街(まち)の中で化石観察!

対象年齢:小学校高学年以上。
       おとなといっしょなら,小学校低学年からOK。


 「化石」(かせき)って,見たことありますか?
 シャベルやハンマーを持って化石を掘りに行ったことがある人って,すごく少ないと思います。
 でも,とくべつな道具なしで,化石が見つかる方法があるんですよ。
 化石を探す場所は,街の中!

【用意するもの】

 虫めがねやカメラ,化石の図鑑などがあると便利ですが,なくても大丈夫です。

【観察しよう】

 街の中で化石を探しやすい場所……それは,大理石の壁や柱,床などのあるビルや地下道などです。大理石は,古代の海の生き物の死がいがかたまってできた,石灰岩(せっかいがん)の一種。ですから,化石のカタマリみたいなものです。観察しやすい大理石が見つかれば,いろいろな化石が見つかります。大理石以外の石でも,化石の入っている石がありますが,大理石がいちばん,化石を探しやすいと思います。

 大理石を使っているビルは,そんなに多くありません。ホテルのロビーや,デパートのエントランスホールなどがねらい目。特に,ちょっと古い建物……合成樹脂の建築材料が使われるようになる前の時代のビルがいいでしょう。
 新しいビルには,人造大理石や大理石の集成材を使っていることもありますが,人造大理石はダメ。集成材の場合,小さな大理石を寄せ集めてるものなら,小さな化石が見つかる可能性は,じゅうぶんにあります。

注意!
 ビルの壁を観察するときは,ビルの警備の人に,化石を観察したいとお願いしてからにしましょう。壁を虫めがねで観察していたら,あやしい人物に見えますからね。


では,東京の都心で見つけた化石を,ちょっとだけ紹介しましょう。


 新宿の,ある高層ビルのエントランスで見つけたアンモナイトの化石。
 化石は断面が見えているので,こんなふうに,きれいな断面が出ることは,めったにありません。
 見つけた化石が,どの部分の断面なのか,想像しながら観察してみましょう。


 これは千代田区のオフィス街にある,古いビルの壁。
 2枚貝の断面です。
 貝のまわりにも,小さな丸い化石……フズリナだと思います……がたくさん見えています。


 これはサンゴの化石。キクメイシの仲間でしょう。

 このほかにも,いろいろな化石が見つかりますから,図鑑やガイドブックなどを見て,しらべてみましょう。



【もう少し観察してみよう】(ちょっとくわしい説明)
 街の中で化石を探すことの意外性!
 都内には,いろいろな「化石スポット」があり,化石ファンの間でも有名な場所もあります。ガイドブックに出ている場所もありますが,特に最近では,セキュリティの都合もあり,具体的な場所を公開できない場合が多いようです。このページの化石を撮影した場所も,建物名の公表は控えさせていただきますが,むしろ,ガイドブックに載っていない場所を自分で見つけて,「宝探し」の気分で街の中を探検する楽しみもあると思いますので,ぜひ,自分だけの「化石スポット」を見つけてください。

 化石の見つかりやすい場所のヒント。
 東京や大阪なら,築50年以上のビルがけっこうありますから,そう言うところを狙ってみましょう。特に,老舗のデパートなどは,中に入りやすく,観察しやすいと思います。高級ホテルは,ちょっと入りにくいのですが,化石の見つかりやすいスポットです。また,バブル景気の頃に建てられたビルにも,大理石がたくさん使われているものがあります。
 古いビルの大理石は,国産のものがほとんどですが,バブルの頃のビルでは,外国産の大理石がたくさん使われています。古いビルと新しいビルで,どんな化石が見つかるのか,較べてみるのも面白いかも知れませんね。

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