木の幹の「拓本」を作るのだ。
対象年齢:中学生以上。
おとながデモンストレーションするなら,小学生未満からOK。
石碑などに刻まれた文字を写し取る「拓本」。
このテクニックを使えば,木の幹の標本が作れます。
樹皮の模様って,木によってずいぶん違うよ。
いろんな木の「拓本」を集めて,くらべてみましょう。
【用意するもの】
☆ここでは,本格的な拓本の方法でやってみましょう。
墨汁,筆,タオル,霧吹き,和紙(なければ半紙でも…),「たんぽ」2個
☆紙は,和紙のような,なるべく繊維の長い,破れにくい紙が良い。
☆「たんぽ」の作り方:
ガーゼ,さらしなどを2重にして脱脂綿を包み,やや大きめのテルテル坊主の頭を作る。
輪ゴムかひもでしっかり結んで,綿が出ないようにする。
「たんぽ」は,こんな形にする。
【やってみよう】
初めて挑戦するときは,でこぼこの少ない木がいいでしょう。
風のある日はやりにくいので注意。
まず,「拓本」を取りたい部分に紙を当て,霧吹きでぬらします。
そして,タオルでじわ〜っとおさえて,木のデコボコに紙をなじませます。
さて,ここからが,墨を使った作業。
紙がなま乾きになったところで,始めます。
1)1つの「たんぽ」に墨汁をつける。
2)それを,もう1つの「たんぽ」で軽く叩き,墨をうつし取る。
3)墨をうつし取った「たんぽ」で,木に貼りつけた紙の上を叩く。
……これを繰り返して,幹の模様を浮かび上がらせる。
途中で紙が乾いてきたら,軽く霧吹きして,しっかりと紙をなじませる。
☆紙が乾くと,墨が木についてしまいます。
☆紙がぬれすぎていると,墨がにじんでしまいます。
幹の模様を写し取ったら,もう少し乾かしてから,そっと紙をはがしましょう。
作例:これはサクラの樹皮。雰囲気,わかりますか?
このような「拓本」を取るのが大変なら,薄くてじょうぶな紙と濃いめの鉛筆などを使って,樹皮の模様を写し取ってみてください。
【もう少し観察してみよう】
木を観察するとき,どこを見ますか?
葉とか花とか実などを見ると,わかりやすいですね。
でも,冬に葉っぱを全部落としてしまった木は?
……そんなとき,幹の模様や色,枝の伸びかた,枝の先についている小さな「冬芽」などが,木の名前を知る手がかりになります。
幹の模様にも,いろいろな個性があります。また,木が生長するとき,樹皮がはがれて新しくなります。その,樹皮のはがれかたにも,いろいろな個性があります。
木の幹の「拓本」は,幹から木を観察する,と言う,いつもとちがう視点からの観察を,教えてくれます。それに,木をいためつけないで「標本」が作れるのも,良いところです。