏡の分解能が,ドーズの限界値で1.5″ですから,よほど大きな表面模様でもない限り,写らないんですが,左側の欠けぎわに,黒っぽい部分が写っています。

 
 上の写真と原版は同じものですが,400%拡大した像を,シミュレーション画像と並べてみました。
 けっこう模様が写っているようですね。


 参考までに,撮影したまんまのナマ画像を400%拡大しただけだと,こんな感じです。
 こういう画像をたくさん撮影し,丹念に重ね合わせて画像のザラツキを平均化してやって,さらに画質を調整してゆくと,上記のような画像が出来上がるのです。
 この画像でも,きちんと画像情報は入っているので,シミュレーション画像と比べれば,火星の表面の模様を捉えていることがわかります。

 火星の撮影はなかなか手強いものですが,これからが楽しみです。


2003.04.29

BORG76ED+LV12+QV8000でコリメート撮影。
 03:39-03:38,露出1/8秒,シャープネス標準,彩度低,コントラスト高,15枚コンポジット,WB蛍光灯,300%拡大
 今シーズンお初の,大シルチス。左下のほうの黒い影が,それです。
 この時点で,火星の視直径は9.2秒。とにかく小さい!
 40カット近く撮影し,状態の良い画像を15枚選んでコンポジットしています。


2003.05.29

BORG76ED+LV12+QV8000でコリメート撮影。
 03:28-03:36,露出1/20秒,シャープネス高,彩度低,コントラスト高,25枚コンポジット,WB蛍光灯,300%拡大。
 だんだん大きくなってきましたね。でも,視直径はまだ12″。最接近時には25″少々になるわけですから,この倍ぐらいの大きさで写ってくれるはずです。
 気流が安定していたので,ばりばり撮影し,ごっそりとコンポジット。手作業で25枚も重ねるのは,ちょっとしんどい……。

 あまり目立った地形の見えないエリアが写っています。
 ちょっと拡大してシミュレーション画像と比較してみましょう。

 

……主要な地形は,ちゃんと写っていますね。実写のほうが上のほう(南極のほう)の白い部分が大きくなっています。雲が発生しているようです。白いベレー帽をかぶった姿のほうが,「火星らしさ」を感じますね。このぐらいが眼視イメージに近いと思います。個人的には,あんまりウソっぽくないほうが好きなので,このぐらいの感じで,もうちょっとシャープさを追求するようにしたいと思います。……と言っても,口径76mmのちっちゃな望遠鏡ですから,どこまで画質を追い込めるか……。


2003.06.21


BORG76ED+LV12+QV8000でコリメート撮影。
 03:27-03:33 露出1/15秒,シャープネス高,彩度低,コントラスト高,15枚コンポジット,WB蛍光灯,300%拡大

 視直径15秒になりました。1997年の「小接近」のときの視直径を上回ります。ちょっと気流が悪く,なんとなくシャープネスに欠けます。ピントの芯が掴みにくくて苦労しました。目立った地形の見えないエリアが写っています。中央よりやや上のほうの黒っぽいのが,「シレーネスの海」に相当するようです。南極部の白い部分は,雲か雪か,良く分かりませんが,少し小さくなってきているようにも見えます。


2003.07.16

BORG76ED+LV12+QV8000でコリメート撮影。
 00:21-00:28 露出1/10秒,シャープネス高,彩度低,コントラスト高,11枚コンポジット,WB蛍光灯,300%拡大

 梅雨で天気が安定せず,1ヶ月近く間隔が開いてしまいました。
 いつの間にか夜半前から赤く明るく輝くようになっています。
 視直径19.2秒,明るさは-1.9等。0時少し前ごろから撮影準備を始め,撮影しているうちに雲に隠れてしまいました。本格的に撮影できるのは,梅雨明け後かな。空の透明度が悪く,しかも火星の地平高度も低いので,全体に赤っぽくなっています。南極部は,もう少し白いはずなんだけど……。右端に大シルチスが顔を出したところで,比較的地表の模様がにぎやかなエリアが写っています。本当はもう2時間待って大シルチスを捉えたかったのですが,天気には勝てません……。
 


2003.07.17

 …と言うことで,リターンマッチ。
BORG76ED+LV12+QV8000でコリメート撮影。
 02:58-03:11 露出1/15秒,シャープネス高,彩度低,コントラスト高,45枚コンポジット,WB蛍光灯,300%拡大

 昨夜よりも雲の切れた時間が長かったので,ひたすらシャッターを切り,約60カット撮影。画質の落ちるコマを捨てて,45コマをコンポジット。
 さすがにコンポジット枚数が稼げると,滑らかなイメージになりますね。表面模様と色調を調整するために,画質調整をきつくしています。そのため,グラデーションがちょっと変……。でも,大シルチスがはっきり認識出来ます。大シルチスの南側(画像では上側)のハイライト部(ヘッラス)との対比が美しいですね。南極冠は小さくなり,なにやら影のようなものが極冠の中に見えます。


2003.08.04

BORG76ED+LV12+QV8000でコリメート撮影。
 01:35-01:54 露出1/30秒,シャープネス高,彩度低,コントラスト高,73枚コンポジット,WB蛍光灯,300%拡大

 火星は木星に較べて自転が遅いのをいいことに,たくさん画像を取得し,たっぷりコンポジットしてみました。
 それでも,撮影時間が20分ぐらいかかっているので,模様を基準に位置合わせしてコンポジットします(当然,自動処理ではありません。すべて手作業!)。
 おおよそ,10枚ぐらいコンポジットすると,シンチレーションや撮影時の誤差などが平均化されて,模様がそれらしく認識できるようになってきます。それ以上のコンポジット枚数は,解像度よりも画像の粒状性に貢献してきます。火星の解像度そのものは,望遠鏡の分解能以上の結果は出せませんから……。コンポジットによって情報量自体が増えるわけではありませんが,粒状性が良くなると,見やすくなりますね。


2003.08.04〜08

 望遠鏡をいろいろ変えて撮影してみましたので,簡単にまとめてレポートいたします。

 今年の火星はとにかく大きい!……とは言うものの,木星の衝の頃の視直径の約半分。小口径の望遠鏡にはつらいかな,などと予測していました。ところが,入門用クラスの望遠鏡でも,けっこう良く見えているよ,と言う話を各所で聞き,それなら……と,手元の小口径望遠鏡を使って,試してみました。
 極冠を見るなら,口径6cm級の望遠鏡で50倍ぐらいから,それらしい姿が見えてきます。100倍ぐらいで,大きな表面模様が,なんとなく見えてきます。もちろん,大口径の望遠鏡には及びませんが,ちゃんと火星らしい形に,見えているんです。

 そこで,その様子を何とか写真で紹介しようと,撮影をしてみました。

 まずは,口径65mm,焦点距離800mmのアクロマートレンズを使った自作望遠鏡から。

6.5cmアクロマート屈折(fl=800mm)+LV15mm+QV8000SXでコリメート撮影。
2003.08.04 23:58-00:08 露出1/10秒,シャープネス高,彩度低,コントラスト高,16枚コンポジット,WB蛍光灯,200%拡大

 アクロマートレンズはB画像のピントが甘くなるので,どうしても青が弱く,全体に黄色味を帯びます。多少,カラーバランスをいじって,気にならない程度に黄色を抑えていますが,模様の主体はG画像とR画像に乗っているので,そこそこに表面の濃淡が見えています。

続いて,いつものBORG76EDで撮影。

BORG76ED+LV12+QV8000でコリメート撮影。
2003.08.05 00:20-00:40 露出1/20秒,シャープネス高,彩度低,コントラスト高,27枚コンポジット,WB蛍光灯,300%拡大

 解像度,コントラストの差は歴然ですが,6.5cmアクロマートでも,ちゃんと表面模様を捉えていることが確認出来ます。
 こちらの写真では,極冠に歪みがあるのも分かりますね。7月ごろから,極冠の形が,綺麗な円形ではなくなっているのですが,ちょっと興味を引きます。

 さて,6.5cmアクロマートでの写りの良さに気を良くし,本来なら地上用途の機材であるスポッティングスコープを引っ張り出してきました。

GEOMA ED65+GL25+QV8000でコリメート撮影。
2003.08.08 01:35-01:45 露出1/45秒,シャープネス高,彩度低,コントラスト高,36枚コンポジット,WB蛍光灯,400%拡大

 ジオマの純正アダプタでコリメート撮影が出来る最高倍率は25倍。この口径なら,もう少し焦点距離を稼いだほうが良いのですが,残念ながらこれ以上の倍率に対応していません。画像処理の段階で元画像を400%拡大しています。正立プリズム入りの望遠鏡ですから,正立像です。天体望遠鏡と比較する際は,上下左右をひっくり返したほうが分かりやすいかも知れません。
 すぐ上の2枚と,ほぼ同じ場所が写っています。模様の解像度に関しては,6.5cmアクロマートより好結果です。
 しかし,実際にジオマで火星を見ようとしても,純正アイピースでの最高倍率は60倍ですから,こんなに大きく見えることはありません。この写真デジカメのズーム機能で拡大したおかげで,良く写っているのです。ジオマを使って眼視で捉えることの出来るのは,極冠ぐらいです。


……いかがでしたか?
 今年の火星は,小口径の望遠鏡でも,じゅうぶんに楽しむことが出来ると思います。特に,昔,ちょっと月を見たぐらいで,押入れの奥に死蔵されているような望遠鏡があったら,この機会に,ちょっとレンズのお掃除をして,火星を眺めてみては,いかがでしょう。昔の入門用の,筒の長い屈折望遠鏡は,月や惑星を眺めるのに,とても適した機材なのです。口径の割に焦点距離の長い望遠鏡は,いまどきの短い望遠鏡よりも収差補正が良く出来ていて,しっかり見えるのです(欲を言えば,付属のアイピースには安物が多いので,オルソなどの,ちょっといいアイピースを買い足すことをおすすめします)。

 小口径長焦点屈折望遠鏡,侮りがたし。


2003.08.11

BORG76ED+LV12+QV8000でコリメート撮影。
 00:28-00:50 露出1/30秒,シャープネス高,彩度低,コントラスト高,41枚コンポジット,WB蛍光灯,300%拡大

 台風一過。好天を期待した割には,,水蒸気の多い空。風が強くて雲がビュンビュン流れて行きますが,星像はそこそこに安定していたので,撮影。しかし,強風で架台が揺れて,かなり苦戦。……それでも,100枚撮って41枚をコンポジットしてみました。
 極冠に歪みがあります。不思議な光景です。表面の模様は,あまり目立ったものが無いエリアです。画像のガンマの立ち上がりをいろいろといじくって,表面模様のコントラストを少し強調しています。火星の視直径は24"弱,76EDの分解能は1.5"ですから,ほぼ分解能の限界に近い解像度が出ていると思います。


2003.08.23

BORG76ED+LV12+QV8000でコリメート撮影。
 00:00-00:20 露出1/20秒,シャープネス高,彩度低,コントラスト高,54枚コンポジット,WB蛍光灯,300%拡大

 ずっと雨降りで観測出来ない間に,ついに視直径25"に達しました。最接近時の視直径が25.08"ですから,「最大級の火星」と言うべき状態です。
 右端に大シルチスが見えています。極冠はだいぶ小さくなっていますね。

 ……さて,新しいデジカメを買ったんですが,そのテスト撮影も。
BORG76ED+LV12+C-750でコリメート撮影。
 01:16-01:26 露出1/10秒,シャープネス+5,彩度-2,コントラスト+5,HQ(最高解像度),ISO200,30枚コンポジット,WB蛍光灯2,100%,

 とりあえず撮影してみた,と言う状態ですが……。
 色調やコントラストなどには,もう少し検討の余地があります。三色分解してみたら青の情報がほとんどありません。ホワイトバランスを変えてみないと……。
 それに,液晶モニタで見たときよりも,赤味が薄い感じです。感度を上げていたり,気温が高いせいもあるのでしょうけど,かなりノイズが乗っていました……

 使いこなしは,これからです。


2003.09.05〜06

 久しぶりに良く晴れたので,じっくりと火星を追いかけます。
 ときどき気流が乱れるので,大量に撮影してコンポジット,と言うテクニックが使いにくい……こんな日でも,ビデオ撮影の人は楽勝なんですけどねー……。

 今回は,ちょっと遊んでみました。
 22:10から30分おきに10分間ずつ画像を取得し,各々20〜40毎の画像をコンポジットして1枚にまとめ,30分間隔で6枚の火星像を得ました。
 それをアニメーションgifにまとめてみると……

……ほら,自転している様子が見えてきた。

 最初のほうで正面に見える目玉みたいな所が「太陽湖」と呼ばれる地形で,俗に「火星の目玉」と呼ばれています。


2003.09.09〜10

 9日の宵空では,火星の近くを月が通るという現象が見られました。
 もっと北のほう……シベリア辺りでは,月が火星を隠す「火星食」になっていたようです。
 火星と月が一緒に写真に収まるのも一興ではないかな,と思いつつ,機材をセットして……

 ……思ったほど近くなかった……。
 これは20:32の撮影ですが,この10分ぐらい後,最接近だったようです。
 同じ日本国内でも,北海道の人は,もう少し接近した様子を観測出来ているはずです。



 でも,せっかく晴れているから,火星のアップも撮影しておこう。

BORG76ED+LV12+QV8000でコリメート撮影。
 21:43-21:55 露出1/30秒,シャープネス高,彩度低,コントラスト高,40枚コンポジット,WB蛍光灯,300%拡大

 画像処理の段階で,コントラストを強め,模様を強調しています。右のほうに太陽湖が顔を見せています。

BORG76ED+LV12+C-750でコリメート撮影。
 10日00:25-00:33 露出1/20秒,ISO200,シャープネス+5,彩度±0,コントラスト+5,14枚コンポジット,WB蛍光灯3,150%拡大

 C-750でも撮影しました。中央部に太陽湖が来ています。
 C-750はコントラストが低く,階調が豊富に写ります。眼視観測で見えたイメージに近いのですが,ちょっと物足りない感じ。でも,こういう画質を好む人も多いと思いますので,あえて画像処理をあっさりとして,コテコテに強調した画像を作らないようにしてみました。眼視観測派の人が見たら,良い印象を持ってくださるのではないかと……。


2003.09.17

BORG76ED+LV12+QV8000でコリメート撮影。
 21:15-21:27 露出1/20秒,シャープネス高,彩度低,コントラスト高,42枚コンポジット,WB蛍光灯,300%拡大

 大シルチスが見やすい位置に回ってきました。
 コンポジットは相変わらずの手作業ですが,仕上げの段階でRegistax2のWavelet変換を利用してみました。
 ……なるほど,模様がはっきり出てきます。
 でも,望遠鏡の解像度以上のものは出ませんので,劇的に効果があるわけではありませんが……
(もし,望遠鏡の解像度以上に模様がはっきり見えるようだったら,それは画像処理の段階でウソの模様を描き出したことになります)

 もちろん,実際に望遠鏡で眺めてみれば,ずっと像も小さく,コントラストが低いのです。しかし,実視では写真のようなザラザラ感は無く,大気の揺らぎで少し像が揺れていたりして,実視には実視なりのリアリティがあると思います。写真はあくまでも「記録」。実際に自分の目で眺めたときの感動にはかなわないと思うのです。その感動の1割でも伝えられる写真が撮れたら,それはそれで良いと思いますけど…。


2003.09.17

検証・Wavelet変換

 天体用画像処理ソフト,Registaxの魅力的な機能の1つに,Wavelet変換があります。詳しいことは省略しますが,要するに,ノイズ成分を除去して画像情報を抽出,強調する作業とお考えください。もちろん,この機能だけで惑星写真の画質が向上するものではありません。出来る限り良質の元画像を大量に用意し,コンポジット処理で重ね合わせることで,ノイズ情報を平均化して,除去しやすくしておくことも重要です。さらに,抽出された情報を,より見やすくするための,いくつかの画質調整も行います。実際,デジカメでの撮影段階では約10分間ぐらいの間に100フレームぐらい撮影し,その中から良いフレームを厳選してコンポジット,大気差による色ずれの補正,大まかなコントラスト,色調の調整などをしてから,Registaxに持ち込んでいます(私はデジカメでの撮影なので,撮影枚数がそれほど多くありませんから,コンポジット作業は手作業で行っています。手作業のほうが精度が高いのです)。

 その過程を,ちょっとだけ御紹介しましょう。

 これが,原画をコンポジットしたまんまの画像です。但し,色ズレは補正済みです。
 これは,BORG76ED+LV12mm+C-750でコリメート撮影しました。
 C-750はQVに比べ,コントラスト,シャープネスが,あまり強力に補正出来ません。元画像はQVのほうがシャープに見えます。
 全体にボケていますが,コンポジットにより,ノイズ成分が平均化されています。これをRegistaxに読み込み,Wavelet変換等でノイズを落とし,コントラスト,色調を整え,画像情報を整理してやるわけです。

 その結果は……

 23:17-23:28 露出1/20秒,ISO200,シャープネス+5,彩度±0,コントラスト+5,24枚コンポジット,WB蛍光灯3,150%拡大。

 上の写真と同じ物とは思えないほど,きちんと火星表面の様子が見えています。中央の黒い部分が「子午線の湾」です。火星図と照合してみると,主要な地形をだいたい読み取ることが出来ます。

 QVとCAMEDIAを比較すると,CAMEDIAのほうがノイズが多く,ボケた感じに写りますが,Wavelet変換でノイズを除去しやすいのは,どちらかと言えば,CAMEDIAのほうですね。撮影時点で,CAMEDIAはピント位置を掴みにくいのが弱点ですが,上手くピントが出れば,画像処理結果はご覧のとおり,かなりのものが期待出来ます。カメラが変わると,撮影方法や処理方法まで変えなくてはいけません。苦労して工夫するのが,面白いんですけどね…。

☆Registax2をお持ちの方は(フリーウエアです),上のほうの未処理画像をディスクに保存して,いろいろと画像をいじくって遊んでみてください。


2003.09.18

 写真でしか出来ないお遊びをひとつ。

 火星のステレオ写真です。

 右の像は21:06-21:13の撮影(30枚コンポジット),左の像は21:44-21:52の撮影(34枚コンポジット)。撮影条件は前日と同じです。
 火星は24時間37分で自転しているので,30分ほど間隔を空けて撮影すると,自転の様子が見えてきますが,これを視差として利用して,ステレオ写真に仕立ててみました。平行法で見てください。大して解像度が良くないので,あまりはっきりしないと思いますが,大シルチスあたりに注目してみると,なんとなく球体に見えてきます。


2003.10.16

BORG76ED+LV12+QV8000でコリメート撮影。
 21:56-22:06 露出1/20秒,シャープネス高,彩度低,コントラスト高,29枚コンポジット,WB蛍光灯,300%拡大

 10月に入り,視直径は20"を切り,17.6"です。2005年の「準・大接近」のときの最大視直径が20"ちょっとですから,もう,かなり小さくなっています。
 それでも,「小接近」のときよりは,まだ大きいのですが……

 だいぶ右側が欠けて見えます。今期の火星観測のシーズンも,あと1ヶ月ぐらいでしょうか。我が家は西側に市街地があって気流が安定しないので,西空での撮影は,ちょっと苦手ですし……。


2003.10.30

BORG76ED+LV12+QV8000でコリメート撮影。
 20:36-20:48 露出1/20秒,シャープネス高,彩度低,コントラスト高,27枚コンポジット,WB蛍光灯,300%拡大

 遠ざかる火星。それでも,視直径は15.1秒ですから,「小接近」のときよりも,ほんの少し大きいんです。大シルチスをしっかり捉えることが出来るのも,これが最後になるかな,などと思いながら撮影しました。だいぶ右のほう(←倒立像ですから,実際には左のほう)が欠けて見えます。


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