色が変わる色水
対象年齢:小学校低学年から。
おとなの人が手伝えば,小学生未満からOK!
紅茶にレモンを入れたら色がうすくなったのを,見たことがありますか?みぢかなものには,すっぱいものを入れると,色がかわるものが,けっこうたくさんあります。
色のかわる色水で,遊んでみましょう。
☆小学校6年でリトマス試験紙を使った「酸・アルカリ」の実験をします。この実験は,身近な材料で,リトマス試験紙のような酸,アルカリ指示薬を作るものですが,小学校低学年向けには,「色水マジック」としてご利用ください。
【用意するもの】
・色水のもとになる花や葉,カレー粉など
・コップ(なるべく白いもの。紙コップでもOK),お湯,スプーン
・すっぱいもの(酢やレモン),アルカリ性のもの(重曹(じゅうそう)やせっけん水。重曹は薬局やスーパーマーケットの製菓材料コーナーなどで売っています)。
【やってみよう】
1.色の変わるハーブティー
「ブルーマロウ(またはマロウブルー)」という名前のハーブティーがあります。このお茶は,レモンを入れると色が変わるのですが,コモンマロウという植物の花を使っています。コモンマロウって,日本の名前では,「ウスベニアオイ」や「ゼニアオイ」のこと。この花は5〜6月ごろに見られます。花が手に入れば,自分でブルーマロウのハーブティーを作ることもできます。
……で,作ってみました。
これがウスベニアオイの花。
花をつんでも良いのですが,花がしぼんでから,しぼんだ花びらを集めてもOKです。
かわかすと,右のように,青っぽく,小さくなります。
カラカラにかわいたら,できあがり。
あとは,お茶をいれるのと同じです。
かわいたウスベニアオイの花びらにお湯をそそぐと,水色のハーブティーになります。
レモン汁を入れてみました。
さっとピンク色になります。
リトマス試験紙と同じですね。
これに,重曹やせっけん水を入れれば,青くなります。
このように,酸(=すっぱいもの)で赤くなる色水は,アサガオの花(なるべく色の濃いものを使う),紫キャベツ,ナスの皮,赤じそなど,いろいろあります。
さらに,冬でも手に入りやすいものを紹介します。
2.黒豆でも色が変わる!
黒豆(黒大豆)の皮も,酸でピンクに変わります。お店で売っている黒豆の煮物の,煮汁をすこしうすめて使ってもOKです。ただし,砂糖やしょうゆが入っていますから,色の変化はわかりますが,きれいな色は出にくいと思います。
そこで,生の黒大豆の皮をむいて,皮にお湯をそそいで,こんな色水を作ってみました。
ちょっと黒っぽい紫色の水です。
これにレモンを加えると……
あざやかなピンク色になりました。
3.カレー粉でアルカリをチェック!
カレー粉の色は,おもに「ウコン」という植物の根の色素。
この黄色い色は,アルカリ性になると色が変わります。
カレー粉(または「ウコン末」)にお湯をそそいで,黄色い色水を作ります。
これに重曹を加えると……
オレンジ色に変化します。
なお,レモンを入れて酸性にしても,黄色いままです。
【でも,どうして?】(ちょっとくわしい説明)
植物の花や葉などに含まれている赤〜紫〜青の色素は,アントシアニン系色素と呼ばれるもので,pHの変化で色の変わるものが多く,pH指示薬として実験に使えます。色の変わるしくみについては,ちょっと難しいので,省略します。
リトマス試験紙に使われている色素も,植物のアントシアニンです。リトマス試験紙の色は,「リトマスゴケ」という地衣類(菌類と藻類が共生した生物体)から取れる色素で,色の変わる原理としてはブルーマロウとほぼ同じです。リトマスゴケは日本には自生していないので,日本国内で「自家製リトマス試験紙」を作るのは無理ですけど,それに近いpH指示薬は,身近な材料で作ることが出来ます。
ウコンの黄色は,クルクミンという色素で,酸性〜中性で黄色,アルカリでオレンジ色になります。焼きそばにカレー粉をふりかけると,鮮やかなオレンジ色になりますが,これは,中華麺に含まれる「かんすい」がアルカリ性の物質であるために,色が変化します。でも,焼きそばソースをまぜると,ソースに含まれる酸のために,元の色に戻ります。