コップの中の夕日
対象年齢:小学校低学年以上。
おとなの人が手伝えば,小学生未満からOK。
夕日はなぜ赤いのか?
これをわかりやすく,実験(じっけん)してみましょう。
キッチンにあるもので,コップの中に,赤い夕日を作ります。
【用意するもの】
・ガラスのコップ。透明(とうめい)なもの。
・牛乳(ぎゅうにゅう)を,ちょびっとだけ。
【やってみよう】
太陽(たいよう)はとてもまぶしいので,電球(でんきゅう)の光をつかって,実験します。
まず,こんなコップをよういして……
コップに水をいれて,電球を見てみます。
電球の色を,よく観察(かんさつ)しておきましょう。
コップの水に,牛乳を2滴(てき)ずつ入れて,すこしずつ,にごった水にしてゆきます。
……だんだん,電球の色が赤く,くらくなってきました。
牛乳は白いのに,ふしぎですね。
これは,ほんものの夕日とおなじ理由(りゆう)で,赤く見えているのです。
【もう少し観察してみよう】(ちょっとくわしい説明)
夕日が赤く見えるのは,お昼ごろの太陽にくらべて,ずっとななめから光がさしこむため,大気中のチリや水蒸気のあるところをたくさん通過しなければ光がとどきません。このとき,青い光はチリなどにぶつかって(散乱して),とどきにくくなりますが,赤っぽい光は,少しぐらいチリや水蒸気があっても,遠くまでとどきます。そのため,わたしたちが夕日を見ると,青っぽい光が見えなくなって,赤っぽい光がたくさん,目にとどくので,夕日は赤く見えます………と言うのが,小学生向けの回答です。
中学生になると,光は「波」(電磁波の一種)であることを習います。また,「波」は波長が長いほど散乱せずに遠くまで届く,と言うのは,高校の物理を学んだレベルぐらいの説明でしょうか。
この実験では,青い光を散乱させる原因を,水と牛乳で作ってみました。牛乳は「水溶液」ではなく,脂肪などの成分が,ごく細かい粒子になって水中を浮遊している「コロイド溶液」です。コロイドの粒子を,大気中に浮遊するチリなどのモデルとして利用してみました。
小学生には「光が赤くなる」と言う発見があればいいと思います。これをきちんと説明するには,もう少し理科の勉強をしないと難しいでしょうけど,「夕日」のしくみを直感的に理解しやすい実験だと思います。
このコップを使って,実際に月を見てみるのもいいと思います。
また,中学,高校生レベルなら,いろいろな水溶液や懸濁液を作って比較してみるのもいいでしょう。