夏休みの自由研究にバッチリ!
ダンゴムシ大研究!


対象年齢:小学生未満から中学生以上まで楽しめます!自分の気に入った観察や実験をやってみよう!


 ダンゴムシは,みぢかにいる生きものだけど,なぜか,こどもには人気があって,おとなにはきらわれちゃう。
 さわるとクルクルッと,まるくなるから,とってもおもしろいのにね。
 でも,ダンゴムシのこと,キミはどのぐらい,しっているかな?
 いろいろしらべてみたり,ダンゴムシを飼育(しいく)して,あそんでみよう。
 きっと,ダンゴムシのことが,もっと,すきになるかもね。

☆年齢別に観察メニューを作ってみました。



小学生未満〜の観察テーマ
   めざせ,ダンゴムシマスター!〜ダンゴムシのかいかた〜

ダンゴムシって,かってみると,かわいいよ。いろいろくふうして,かってみよう。


【よういするもの
 
ダンゴムシをかうときにつかうどうぐ
・ダンゴムシをいれるはこ……カブトムシしいくようのすいそうがいいけど,イチゴやミニトマトのパックや,おおきいペットボトルの,うえのほうをきりとってつかうのもよい。イチゴパックをつかうときは,ダンゴムシがにげないように,ガーゼなどでふたをする。
・ダンゴムシのベッド……「ふようど」(腐葉土)や,つちをいれておこう。ふようどは,ダンゴムシのエサにもなるんだ。
・ダンゴムシのかくれるばしょ……ダンゴムシは,ひるまはどこかにかくれていることがおおい。うえきばちのかけらや,ちいさないたなどをいれてやろう。
・きりふき……ダンゴムシは,しめったばしょがだいすき。ときどき,きりふきで,ダンゴムシのすみかをしめらせてやろう。でも,ビショビショにぬらしてはダメ。
・エサ……ダンゴムシはなんでもたべる。しぜんのなかでは,おもにおちばをたべているけど,ときどき,しんだむしなどもたべている。だから,おちばやふようどなどをたべさせ,すこしだけ「にぼし」やかつおぶしなどをやると,よくそだつ。

【やってみよう】
・まず,ダンゴムシをつかまえなくちゃね
 ダンゴムシをかうじゅんびができたら,ダンゴムシをつかまえにいこう。
 ダンゴムシはどんなところにいるだろうか?
 エサのあるところ,ダンゴムシがすきな,しめりけのあるところをさがしてみよう。
 おうちやがっこうでさがすなら,うえきばちや,プランターの下などがいい。
 こうえんでさがすなら,おちばのたくさんあるばしょをさがしてみよう。

・オスとメスをいっしょにかえば,こどもがうまれるかもしれないよ
 ダンゴムシのオスとメスのみわけかたは,かんたんだよ。
 せなかにきいろいもようがあるのが,メス。もようがないのが,オス。
 6がつ〜9がつごろ,ダンゴムシはこどもをうむよ。


これがダンゴムシのメスだ。


……で,こっちがオス。

・さあ,あとはがんばって,せわをしよう!

【もうすこしかんさつしてみよう】
 ダンゴムシは,どんなたべものがすき?
 ダンゴムシは,いろいろなものをたべる。いろいろなものをたべさせて,すききらいをしらべてみよう。

(ヒント)
・おちばとあたらしいはっぱ,どっちがすき?
・あまいものはたべるかな?「虫ゼリー」は,たべる?
・かつおぶしやにぼしのかわりに,するめやチーズはどうだろうか?



 ダンゴムシ・コラム その1

    ダンゴムシの脱皮の謎
 
 ダンゴムシは脱皮しながら成長する。その脱ぎ方が,ちょっとユニーク。
 まず,脱皮前には,皮膚がちょっと白っぽく,浮き上がってくる。
 そして,下半身だけ,先に脱ぐ。
 しばらくして,上半身も脱ぐ。

 上半身だけ白いダンゴムシを見かけたら,それは,脱皮の途中のダンゴムシだ。

 ところで,ダンゴムシの脱皮した抜け殻を見たことがあるだろうか?
 実はダンゴムシは,抜け殻を食べてしまう。陸上生活している彼らは,カルシウムが不足しやすいので,抜け殻も大切なカルシウム源として利用するらしい。このような行動は,カルシウムの少ない淡水で生活しているザリガニ類にも見られる。

 もうひとつの謎。
 昆虫は,成虫になったら,もう脱皮しなくなるのだが,ダンゴムシは,成熟して卵を産める状態になった後も,脱皮をする。昆虫とちがって,成熟後も大きくなるのだ。もっとも,ダンゴムシも寿命があるから,無限に大きくなってしまうわけではないようだが……。


小学校中学年〜の観察テーマ
  ダンゴムシはなにをしてるの?〜ダンゴムシで土をつくる〜


 ダンゴムシは木の葉のあるところや,草のはえているところにいる。ダンゴムシは,森やかだんの中で,どんなやくわりを持っているんだろうか?

【用意するもの】
 まず,「めざせ,ダンゴムシマスター!」に出ているものを用意して,ダンゴムシをかおう。

 ダンゴムシを用意したら,こんな道具を作って,実験してみよう。
・ウーロン茶(2リットルの四角いボトル)の下から3分の1ぐらいのところで,切ったもの。
 下のほうを使います。……これを実験用の飼育箱(しいくばこ)にします。
 箱の底には,しめらせたペーパータオルや「ろ紙」をしいて,ダンゴムシがかわかないようにするとよい。
・落ち葉やあたらしい葉っぱ。
・もし,手に入ったら,虫の死がい。なかったら,煮干を半分ぐらい。

【やってみよう】
☆葉っぱや虫が分解(ぶんかい)されるようすを観察しよう。

・ウーロン茶ボトルで作った,実験用の飼育箱に,ダンゴムシを,5〜10匹ぐらい,入れる。
・箱には腐葉土を入れない。エサとなる葉っぱや虫などを入れる。
・1晩か2晩,かわきすぎないように注意しながら,エサが食べられてゆくようすを観察する。

……ダンゴムシがボロボロにこまかくした葉っぱや虫,ダンゴムシのフンなどを,腐葉土とくらべてみよう。
ダンゴムシが,葉っぱや虫などを食べながら,だんだんと土を作ってゆくようすがわかる。

【もう少し観察してみよう】
 ダンゴムシに,台所から出た生ゴミ……ニンジンの皮やキャベツの「しん」など,ダンゴムシが食べそうなものが,いっぱいあるよ……を,ダンゴムシを使って,土にすることができるだろうか?ダンゴムシをたくさん集めれば,どんどん土にしてくれるかもしれない。ダンゴムシでリサイクルができたら,おもしろいね!



 ダンゴムシ・コラム その2

    ダンゴムシは,実は「都会派」
 
 ダンゴムシは森の中の生きもの……と思っていたら,そうでもないらしい。
 人里離れた深い森には,ダンゴムシはいない。
 では,どこに多いのかと言うと,街の中では,公園の落ち葉をはき寄せたところや,花壇の周辺,街路樹の根元など。郊外でも,雑木林や民家の周辺に多かったりする。
 
 どうしてそんな分布なのか?
 そのヒントは,古い観察記録にある。
 実はダンゴムシに関する記述は,江戸時代以前になると,さっぱり無いらしい。
 …つまり,明治以降の「外来生物」である可能性があるのだ。

 古そうで新しい,ダンゴムシと私たちの付き合い……。




小学校高学年〜の観察テーマ
  ダンゴムシサーカス〜ダンゴムシの習性を調べよう〜


 ダンゴムシもちゃんと目がある。自分のまわりから,いろんなことを感じ取って,動いているんだ。
 どんな特徴があるだろうか? ダンゴムシの習性を利用して,遊んでみよう。

【用意するもの】
  まず,「めざせ,ダンゴムシマスター!」に出ているものを用意して,ダンゴムシを飼おう。

 次に,実験セットを作る。

・上が好き?下が好き?
 割りばしや細い幅の板で,せまい通路を用意する。

・明るいのが好き?暗いのが好き?
 いろいろな実験方法がある。
 基本は底がひらたくて広い箱。箱の中に迷路を作ってみたりすると,おもしろい。
 その迷路の中に,豆電球を入れてやると,ダンゴムシを誘導することもできる。
 おもしろい実験装置を工夫してみよう。

・湿度はわかる?
 箱を用意して,一方の角に乾燥剤,もう一方の角に,湿らせたペーパータオルなどを置いてみる。

・このほかにも,いろんな実験を考えてみよう!


【やってみよう】
・上が好き?下が好き?
 ダンゴムシをせまい通路に1匹乗せ,かたむけてゆくと……??

#この実験をテントウムシでやると,テントウムシは徹底的に上に登ろうとします。
#ダンゴムシはどうなるだろうか?

・明るいのが好き?暗いのが好き?
 用意した,実験用の箱のまん中にダンゴムシを1匹乗せて,一方から光を当てるようにすると……??
 ダンゴムシの目に入る光の角度を変えて,行動を見てみよう。
 光のあるほうに進む?ないほうに進む?
 ……それがわかったら,迷路を作って,光で出口に誘導してみよう。

・湿度はわかる?
 実験用の箱のまん中に,ダンゴムシを何匹か置いて,どこに集まってゆくか,観察しよう。
 光のあたり方が片寄らないように注意!


ダンゴムシの目,わかるかな?

【もう少し観察してみよう】
……さあ,あとはキミの工夫しだい!



 ダンゴムシ・コラム その3

    ダンゴムシは,ほんとうに「虫」なの?
 
 ダンゴムシは「昆虫」ではない。昆虫は脚が6本と言う定義がある。
 この下の写真を見て,脚の数を数えてみて!
 ……14本(7対)あったでしょ。

 では,分類上,脚の多いムカデやヤスデに近いかと言うと,そうでもない。
 実は同じ甲殻類の中でも,エビやカニに近いのだ。
 フナムシやワラジムシは,もっと近縁で,同じく14本の脚をもつ。
 深い森の中には,ダンゴムシと同じような役割をする生き物として,ヒメフナムシと言うのがいる。これも脚は14本で,フナムシに近い姿の生きものだ。

#ダンゴムシは丸くなるけど,ワラジムシは丸くならない。
#ダンゴムシとワラジムシを間違えないようにしよう。

 ダンゴムシの子育ては,ちょっと変わっている。
 脚の付け根に「育児嚢」を持ち,この袋の中に卵を持ち歩き,卵が孵化して幼虫が歩くようになると,ワラワラと出てくる。
 フナムシも全く同じ子育てをする。
 また,エビやザリガニなども,歩くための「歩脚」とは別に,腹部に短い「腹脚」があり,そこに卵をぶら下げて,孵化するまで持ち歩く。カニの場合,エビの尾部にあたる部分はお腹の下側に折り返されている(いわゆる「かにのふんどし」)ので,そこに卵を抱えて歩く。

 このように,非常に似かよった子育てをする点でも,ダンゴムシはフナムシの親類であり,エビやカニに近い仲間であることがわかる。

ダンゴムシは,陸に上がったエビである。……そう考えると,ダンゴムシを見る目も,変わってくるかも知れない。

おまけ


脚は何本ある?


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