うがいぐすりでビタミンCをしらべよう
対象年齢:小学校低学年以上。
小学生が実験する場合は,おとなの人が解説してあげましょう。
おうちにあるもので,たべものの栄養(えいよう)をしらべる実験(じっけん)です。
うがいぐすりで,かんたんに,ビタミンCをしらべることができるんです。
くだものや,やさいだけでなく,草や木のはっぱや実(み)のビタミンCもわかりますよ。
【用意するもの】
・うがいぐすり(「イソジン」など,ヨウ素の入っているもの)
・とうめいなカップ(小さめのものがよい)
・おろしがねやガーゼなど
☆ナイフやおろしがねをつかうときは,ちゅういしてね。
【やってみよう】
・まず,うがいぐすりで,うすいヨウ素液(ようそえき)を作ります。
水が,うすく茶色(ちゃいろ)になるくらい。コップはんぶんぐらいの水に,うがいぐすりをすこしずつ入れて,色がついたらOK。うがいぐすりは10〜12滴(てき)ぐらいかな?
このぐらいの色でOK。
・しらべたいくだものや,やさいの「しる」を作ります。
レモンやみかんは,切って,手でギュッとしぼるだけでOK。
リンゴやキウイフルーツ,やさいなどは,おろしがねでおろすか,こまかくきざんで,しぼります。
・ヨウ素液を小さなカップに入れて,くだものや,やさいのしるを,1滴ずつ,まぜてゆきます。
・まぜてゆくと,だんだんヨウ素液の色がうすくなります。
・どのくらいまぜたら,ヨウ素液の色が消えるか,しらべてみましょう。
レモンをしぼって入れたら,色が消えた!
レモン3滴では,すこし色がのこっています。
こんなふうに,茶色が消えるのまでにつかった「しる」の量(りょう)をくらべると,ビタミンCの量のちがいがわかります。
冷蔵庫(れいぞうこ)にあったものを,いろいろしらべてみました。
水100mlに「イソジンうがいぐすり」を12滴入れたヨウ素液を作り,ヨウ素液10mlの色が消えるまで,どのくらい,くだものややさいの「しる」を入れたか,しらべてみました。
レモン………………6滴
イチゴ………………2滴
キウイフルーツ……1滴
りんご………………8滴
キャベツ……………4滴
こまつな……………3滴
レモンはビタミンCが多いような気がしますが,イチゴやキウイフルーツのほうが,ずっと多いことがわかります。また,やさいにもたくさん,ビタミンCがふくまれていることもわかります。
すっぱいものはビタミンCが多い,というわけではなさそうです。
たとえば,酢(す)はヨウ素液の色を消すことができません。
ぜひ,いろいろなものでじっけんしてみてください。
【でも,どうして?】(ちょっとくわしい説明)
この実験は,「酸化・還元」の実験です。ヨウ素は強力な「酸化剤」。ビタミンC(L-アスコルビン酸)は「還元剤」。ヨウ素液の色は,ヨウ素がI2の形で水溶液になっているときの色。これが,ほかの分子に電子を与えたり水素を奪い取ったりするのが酸化作用です。他の分子を酸化させたときに,ヨウ素はイオンとなり,色が消えます。一方,ビタミンCは,相手の分子に水素を与えやすい特性(還元作用)を持っています。そのため,ヨウ素液中のヨウ素に水素を与えて還元して,色を消してしまうのです。
レモンの酸味は,いかにもビタミンCが多いような気にさせますが,その主成分はクエン酸。イメージほどビタミンCが多くないんですね。ですから,「レモン100個分のビタミンC入り!」などと言う宣伝文句が成り立つわけで……(もちろん,クエン酸も,大切な栄養素ですよ)。
意外なものにもビタミンCが見つかります。例えば,プレーンヨーグルトの上澄み(乳清)の部分。乳酸菌の代謝物に,ビタミンCが含まれます。生のキュウリとぬか味噌漬けのキュウリでも,ビタミンCの含量は違います。
ところで,ヨウ素液の色の消える作用は,還元作用ですから,ビタミンC以外の還元剤にも反応します。熱帯魚屋さんで売っているハイポ,写真の定着液,還元系漂白剤などでも,ヨウ素の色が消えますので,お試しあれ。