定番実験!台所にあるもので葉脈標本を作ろう

対象年齢:小学校中学年以上。
       火や薬物を使うので,小学生はおとなの監督,指導のもとで実験してください。


 「定番実験」と言いながら,それほど経験者がいないのが,葉脈標本作り。
 その理由は,苛性ソーダという,強いアルカリを使うためではないでしょうか?
 そこで,苛性ソーダを使わずに,家庭用品で何とかやってみましょう。


【用意するもの】
・ガラスびん
 ジャムのあきビンとか,カップ入り日本酒の容器など,廃物利用で。
・なべ
 何でもいいんですが,念のため,ホーローをおすすめします。
・重曹
 お料理用のでじゅうぶんです。
・葉っぱ
 ヒイラギがおすすめです。
・ゴム手袋,割りばし,古い歯ブラシ,必要なら台所用漂白剤

【やってみよう】
・ガラスびんに水を入れ,水を入れたなべの中に置いて,火にかけます。つまり,湯煎にするわけです。
・ガラスびんの水に5〜10%ぐらい,重曹を入れて,葉っぱを煮ます。
・ヒイラギの場合,少なくとも30分ぐらいは,煮る必要があります。
・葉肉の部分がやわらかくなったら,古い歯ブラシでこすって落とします。このとき必ずゴム手袋をはめてください。
・葉肉が落ちたら,大量の水でしっかりすすぎ,アルカリ分を抜きます。
・台所用漂白剤を使って白くすることもできます。漂白したら,漂白剤はしっかり洗い流してください。
・さらに,木綿・麻用の染料を使って,カラフルに染めることもできます。
・葉っぱを煮た液は,大量の水でうすめて流すことができます。



完成品。ヒイラギの葉脈。
ちょっと漂白してみました。



【でも,どうして?】(ちょっとくわしい説明)
 アルカリは植物の組織をとかしてやわらかくするはたらきがあります。缶詰のみかんや桃の皮も,実は苛性ソーダを使って,むいています。ですから,身にナイフのあとが無く,きれいに皮がむけているのです。
 ワラビをゆでるときに,アク抜きのために重曹を使いますが,これもアルカリのはたらきを利用したものです。昔は,火鉢の灰を水に溶かしたものを使っていたそうですが,この溶液も,かなり強いアルカリ性です。ワラビの「アク」は 水に溶けるので,アルカリで組織をやわらかくしてやれば,より早く,アクが水に溶けだしてくれるわけです。ワラビを重曹でゆでたあと,その煮汁につけたまま冷まして一晩置いておくと,アクの抜けた,やわらかいワラビができます。ゆでたあとも,じっくりとアルカリの液につけておくことが,大切だったのですね。

【もう少し観察してみよう】
 さて,ヒイラギの葉っぱで葉脈標本がうまくできたら,ほかの葉っぱにもチャレンジしてみましょう。ヒイラギよりもむずかしいと思いますが,いろいろ試してみてください。
 また,完成した葉脈標本は,そのまま保存していてもいいのですが,本の「しおり」にしたり,アクセサリーの材料にしたり,いろいろな使いかたが考えられます。いろいろ工夫してみてください。

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