日だまりを立体的に観察しよう

対象年齢:小学校低学年以上。
       おとながデモンストレーションするなら,小学生未満からOK。


 冬から春にかけては,太陽のあたたかい光がうれしい季節。ぽかぽかと日なたぼっこをしながら,日だまりのかんさつをしてみよう!


【用意するもの】
 ・温度計(おんどけい)
 ガラスの棒温度計がよい。大きなカメラ屋さんなどで売っている,フィルム現像用の,−10℃〜50℃ぐらいまで,はかれるやつが,持ち歩くのにべんりです。
・ものさしか巻尺
 みじかいのは使いにくい。できれば30cmぐらいの「ものさし」か,2mぐらいの巻尺がおすすめ。
 でも,なくてもかんさつできます。
・えんぴつやメモ。グラフ用紙があると,もっといい。
・昆虫や植物の図鑑があると,もっと楽しいかも。

【観察しよう】
 まず,日だまりができるような日をえらびます。特に「立春」(2月4日ごろ)から「春分」(3月20日ごろ)の時期がおすすめですが,秋のおわりごろから春までのあいだで,風が弱くて天気のいい日なら,だいじょうぶ。もちろん,お昼前後が,いちばん観察しやすい時間です。

 さいしょに,目の高さぐらいの気温を調べてみましょう。温度計に直接,太陽の光があたらないようにして,はかります。つぎに,日あたりのいい地面のところで,地面から30cm,15cm,10cm,5cm……と,温度計をだんだん低くして,それぞれのの気温を調べてみましょう。
 どうですか?地面のちかくは,目のたかさよりも,ずっとあたたかいでしょう。
 では,地面にさわってみましょう。あ〜,あったかい。このまま,寝ころんでお昼寝したい……。

 ……じゃ,寝ころんだついでに,地面すれすれの高さの生きものを観察してみましょう。
 目の高さの気温が10℃ぐらいのときでも,天気のいい日なら,地面の近くは15℃ぐらいになります。このぐらいの温度があれば,アブやハエの仲間が飛んだり,成虫(せいちゅう……おとなの虫)で冬越しをしているテントウムシやチョウなどが,動きだします。
 春,早くから花を咲かせる草も,地面すれすれの,あたたかい空気のある場所を利用しています。早春の花は,日だまりのあたたかさを利用するように,地面すれすれの高さで花をつけます。この場所なら,花にくる虫たちが動けるのです。もっとあたたかくなると,花の咲く場所は,だんだん高いところになってゆきます。


で,実際に調べてみました。


これは3月上旬に調べたものです。
顔の高さでは寒くても,地面の近くは春ですね。


【でも,どうして?】(ちょっとくわしい説明)
 太陽の光には,私たちに見える可視光線(かしこうせん)だけでなく,紫外線や赤外線も含まれています。紫外線はオゾン層などによって,人体に有害な波長の紫外線は,ほとんど地上にとどいていません。でも,赤外線は地上にとどき,地面をあたためます。あたたまった地面は,地面近くの空気をあたため,あたたかい日だまりができていたのです。
 赤外線は,少しぐらいのくもり空なら,地面にとどきます。うすぐもりの日に,お昼ごろ,地面の近くの気温を測ってみましょう。晴れの日ほどではありませんが,少しだけ気温が高くなっています。

【もう少し観察してみよう】
 ハチはアブよりもやや高い気温にならないと活動できません。アブやハチが飛んでいるのを見つけたら,その場所の気温を測って,くらべてみましょう。
 では,チョウやテントウムシはどうでしょう?冬に飛ぶチョウは,成虫で越冬している,タテハチョウの仲間,シロチョウの仲間の一部,シジミチョウの仲間の一部などです。

 東京では,1月ごろからオオイヌノフグリの花が咲く日だまりもあります。花が早くから咲く場所は,やっぱり,あたたかいのかな?これも,温度計があれば,かんたんに調べることができますね。

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