「ひっつき虫」で遊ぼう!
対象年齢:小学生未満からOK!
秋の野山を歩くと,靴や服に,いろんな草の実がついてきます。
「ひっつき虫」ですね。
「ひっつき虫」とは,人や動物にくっついて,とおくまでタネをはこんでもらう,植物の知恵です。
この,「ひっつき虫」のひみつを,観察してみましょう。
【用意するもの】
・とにかく,秋の野山に出かけましょう!
・どんな服でもいいけど,ニットやフリースを着ていると,楽しいゾ。
【観察しよう】
・ひっつき虫には2つのタイプがあります。
ひとつは,「マジックテープ」タイプ。
かぎのような「とげ」で,服にひっかかります。
オオオナモミ。この実を投げて遊んだこと,ある?
オオオナモミは外国から来た種類。
日本にはオナモミと言うのがむかしからありましたが,どっちの実でも遊べるよ。
実のアップ。トゲトゲのさきっぽが,ちょっとだけ曲がっています。
これがマジックテープのようにくっつく,ひみつなのです。
マジックテープをよく見てみましょう。
オナモミとよくにています。
ほんとうは,マジックテープのほうが,オナモミの仲間の,アザミのトゲトゲをまねて作ったのですから,オナモミのトゲトゲは,マジックテープの先生だったのですね。
ほかの,トゲトゲの実もさがしてみましょう。
イノコヅチ。このちいさな実にも,とげがついていて,服にくっつきます。
センダングサのタネ。先っぽに,トゲがあります。
これをよく見ると……
ほら,トゲの先のほうに,うしろに向いた,小さなトゲがついています。
これなら,いちどささってしまうと,なかなかおっこちません。
マジックテープのようなトゲを使わないで,ひっつく実もあります。
もうひとつのタイプ……それは,「粘着テープ」タイプです。
このタイプの代表は,メナモミやチヂミザサ。
チヂミザサの実。あれ?トゲがついているんじゃないの?
……いえいえ,ちがうんです。
チヂミザサの実をひとつ,取り出してみました。
トゲのところにゴミがくっついています。
トゲを顕微鏡で見てみると,ベタベタしているのがわかります。
これでチヂミザサは,服にくっついていたのですね。
【もう少し観察してみよう】(ちょっとくわしい説明)
植物の生存戦略。
植物は歩いて移動することができません。そこで,少しでもよい子孫をたくさん,良い条件の土地に送り届けるために,いろいろな戦略を持っています。たとえば花粉をつける作業を,虫などの生きものにやらせるために,花にいろいろな工夫をしています。そして,出来上がった種子を広い範囲に撒くために,あるものは羽をつけて風に飛ばし,あるものは果肉をつけて鳥や動物に食べてもらって運ばせ,あるものは自力で種をはじき飛ばします。そして,ここで紹介したような,動物(人も含めて)にむりやりくっつけて運ばせてしまう方法をとった植物もいるのです。
「ひっつき虫」は,当然,動物や人間の背の高さに合わせた高さに,種を用意します。ですから,高い樹木がオナモミのようなデザインの実を作っても,あまり意味がありません。だから「ひっつき虫」は,圧倒的に草の種が多いのです。
それではもうひとつ,こんな遊びはいかが?
コセンダングサの花。下のほうに,花が終わったばかりの,若い種が見えます。
これを柄ごと取って,ダーツの矢にします。
的はもちろん,くっつく素材の布。
ダーツの要領で,エイッと投げると,こんな感じで服にくっつきます。
種子が若くてまだ柔らかいので,服をいためることもありません。
練習すれば,けっこう遠くから投げても,服にくっつけることができます。
これでいろいろ遊べます。
遊び方は子供たちに考えてもらいましょう!